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駅までの道、徒競走?

私は、駅までの歩いている。約20分弱だ。
小高い丘の上に団地がある。
購入して35年余りになる。
やっとの思いで完済した。
世帯年齢も、ほとんどが年金受給者となっている。

国土地理院の地図によれば、標高約28メートルだ。
下りは良いのだが、帰りは上り、きつい。

年齢を感じる。
「足が前に進まない。
息が上がってしまう。
明日の仕事に差し支える。」
等を理由に挙げ、妻に迎えに来てもらっている。

下りの道は、すいすいと歩いて行ける。
この間の雨降り、
スニーカーが滑ってしまい、体が宙を舞ってしまった。
こんなことは初めての経験だ。

スニーカーが目線より上にあった。
背中からアスファルトの地面に、
転倒してしまったのだ。
頭を打たなくてよかった。

背中から腰にかけて、びしょびしょに濡れてしまい、
せっかく席が空いていたにも関わらず、座ることもできず
目的地の駅まで立つことになった。
その日は一日きつかった。

雨降りの時は、今さらではあるが、足元には、十分気をつけたい。

歩を進めると、坂道から平坦な住宅街へと変わってくる。
この辺の方は駅に近くていいなと思いながら歩く。

前方に十字路があり、右に曲がり、歩いていると、
いつもこの道筋あたりで、後方から、ちゃっちゃっと
足早に近づいてくる音が、聞こえてくる。
さらに足音が大きくなる。

徒競走の始まりだ。
私も抜かれまいと、両足の回転数を上げる。スピードアップだ。
後方の足音が先ほどより小さくなった。
「いいぞ!」小さな満足感に包まれる。

それは一瞬で打ち砕かれる。
後方から走ってくる。小走りだが、一瞬で抜かれてしまうのだ。
それが悔しい。
それが毎日なのだ。

その相手は、女子高校生である。
抜かれる際、若さ溢れるほのかな香りがする。
いいもんだ。
ポニーテールにアップした髪型は、今どきの高校生だ。

私たちの頃は、女子はおかっぱと決まっていた。
時代の移り変わりを感じる。

抜き去った後は、ゆっくりと歩いていく。
私は悔しいので、更にスピードアップする。
その気配に気づいたのか、また走り出す。
私には負けたくないのか。なぜか、その理由はわからない。

このやり取りは、約20分弱のわずかな時間の、一コマであるが
私の楽しみになっている。



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