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うたをうたおう

崩れそうになった時、支えてくれた歌があるだろうか。

一曲でなくていい。アーティスト、バンド、アイドル、なんでもいい。誰かの歌声が、救ってくれたこと。

特別なことではなく、きっと誰しも、程度の差はあれ、音楽に救われたことはあるんだと思う。私にもある。

退路を断った覚悟で挑んだ大きな夢があった。そのために就職をせずに勝負をかけた。そんな大勝負だったにもかかわらず、自分の愚かさゆえに躓き、夢破れた。

はじめて目の前が、白と黒だけになった。なんの輪郭もつかめず、光の濃淡が白と黒で描かれてるだけ。そんな気持ちになったのは初めてだった。

私は、あのときまで、今以上に甘ちゃんだった。なにか外のことに言い訳を求めて、それのせいだと言い聞かせて、痛いところに目を向けないでいた。

この過ちは、私にその甘さを直視させた。そこにあることをわかっていながら、視線をそらしていたものが眼前に突き付けられた。

「あっ」と、こころの視野が変わってしまった。

はっきりとしたきっかけや転機はわからないのだけれど、この頃を前後して、私はなにかが変わってしまった。後付けの推測だけど、きっとこのとき、私のこころは何かを見るか、聞くかしてしまったのだろう。

目隠しを外され光を浴びたように、いきなり耳栓を外されたように、うまく自分のおかれた状況が理解できないまま、3ヵ月くらいは過ごした。

夜中にひとりリビングで膝を抱き、惰性でテレビから光と音を摂取する。垂れ流しの音楽番組がかかっていた。

聴こえてきた曲が、摂取してきた音とは違う音色だった。
あまり好きなタイプの曲ではなかった。だが、確かに届いてきて、3ヵ月前にやってしまった過ちのときに忘れていた涙が、溢れてやまなかった。

23歳無職、冬の入り口。
初めて知ったアーティストのバラードに心打たれて、大泣きした。

この曲のペースじゃないけど、ゆっくり歩くペースで考えて、そこから進みだせた。間違いなく、どん底から救ってくれたのが、この曲だった。

間違っちゃったなと、ああ、もう駄目だなと。本気で思っていて。それを溶かしてくれた曲でした。

そこからは割と復活が早くて。2カ月で大学院の受験受かって、いまの私がございます。

ファンクラブ入って、ライブ行きまくったのはいい思い出。笑

こないだ行ったイベントで、moumoonが流れていて、嬉しかったのは、そういうわけです。

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