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二人の兄弟、2つのアナエロビック

エルサルバドルから、2つのフルーティーなコーヒー豆が届きました。

Fernando Limaさんと、Ernest Limaさん。
兄弟でそれぞれ農園を持ち、それぞれの持つ農園がCOE(カップオブエクセレンス)国際品評会で幾度も受賞している、エルサルバドルを代表するコーヒーマンたちです。

今回、品種はブルボン、精製方法はアナエロビックという同じ条件で、お二人の農園それぞれからの豆を取り寄せました。

それぞれ、まず最初の印象として、クリーンでスムース、酸のフルーティーさがきれいです。

お兄さんのエルネスト氏の豆は、フレーバーの層と冷えてくるにつれて重量感が出てくる酸で、音に例えると少し低めの音を感じているような印象。

El Salbador Las Nubes Yeast Anaerobic (Ernest Lima氏 ※Fernando氏の兄 )
〈地域〉サンタアナ県ブエノスアイレス
〈品種〉ブルボン
〈標高〉1,675m
〈精製方法〉イーストアナエロビック
〈テイスティングノート〉
文旦、清見タンゴール、レモン、オレンジ、ピンクグレープフルーツ、黄金糖、花の蜜、洋梨、デラウェア、クリーン、スムース


弟さんのフェルナンド氏の豆は、最初に感じたクリアな酸の印象がずっと続き、高めの音の印象。
ビオラとバイオリンのような、それぞれの印象です。

El Salbador Santa Elena Yeast Anaerobic (Fernando Lima氏 ※Ernest氏の弟)
〈地域〉アパネカ・イラマテペック山地
〈品種〉ブルボン
〈標高〉1,800m
〈精製方法〉イーストアナエロビック
〈テイスティングノート〉
レモン、パッションフルーツ、ピンクグレープフルーツ、水あめ、花の蜜、スムース、少しスモーキー

アナエロビックという精製方法は、果肉の中から「種子」であるコーヒー豆の部分を取り出す処理の際に、嫌気性発酵の工程を入れる精製方法です。
嫌気発酵を利用して狙った風味を出したい、というのがこの方法の目的。
まだその手法が確固たる確立を見ていない、発展途上の精製方法ですが、派手な香りになるものも、奥行きが出てきれいな印象になるものも、様々なものが生まれ始めています。

このご兄弟のそれぞれのアナエロビック、一堂に会して飲む機会は貴重だと思い、今回は双方同時リリースとなりました。

その豆を当店では、
・焦げ味が出ないように焙煎し(焦がさない焙煎)
・焙煎直後から耐圧容器内で圧をかけて保存する(加圧熟成)
ことで、さらにまろやかな味が持続することを目指しています。

味の定着には、焙煎してから1週間もしくはそれ以上、二酸化炭素で圧をかけて酸素に触れない環境下(ビール樽内やビール瓶内など)でコンディショニングを行います。
これで、様々なコーヒーの持ち味が、バラバラではなく角がとれてまろやかにまとまります。
そして、樽から出した後も、空気が触れないような容器の中であれば、さらに味は良いほうへ変化していきます。
お客様のお手元で、是非コーヒーの成長をお楽しみいただければと思います。

当店のコーヒーは、沸騰直後のアツアツのお湯で淹れることを推奨しています。
焙煎による苦味がないので、お湯の温度を下げる必要がなく、逆に高い温度で淹れることで豆が持っている個性がはっきりと出ます。
ペーパーフィルターで淹れて、すっきりとしたフレーバーを楽しむのも良いですが、コーヒー豆のオイルも一緒に抽出されるフレンチプレスのような淹れ方も、甘味が余すところなく出てオススメです。


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