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愛している君へ 【ミステリー小説】 資料①週刊A 10月22日号


*注意*
・残酷描写があります。苦手な方はご遠慮ください。
・タイトルは恋愛小説っぽいけど、恋愛小説じゃないです。

我儘で申し訳ありませんが、何卒、よろしくお願いします。





前回のお話。





これは自殺か?それとも他殺か?警察「これは自殺です!」


 山に囲まれた歴史ある町、B丘市。そこでは、今月20日に観光名所として有名なB谷で田中杏さん(21)の死体が発見された。多方面で活躍していた田中さんを悼む声は大きい。死ぬ数時間前まで笑顔を周りに届けていた田中さん。数時間のうちに自殺まで何に追い込んだものとは?

 「あんずちゃん」として大学やSNS、様々な趣味で活躍していた田中杏さん。彼女の死を徹底的に調査するべく我々はB丘市へと向かった。そこでは、彼女を悼む声が絶えなかった。

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「杏は、みんなの尊敬の的でした」

 そう語るのは、小学校から高校までずっと一緒だったというAさん。

「杏は、勉強ができて、見た目も可愛かったし、みんなに分け隔てなく優しくしていました。絶対、男子にモテてましたよ」

 嫉妬はなかったのか聞いてみると

「もう、なんでもできる子っていう感じで嫉妬なんか通り越して尊敬でしたよ。私の自慢の友達でした。私はまだ、杏が死んだなんて信じられないです」

 他の人にも聞いてみると、みな口をそろえて「信じられない」「尊敬してた」「将来が楽しみだったのに」と言う。
 素晴らしい人柄であったことは間違いないようだ。

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「僕の記憶にある限り自殺は絶対にありえない。他殺か事故死ではないんですかね」

 大学で同じテニスサークルに入っていたというBさんは開口一番そう切り出す。

「悩みとかがあったら結構みんなのことを頼っていましたし、ちゃんと他人を頼ることのできる人です。一か月ほど前は、彼氏に浮気されたとかで結構いろんな人に不満をぶちまけていた気がしますが、最近は立ち直ったと言ってテニスに全力で向かっていました。もうすぐある大会で優勝をするんだと意気込んでいました。彼女はテニスが上手で前回は準優勝だったんですよ」

 一か月前の浮気について詳しく聞いてみると

「精神的に結構不安定でしたよ。僕は男子ですし、そういうのは女子の方が知ってるんじゃないかな」

と言う。我々は一か月前の浮気について調査していくことにした。


 そこで、同サークルで田中さんと一番仲が良かったというCさんに話を聞いてみることにした。

「もう、ひどかったですよ。あの時期は。Twitterの裏垢にめっちゃ愚痴ってたぽいですし。なんか、『他の大学の女子に奪われた』って言っていましたよ。頼ってくるくせに全然詳しく話してくれないんですよ。あんまり信用されていなかったのかな」

 他に誰を頼っていたのか聞いてみると

「多分、ほぼ私しか頼ってないんじゃないかなと思います。勿論、浮気されたというのはサークル内で結構有名だったのでみんな心配して声を掛けたりしていましたけどね。ただ、SNSでは『右のice』さんという方に相談していたはずです。私に『すごい優しい人なんだよ』と教えてきました。正直、ちょびっとだけ『右のice』さんに嫉妬しましたよ」
 
 みんなに頼っているようで実はそうではない田中さん。彼女は心の内をさらけ出せる人が身近にいなかったのだろうか。

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 ここで「右のice」さんという人がでてきたので連絡をとってみた。田中さんと「右のice」さんはSNS上で趣味である読書を通じて仲良くなったそうだ。

「あんまり、個人情報は流せないですけど、一か月前はすごく不安定でしたよ。通話とかもしたんですけど急に声を荒げたと思えば、泣いていたり。凄く心配でした。結局、自ら命を絶ってしまったとのことですが、まぁ、あの頃のあんずちゃんならありえるんじゃないかなと思います。少なくとも、僕にはそう思えましたけど。ただ、最近はテニスの話をたくさんしてくれて、もう大丈夫だと思っていました。僕がもっと話を聞いてあげてれば救えたかもしれないと思うと申し訳なさでいっぱいです」

 「右のice」さんは直前まで田中さんと連絡をとっていたという。

「僕があんずちゃんと通話したの19日の夜8時頃ですね。その時に『明日、B谷に行く』と言っていました。僕は、てっきり明日、観光に行くんだとばかり思っていました。そのあとあんずちゃんのご両親から『いつも連絡をくれる時間がかなり過ぎているのにこない』と聞き、最初は『B谷への旅行の準備で忙しいのではないか』と伝えたのですが、次の日の朝の8時頃になっても『連絡が着かない』と言っていて、不安になり、僕も連絡したのですが連絡が着きませんでした。しかも、ふと天気予報を見てみたらあんずちゃんが行くと言っていた今日は雨マークがついているんですよ。『おかしい』と思い、居ても立っても居られない気持ちになったため、ボランティアとしてあんずちゃんを探しました」

 「右のice」さんはかなり前から田中さんの両親と連絡をとっていたそうだ。田中さんが両親に「右のice」さんのことを紹介して繋がったらしい。田中さんの両親は「右のice」さんのことをかなり信頼していることが伺える。
 直前の田中さんの様子を聞いてみると

「元気そうでしたよ。いつも以上に明るかったですね。でも、そのあとに命を絶っているわけですから本当は元気ではなく、あの明るさはそういう感情を隠すためだったのでしょうね。あんずちゃんの死はそれに気づけなかった僕のせいです。本当に申し訳ございません」

 「右のice」さんとの通話から失踪、死亡までに一体なにがあったのだろうか。

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 今度は、「右のice」さんが連絡をとっていた田中さんの両親にこの事件について話を聞いてみた。

「杏は自殺なんてしていません。これは他殺ですよ」

 そう答える。その理由は

「杏とは、毎日、連絡をとっていて色々と相談を聞いたりしていたんですけど、ここ最近はテニスの話ばっかりで。大会に向けて頑張る様子が文面から伝わってきました。もし、他殺じゃなかったとしても自殺はありえないです」

 さらに、

「杏が見つかったB谷は観光名所ですよ。そんな自殺名所でもないし、整備もしっかりされています。死のうと思っていくところではありません」

 事故死の可能性について聞くと

「B谷で事故なんて聞いたことがありません。だから、私たちは他殺だと言っているんです」

 実際、B谷は観光名所として有名になってから、かなり整備されており、事故は起こってない。

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 田中杏さんの死はや他殺なのだろうか。それともやはり自殺?事故死? 







 これは、10月22日の週刊Aの一部のつもりです。多少、抜けがあります。(例えば、田中杏の大学生活についてとか、SNSについてとか、あと警察の話とか?)
 もう少し、話が詰まってきたら付け加えるかもしれません。


 最後までお読みいただきありがとうございました。

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