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有馬温泉って本当に凄いんだな

 真冬よりも三寒四温の「三寒」が続く春先の方が温泉に入りたくなる気がする。ず〜っと寒い状態よりも寒暖差がキツい方が体に負担がかかるのだろうか。

 そんなわけで、有馬温泉に行った。利用したのは太閤の湯である。名前にもなっている通り太閤、豊臣秀吉のお気に入りで「金泉」「銀泉」のどちらも楽しむことができる。館内着もタオルもレンタル可能なので手ぶらで行ける点もポイントが高い。

 最寄りの有馬温泉駅で降りて温泉の匂いに包まれながら急坂を上がっていくと太閤の湯がある。結構ハードな道のりだが、疲れれば疲れるほど温泉の効き目も上がるのだと思い頑張った。ふうふう言いながらついた頃には下半身がピーーンと張っており、最高の温泉コンディションになった。

 さあさあ、いそいそと服を脱いで浴場へ突入する。

 わー!温泉の匂い!銭湯では嗅げないやつ!

 足元の滑りやすさで温泉への期待値が徐々に高まっていく。手早く身体を洗い、湯船に足先を入れるとカァ〜ッとした熱が伝わってくる。そのまま肩までどぷんと浸かると、代謝が悪く、万年恐ろしい冷え性に悩まされている私の指先もぽ〜っと熱くなった。

 あ〜〜〜これ〜〜〜〜〜これ〜〜〜〜〜〜〜!

 温泉に入ったあとは不思議と「はぁ〜〜」と肺の底からあったかい息が出てくる。腕を触ってみるともうトゥルトゥルである。銭湯なら湯船に浸けた手を頬に当てるのは少し躊躇われるが、温泉だとみんな遠慮なく顔に手をあて、幸せそうにしている。見ず知らずの他人がとろ〜んとリラックスしきっている姿を見ることができるのは温泉ならではだろう。

 「金泉」「銀泉」にも入った。

 金泉こと金の湯は時間制限があったが、待っている人もいなかったので満足するまで入浴できた。湯の色は金というより黄土色であり湯船は深く狭かったが、豊臣秀吉が目をつけただけあって、今まで効能欄を見てもピンと来ていなかったのに初めて「これは効いてる」という確信を得た。体の芯とかいう、無いはずのものがぽっかぽかに温まり、疲労が溜まってるはずの下半身は一際温かくなったように思った。血が、もうギュンギュンに循環していたんだと思う。

 銀泉は茶色のモヤモヤが浮いていて一瞬ギョッとしたが、温泉の性質から発生するもので無害らしい。こちらは特に時間制限もなく、他に先客がいても脚を伸ばせるくらいの広さがあった。先客は茶色のモヤモヤが気になるのか時々つまんで湯船の縁にのせていた。こちらもとても気持ちよかった。長い間浸かっていると腰にジワ〜っと効いてくるのがわかった。秀吉も「腰に効く〜」とか思っていたのだろうか。有馬温泉に入るために大阪城からいそいそやってくる太閤殿の姿を想像し、心までほっこりした。

 温泉がすごいのは、湯冷めを全くしないことである。金の湯に入った後、食事を済ませ、施設を出て駅に着き電車に乗り乗り換えをした頃には4時間が経過していたが、冷え性の私は全く湯冷めしていなかった。ちょっと寒いかなと思ったのは、温泉を出て6時間が経過しようとした頃だった。防寒着があったとはいえ、冬の寒さを自分の暖かさだけで乗り切れたのだ。

 ああ〜〜絶対また行こう。

 疲れていると一層楽しめる不思議な場所、温泉。
 そんな温泉に庶民でも入れる。ああ、良い時代だなあ。

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