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『大切なことはすべて君が教えてくれた』~春馬くんが幸せに暮らすもう一つの世界線を見せてもらったようで

去年の衝撃の夏の日から春馬くんを追っていた私は、あらゆる動画配信サービスを探してこのドラマを見ようとしたが、その時にはいくら探しても見つけられなかった。それがこの度、TverやFOD、GYAO!などの動画配信サービスで一斉に解禁となった。しかも、7/6までという期間限定で。先日2日日間かけて、全10話を一気見した。

春馬くんとの出会いのドラマ

私が、春馬くんを初めてちゃんと認識したのは、2011年に放送されたこのドラマだったと記憶している。21世紀に入ってから(大袈裟!)、結婚、子供二人出産、仕事しながらの育児に奮闘していた私は、エンタメからすっかり遠ざかっていた。CMやワイドショーのエンタメニュースなどで「三浦春馬くん」というえらくかっこいい男の子がいるというのは認識していたが、世代が違うのでその程度だった。ようやく2010年に入ってからテレビドラマを見る気になり、トレンディドラマ全盛世代の私手始めに「月9」でも見てみようか、ということでこのドラマを見始めたのだ。当時の記憶では、武井咲さんの印象が強烈だった。そして、春馬くんみたいなかっこいい高校教師いたら、そりゃあもう女の子達勉強にならないよ!って思って見ていた記憶。

よくある教師と生徒の禁断の恋のドラマ?

なにしろリアルタイムで見たのは10年前で、ストーリーも忘れかけている。去年の冬にTSUTAYAでDVDをレンタルして見たがその時は、ひたすら春馬くんを追うだけで精いっぱいだったので春馬くんの顔しか印象に残っていない。今回集中してドラマをよーく見てみた。公式HPで紹介されているあらすじはこんな感じ。

“教師と生徒の恋”——もはやそれは禁断ですらないのか?
結婚を約束し合った学園でも人気者の二人の教師。
しかし、男性教師には秘密の過ちがあった。
それは女子生徒と関係を持ったこと。
無邪気さと残酷さを武器に少女は問いかける、
「あなたたちの愛は本物ですか? 相手は信じるに足る存在ですか?」と。男は自分の罪をどう償うのか。女は男の罪をどう許すのか。
教師という職業を舞台に、“試される愛”をスリリングに描きだす。
~フジテレビ「大切なことはすべて君が教えてくれた」公式HP番組紹介

これだけ読むと教師と生徒の禁断の恋のパターンかな、と思ってしまうけど・・・

教師と生徒の禁断の恋といえば、真っ先に思い浮かぶのは1993年のドラマ『高校教師』である。野島伸司原作、脚本で、高校教師と女子高生役に真田広之さんと桜井幸子さんを配し、最終回は視聴率33%を記録した大ヒットドラマ。そして、2003年には藤木直人さんと上戸彩さんで同ドラマの続編も放送されたという(私は未視聴)。
また、1999年には松嶋菜々子さんと滝沢秀明さんのドラマ『魔女の条件』、近年であれば2018年、有村架純さんと岡田健史さんのドラマ『中学聖日記』などが記憶に新しい。

これらのドラマには、たいていお決まりのパターンがある。
家庭などに問題があり学校でも浮き気味の生徒の大胆な行動に、真面目な教師が翻弄されながらも、次第にその生徒に惹かれていく。一方で、二人の周囲には、執拗に我が子を溺愛する親や、束縛強めだったり完璧すぎてすれ違う婚約者、ジェラシーのため友達を陥れようとするクラスメートや一見模範的に見えるが実は影で問題行動を繰り返す教師など、確固たる悪役が存在する。そういう障害が教師と生徒の禁断の恋をより一層燃え上がらせ、ついに二人はお互いの想いを遂げ愛し合うようになるが、世間からの激しいバッシングを受け、二人の運命はいかにーーーというパターンが鉄板かと。

ところが、この『大切なことはすべて君が教えてくれた』は、そういうドラマでは全くなかった。

まず、悪役が一人もいない。
最初、武井咲さん演じるひかりが、小悪魔的に春馬くん演じる修二を翻弄したり、戸田恵梨香さん演じる夏実に挑発的な態度を取ったりしていたから、今回の悪役はこの子か?と思ったが、途中からすべてを曝け出しすっかりいい子になっちゃうし。
また、新井浩文さん演じる修二の兄の孝一が、出来過ぎの弟修二に嫉妬し劣等感から不穏な空気を醸し出していたが、後半からはいい理解者になっていたし。

更に、周囲の人たちもいい人ばかり。
まずは、風間杜夫さん演じる鶴岡校長。自分の下で教師になったかつての教え子の修二と夏実を温かく見守っている。
西村雅彦演じる同僚の中西先生。修二のことを羨ましがりながらもいつもふっと力を抜いてくれるような言葉をかけてくれる。
篠田麻里子さん演じる夏実の親友で同居人のさつき。実は修二の元カノでもあるが、今は全面的に二人を応援している。
内田有紀さん演じる亜弥さん。ひかりのかかりつけ医の看護師であり、4年前の事故でひかりの姉を救えなかったことを悔いている。ひかりのよき理解者であり、女性としての幸せを願っている。

そして、2年1組の生徒たちも基本みんないい子達だな~と思う。
最初の方で石橋杏奈さん演じる優奈と親友のSNS誹謗中傷という事件があったが、結局は仲良しだし。修二がひかりと一夜を共にしたことが知れ渡った後は修二を責める態度だった彼らも、本当に修二を信じていたからだよね。みんな修二や夏実を慕う可愛い教え子たちなのだ。

そんなこんなでいい人ばかりのこのドラマ。どうやら今まで見てきた教師と生徒の禁断の恋ドラマではないらしい。
このドラマのキャッチフレーズは「試される愛」。禁断の恋を描くというよりは、修二と夏実の愛をひたすら試しながら、修二、夏実、ひかりの心の変化と成長を追っていくドラマ。またサイドストーリーとして、姉の死によってバラバラになったひかりの家族がやがて再生していったり、修二の挫折を通して兄孝一との本当の絆が築かれていったりというヒューマンドラマでもある。

修二の生真面目さ、不器用さを嫌いになれない

このドラマは、賛否いろんな意見があると思う。それは、見ている人の人生経験をモロに反映しているのかもしれない。なので、人生の折り返し地点を過ぎたおばちゃんの単なる感想と思って読んでいただきたい。ちなみに、戸田恵梨香さん、武井咲さんの演技、改めて見るとほんとに素晴らしい。感情の機微を見事に演じていて、こんなにすごい演技だった?と驚く。
そして生徒たちの面々。菅田将暉、剛力彩芽、広瀬アリス、中島健人、石橋杏奈、伊藤沙莉、能年玲奈(現のん)、岡山天音等々(敬称略)。
今や押しも押されぬ日本映画界、ドラマ界の第一線で活躍する錚々たるメンバーだが、当時はまだダイヤの原石の彼ら。若き日の彼らを見るだけでも、このドラマ一見の価値ありだと思う。

だけど、例によって春馬くんファンとしてこの先春馬くんのことばかり書いちゃう。お許しを。

そもそも、このドラマ、「教師とは聖職」という圧がすごい。学校は普通の社会とは違う、と。だから、どんな事情であっても生徒を部屋に泊めるのも、子供が産まれるのに結婚をしないのも許されない。まあ、こうやって文字にしてみると、ごもっともというところなんだけれど、でも、ちゃんとした理由も事情もあるし、そのあたりを考慮して、もうちょっと違う対応があってもいいんじゃない?と思う私は甘いのかな。なんでもかんでも、最後は「教師だから」に終結してしまうのがちょっと「?」をぬぐえない私。

これまでどこから見ても百点満点の教師だった修二が、教師としてのルールを逸脱して落第点を取ってしまうが、ひととしては”正しさ”を尽くしたと思う。”正しい”というか誠実というか。いや、くそ真面目と言ってもいいかもしれない。例えば

◆一夜を共にした教え子のひかりと本当に関係を持ったか否か定かでないのに、ひかりをかばい世間にも婚約者の夏実に対しても「自分の意志により関係を持った」こととしている。
◆過ちを無かったことにしない。ちゃんと認める。
◆誰のことも責めない。
◆相手の考えを尊重しようとする。
◆心の傷を負うひかりをなんとか救ってやりたくて、なにがあってもひかりのもとに駆けつける。
◆ひかりに惹かれているという自分の気持ちを、夏実に偽らない。
◆曖昧な気持ちで夏実に戻ったりしない。戻れない。
◆いくら惹かれていても、生徒であるひかりと関係を持ったりしない。
◆ルールを破ったことから逃げない、きっちりと罰を受ける。
◆夏実に向かうのも、自分も相手と同じ量の愛情を持っているという自信を持てたから

などなど。

とにかく、一切言い訳をしないし正直。超えてはいけない一線も超えない。
すごいよ、修二!こんな若さでここまでなかなかできないよ。
でも・・・苦しいよ!苦しすぎるよ。

だから私は、夏実のセリフに共感してしまう。

「なんで結婚をやめるのも許するのも私が決めないといけないの?!修二の答えを聞かせてよ!」
「なんとでも言って逃げりゃいいじゃん。最低!修二。なんで許してくれって言わないの?それでも結婚したいって。」
「ばっかじゃないの!たった一度の罪なんか私が許すっつうの!」
「修二はやっぱり修二だ。犯した罪をなかったことにできない。余計にくそ真面目な男。」
「なんでそうやって自分だけ正しい選択しようとするの。いいじゃない!自分の幸せのために生徒を犠牲にする最低の教師のまま生きていけばいいじゃない。」
「修二、私のためにずるい男になってよ。」

何事にも言い訳をしないということは潔いことなんだけれど、女はほんとは必死で言い訳をしてほしい。何度も謝って、いくら責めらたてられてもどこまでも納得するまで言い訳して謝ってほしい。
男の過ちに遭遇した時にたいてい女はそう思ったりしてしまうんじゃないか。そうして許してしまって、またもとに戻れるなら戻りたいと思う。

でも、だからといって本当にそうされてしまったら、安心はするけど実は今度はその男のことをほんの少し見くびってしまうのにね。それに男がもし本当の気持ちを偽ったとしたら、自分のもとに戻ってきても心から信じられないのにね。でも、その渦中ではそんなことわからないのだ、だから、女はとにかく納得させてほしいのだ。

でも、女心をわからない修二はそうしない。素直に迷う。でも誰のことも傷つけたくない。そして、自分を防衛することもしない。めちゃくちゃ世間から罰を受ける。だから、見ていてすっごい苦しいし、なんて不器用だと思ってしまう。

そして、夏実もまた、ずるい女になれない。
ひかりに惹かれていく修二を阻止しない。妊娠をたてに、修二を引き留めたりしない。それが結果的に修二を教師を辞めることに追い込んじゃうんだけど、そういうこと計算しない。
妊娠を告げられた修二が「責任をとる」と言った時に、夏実が言った言葉。「またそうやっていい人になろうとする。周りからがっかりされるのが怖いのね、いつも正解を出してきたから。丸く収めることばっかり考えちゃだめよ。ここまでぐちゃぐちゃにしたんだから、最後まで貫こうよ。求められるのを察してそのとおりやるのは簡単よ。でも、もうそれは終わり。」世間体を考えて丸く収めようとしない。
ひかりに対しても「あなたが修二を思うその気持ちが、あなたが女だっていう証拠だと思う」とちゃんと向き合う。「柏木先生を普通に好きになってもいい?」というひかりにだめだなんて言えるわけない。

だから、これまた見ていて苦しい。

果たして、この修二や夏実のようにできる人がどれだけいるだろう?
多かれ少なかれ、どうしてもどこかずるくなってしまったり、どこかで妥協してどこかで体裁よく丸く収めようとしてしまう。そうでなければ、すべて放り出すか。

だから最後の最後、ようやく結婚まで辿り着いた二人の愛は崇高ですらあると思う。一点の妥協も偽りもなく、すべて自分の気持ちを突き詰めてたどり着いた結果だから。これはひとえにいくら傷ついても疲れても、最後まで修二に妥協もさせずにすべて選ばせて待っていた夏実の愛と力量のおかげだと思う。だから、「大切なことはすべて君が教えてくれた」なんだな。

実は私、昔ちょっと似たような経験ありまして。でも、夏実みたいにはなれなかったな。

美しい春馬くんに見惚れる

この時、弱冠二十歳の春馬くん。25歳の教師役、しかもこんなに複雑な心情を理解できたのだろうか。この少し前は高校生役の「君に届け」だったと思うと驚きだ。
それでも、ひかりとの一夜がばれないようにビクビクしている演技や、数々の苦悩の表情はさすがの春馬くんである。深々と謝ったり、菅田将暉くんに殴られてふっとんだりとカッコ悪い演技もさすが。

だけど、私はやはり、美しくかっこいい春馬くんに魅せられてしまうのだ。
第一話オープニングはもちろんのこと。ひかりの秘密を知り、惹かれ始めた表情とか。すべてを告白した翌日ひかりの登校を待って立つ春馬くん。
「俺は同じように愛せてなかった?」と夏実を見上げる表情。ひかりを心配のあまり、北斗星に飛び乗った時の表情。夏実にプロポーズするときの表情。春馬くんの想いが溢れちゃったっていう表情が好き。
そして、何より大好きなのはポルノグラフィティの「EXIT」と共に流れるエンディングの白シャツ春馬くん。シーツの間で照れて笑う春馬くんや、カーテンから夏実を引き出して優しく見つめ、そっと抱きしめる春馬くん。
美しすぎて、天使かと思っちゃう。なんならエンディングだけでも何回も見てしまうくらいお気に入り。


月9って・・・

ちょっと下世話な感想も吐き出していい?

なんといっても、ひかりの魅力が凄すぎる。最初は小悪魔風に修二と夏実を振り回しておきながら、途中から一変して傷ついた健気な女子高生になるあたり、あれ、たいていの男の人落ちるでしょ!?
自分の秘密を告白した後修二に謝って「あの夜のことはなかったことにする。そしたら、先生、幸せになれるよね?(涙目で微笑む)」とか、
修二が復職後再会した時、横断歩道を一人走って渡り泣きながら
「私はいいの!誰も待ってない。でもずっとそうだったから平気なの。誰かそばにいると期待しちゃうの。だから一人の方が楽。」って叫ぶとか、退学届けを出したあと「これで本当にさよならだね、先生。」と涙ぐんで言うとか。

心に傷+ひたむき+健気+笑顔で強がる+かわいい=最強!

っていうの、オスの本能を大きく揺さぶる方程式でしょ?これ出ちゃったら、ああいうシチュエーションでキスしちゃうとか一線超えちゃう、ってのが月9の定番でしょ?
よく落ちなかったな、よく堪えたな修二。
だって修二、ひかりに惹かれていたことは確かだと思う。秘密を告白し家に帰らなかったひかりをあの夜のバーで見つけた時「(ブログでひかりの気持ちを読んで)嬉しかった。本当の君に会いたくなった」って言う。復職後学校に行く目的が見いだせなかった修二が、ひかりに再会して「佐伯、僕は君を一人にしないためにここに来たんだ。僕は毎日、学校で君を待つよ。」って言った時の顔。そして、ひかりに夏実の妊娠を否定しなかったとき「君になら言える。なんでだろ。」って弱いとこ見せたり。修二、めちゃくちゃ思わせぶりじゃない?ひかりもよくこれで吹っ切れたな。よく修二とひかり、清い関係でいられたな。
これって月9?私の月9の認識が古いのかな?

最後の授業は辛すぎて・・・

第9話の最後の授業。一旦退出した修二が教室に戻ってきて、生徒たちへ言った言葉。

辛すぎて、もうここには書けない。

春馬くん・・・それだけ守ってくれるだけでよかったのに。


春馬くんの幸せに暮らすもう一つの世界線

最終話。ストーリーがどうとかよりなにより、子供が可愛すぎて何度も起こしちゃうとか春馬くんがほんとに幸せそうで。
春馬くんが、愛する奥さんと可愛い子供と一緒に幸せに暮らすもう一つの世界線が存在し、それを見せてもらったようで涙が止まらなかった。

どうか。
ほんとにそれがどこかに存在していてほしい。そう願わずにはいられない。

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