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【その満足度は、何の満足度?】まず行政評価・成果指標を変えていこう

杉並区の新たな基本構想(2021年10月策定)に基づいて、現在、新たな行政計画の策定作業が進んでいます。

地域の近未来とともに、自治体の執行機関(区長、教育委員会など)の意向を推し量るうえで鍵となるので、機会があれば、ぜひ目を通してみてほしいですね。

計画の体系図
  • 基本構想 今後概ね10年程度における「区政運営の指針」

  • 総合計画 2022〜2030年度を見通した行政計画

  • 実行計画 2022〜2024年度の3年間に進める事業の実施時期・事業量など予算計上に向けた見通しを示す行政計画


総合計画が示す目標・成果指標(目標値)


杉並区の新たな総合計画/実行計画(案)は、8分野で構成され、そこには29の施策(128事業)が示されています。

29の施策には、それぞれ施策指標(成果指標)が設定され、目標値を明確にすることになっています。

例えば、総合計画「施策4 地域の魅力あふれる多心型まちづくり」には、次の目標が記載されていることがわかります(パブリックコメント手続にかけられた計画案)。

施策指標(成果指標)の現状と目標値


これを読むと、

  • 杉並区は「地域の魅力あふれる多心型まちづくり」を進めるため、

  • 荻窪駅周辺都市再生事業の推進をはじめとした駅周辺まちづくりを推進

  • そこでは「駅周辺の満足度」などを成果指標(目標値)としている

このような杉並区長(執行機関)の考え方を把握することができるわけです。

目標に向けた施策指標(成果指標)「駅周辺の満足度」区民意向調査


その満足度は、何の満足度?


ここで課題となるのは「満足度」という指標です。

分野によるとはいえ、人々のライフスタイルや価値観の多様化が進んでいる中において「抽象的な満足度」を成果と解釈することは難しくなっています。

「駅周辺の満足度」といっても、その評価軸は、人それぞれ多様で異なっているはずなのです。

例えば、

  1. 駅周辺に活力・活気がある(魅力のあるお店がある)

  2. 人混みなど混雑がなく、静穏な環境で落ち着いている

  3. 鉄道・バス・タクシーなどの往来が多く、乗り換え間隔が短い

  4. バリアフリー・ユニバーサルデザインが徹底されている

  5. 駅前広場・公園がある

  6. ひとりで夜も安心して歩くことができる


基準はそれぞれ、しかもそれが相反している場合もあるもので、すべての人が「満足」といえる状態を確保することはそう容易ではありません。

抽象的な満足度を成果指標に位置付けることが都市問題の課題解決に真に結び付くのか、ここは少し立ち止まって考える必要があります。

その「満足」は、他の人の不満足につながっているかもしれないのです。


行政評価の「納得度」から再検討を


価値観やライフスタイルが多様化している今、単に抽象的に満足か否かを尋ね、これを成果の基準とするのは、行政評価として果たして適切なのでしょうか。

行政活動に制約条件がさまざまある中、多様な価値観を認め合う共生社会をどのように実現していくか、これが問われる時代にあって、現在のような指標はもはや適切ではないと私は考えています。

日本全体でSDGsが目指す「誰ひとり取り残さない」という考え方を取り入れることを表明している現状を踏まえ、例えば「施策・事業に対する納得度」などに指標を改めていく検討が不可欠と思うのです。

最近では幸福度(well-being)に関する研究や取組も多様に進められていることから、これを参考に検討を進める方法もあるかもしれません。

仮に「満足度」を指標に採用するのだとしても「駅周辺の満足度」のような抽象度の高い指標ではなく、せめて「夜間にひとりで歩くことに安心感があると回答した割合」という程度には具体的な指標を採用する必要があるのではないでしょうか。

杉並区を「住まいのまち」にしたいのなら、その理念に沿った指標で現状を客観的に確認検証していくことが必要だと思うのですよ。

あまりにも抽象度の高い「満足度」指標は、何とでも受け止めることができてしまうのであって、それは時として予想もしない解釈が成立してしまうのです。


「杉並区長にとっての満足」と「あなたが考える駅周辺の満足度」の基準が同じとは限らないわけですからね。


あなたは、どのように考えますか?

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