G線上のあなたと私 第2話 距離感と名前呼び
第2話ですよ!今回はかなり意図的に繰り返される言葉がありました。
「ろくに知りもしないのに」「時に」「それは何と言えば…」「距離感」「名前呼び」これらが循環して最後に見事繋がりましたね。
結婚式の二次会で着る予定だった服で発表会に出る也映子
原作では二次会用の服について結構スルーされているんです。でも冷静に考えると「それ着るのかい!」と突っ込まれても無理はないわけで。
ドラマでは元婚約者と一緒に選んだ服っつーことで、一層いわくつきのアイテムとなってました。一瞬ひよった也映子に「いやそれ着て出なきゃ意味ないでしょ。思い出塗り替えてふっきるための発表会でしょ。別の服着ても前に進めないんじゃないの?」と理人が追い込みをかけてました。
この服で演奏して最後フリマで売っ払うという行動だけ見れば『スッキリしてよかったね!』とも思えますが…第2話の也映子はスッキリどころか、複数回のボディブローにもがき苦しんでいるように見えました。
3人with多実ちゃんで練習
ろくに知りもしない主婦の家に、ろくに知りもしない元OLと出掛ける理人。お土産のたこ焼きを待っている間に眞於との出会いと仲良く過ごした思い出を語った理人に「本当は、ずっと誰かに話したかった?」と問う也映子。この言葉があとで自分に返ってくる場面があるのです。
練習は義母が帰ってきて終わり、悔しくて涙する幸恵に理人が語る。
「楽しかったですよ。丸いもんばっか食ったし、娘さん可愛くねーなぁとか。好物が2,800円のタンシチューとか可愛くない。でも見た目は可愛い。しっかりしてるし頭も良さそうだしピアノも上手い。それでG線弾けたし、何か2人妙に聞き入っちゃってて笑えたし。楽しかったです。だから、泣いてはダメですよ、北河さん。楽しく終わりましょう。それにもし、わざとだったとしても楽しくしてればこっちの勝ちだ」
理人の言葉、すごい。観ているこちら側も理人の優しさと機転の良さに惚れ惚れする瞬間でした。
世の中は止まっててはくれない
いとこの晴ちゃんからの「也映ちゃんさ、仕事にも恋愛にもガツガツしてないし、今何が目的で生きてるの?」 原作では「容赦ねぇなイトコ」とコミカルな場面でしたが、ドラマでは一層也映子に深く刺さる言葉でした。
理人のバイト先in居酒屋
ここは也映子の幸恵への嫉妬告白と「あんなのキュンとくるでしょう⁉︎」のダブルで重要な場面です。幸恵へモヤッとした思いを伝える言語化がとっても良かった。
「なんか二人の距離が一気に縮まった気がして。加瀬さんも、北河さんも一生懸命じゃないですか。北河さんはお義母さんに意地悪されても、きっと家ですごく頑張ってるんですよね、家事も育児も。だからあの日、ああやって泣いちゃったんだと思うし。加瀬さんは先生にホントまっすぐで、全力で落ち込んだりして。二人とも本気だから、なんか目指しているものが違っても何か通じ合うんだろうなと思ったら、ちょっと私だけおいていかれたような気がして。前に進めてるって思ってたんですけどね。立ち直ってるなんて、思い上がってたのかな」
「立ち直れないよ、そんな簡単に。みんなそうだよ」
「でもそしたら急に、次のレッスンから名前呼びするし」
「こだわるね、そこ」
「だって完全に距離感縮まってるじゃないですか」
「確かに、なんか救われたよね」
「でもあれはやられた。普段あんな無駄に物憂げで暗い顔した青年が、あんないい顔していいこと言うんだもん。キュンとくるでしょうあんなの⁉︎」
この場面で、第1話の「私には何もない」を第2話まで引っ張ってきているなと思いました。いとこの晴ちゃんが言っていたように、何かに夢中になることがこれまでの也映子は少なかったのかなという印象を受けます。だからこそ、理人と幸恵がまっすぐに何かに向かっている様子に引き目を感じて、自分だけ置いてきぼりという感覚と距離感を感じたのでしょう。
そもそもあなた達と同じフィールドにはいないの
私も幸恵寄りの年齢だから、わかるんだすごく。フィールドというか、ステージが違う。恋愛のステージを経て、家族を守るステージへ移行して過ごしていると、自分が恋愛対象となるとは考えにくくなる。なのに夫は浮気していたんだから幸恵としては怒り心頭でしょうよ。
「平凡を絵に描いたような私が嫉妬されるなんて」って言葉、よく考えると胸が痛い。幸恵は自身を“平凡で嫉妬もされない人”と思っているってことだから。年齢を重ねることで若い人に対して遠慮を持ったり、自分が羨ましがられるはずないという気持ちが生まれることがある。
だからこそ、幸恵が自分のフィールドの中で頑張って暮らしていることを也映子が言語化したことは大きい。ここからお互い名前呼びになる流れはとても自然だと思う。
恋愛のフィールドはグラデーションが濃いかもしれない。けれど、友達や仲間のグラデーションは限りなく薄いはずだよね。
本当の好きって測れるの?
幸恵がいないカラオケで「どうやって別れた男のことを忘れた?」と聞く理人。最初はそれらしいことを言語化していた也映子が「清水見てると無駄なのになって。眞於さんが同じように俺のこと見てるなら100パー無理だ」「泥にはまって抜け出せずにいるよりは、前でも後でも進めた方がいい」と話す理人に、徐々に表情が変わりスイッチが入りぶちまける場面。最初見たときは「え、何?こっちも引くんですけど」とビックリした。
「5分前には吹っ切れたと思っていても、また同じ沼にはまってるんですよ。何なの本気で好きって?言われてずっと気になってたんですよ。たった15歳で出会ったほの温かい初恋引きずってる人に私の好きの何がわかるの?…言いやすいんですよね、ろくに知りもしない相手だから」
也映子の心理が、この時はわかるようでわからなかった。「もっと相手と向き合っていればよかった」と当たり障りなく言語化していたけれど、理人が見る結愛への視線が元婚約者から見る也映子に重なった?前にも後ろにも未だに進めず、泥にはまり続けている自分が置いてきぼりのように感じた?
自分を動かせるのは自分しかいない
元婚約者を見たことを理人に伝える也映子。「それは俺は何と言えば…」「困るよね。いつまでも私みたいのにジメッとされてても困る。結局、しんどいけど自分を動かせるのは自分しかいないんだなって。人間やっぱり止まってたらダメなんですよ。だから気持ちは伝えた方がいいです。それで理人君が次のステップに進めるならその方がいいと私は思うし。可能性は低いのかもしれないけど、眞於先生とうまくいってバイオリンも続けてる。そういう未来が来るといいなって。頑張れ」
「うん、模範解答ですよ、也映子さん」
理人に気持ちをぶちまけたことで「自分を動かせるのは自分しかいない」というところに着地した也映子。私はここでたこ焼きを待っている場面を思い出しました。
「本当は、ずっと誰かに話したかった?」と理人に聞いた也映子。自分の気持ちをずっと誰かに話したかったのは也映子だったんじゃないか。“ろくに知りもしない”相手である理人に気持ちをぶつけて自分を整理できたのではないか。そして理人からの名前呼び。
第1話から第2話にかけて、ここまで也映子の気持ちの機微を丁寧に描くとは思っていなかった。脚本と演出マジ恐ろしい。
その他 気になった場面諸々
・バイオリンを弾き始める時の目配せの合図が様になってた。
・「てれちゃってるよ、青少年が」「これ何かのハラスメントですよね?」バンバン理人の背中を叩く幸恵。この幸恵はやりすぎ感が少しあったかな?
・「でもまさか加瀬さんまで」バイオリンを抱きうなだれる理人「手がまだ治ってないから!」言い訳する理人、いい!
・幸恵の義母の名前は由実子。多実ちゃんの「実」は義母の漢字から?地味に圧力を感じる…
・「多実ちゃんは?」と言われダッシュする幸恵、いい!
・「偵察しに来ました」に間髪入れずの「飲みたかっただけですよね」いい!
・「勘違いしようがないんですけど」を受けての「クーッ」いい!
・LINEのグループ名、バイオリン三銃士だ!
・失業保険、自己都合退職なら3カ月で支払い開始でなかったっけ。也映子、退職してから4カ月経ってるのに書類見つかりましたって遅くない?
→「破談になったのは退職後に職場に伝えて」って元婚約者に言ってあったから1カ月のズレがあるんだ!設定細かいな~。
・二人だけのカラオケで理人が也映子の言葉を待つ時の表情が子犬みたいで超可愛いかったんですけど。あの表情、凶器よね?
・子供の名前シリーズ。苺郎、きたかも!
これは原作にはない。ひねりが効きすぎて飛んでっちゃいそう。
・眞於の「生徒は選べないから」ここだけ切り取ると眞於の性格悪そうに見えるけど、確かにそうだからね…。
眞於役の桜井ユキさんといえばindigo la Endの夏夜のマジックのMV。仮面ライダーオーズで仮面ライダーバースを演じていた君嶋麻耶さんとの映像が美し過ぎる。
「悲しくなる前に」のジャケットもすげーキレイ。
第3話はとうとう「今日可愛いから…」が見れます。あぁ楽しみ過ぎますよ。