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こんな怖い映画久しぶりに観た〜大女優の対決「何がジェーンに起こったか?」

各種配信サービスには、“マイリスト“や“ウォッチリスト“という機能があり、観たいと思った作品を登録しておけます。私は、メディアの記事や読んでいる本に登場する作品で、気になるものがあったら入れています。時には、それぞれのサービスが、“あなたへのおすすめ“と推奨してくるものもあるので、興味が湧いたらクリックします。

結果として、結構な数の作品が視聴待機しているのですが、中にはなぜリストに入れたのか思い出せないものもあります。その一つが、今日の「何がジェーンに起こったか?」(1962年)、U-NEXTの配信です。

二人の大女優という構造にひかれたのだろうと思います。一人は、ベティ・デイヴィス(1908−89年)、1935年と38年にアカデミー主演女優賞受賞、壮年期の1950年には「イブの総て」で、カンヌ映画祭の女優賞を受賞、最晩年まで映画に出続けたレジェンドです。

もう一人はジョーン・クロフォード(1904ー77年)。こちらはサイレント映画時代の1925年から映画に出演、MGMのスタートして活躍します。1945年には「ミルドレッド・ピアース」でアカデミー主演女優賞を獲得。この二人が激突するサスペンス・ドラマです。

原題は「What Ever Happened to Baby Jane?」。時は1917年、満員の劇場の舞台に立つのは、“ベビー・ジェーン“こと、ジェーン・ハドソン。タップを踏み軽快なダンスを披露する9歳の少女スター。続いて、客席からのリクエストに応え、“パパに手紙を“を歌い上げます。フォワイエでは、“ベビー・ジェーン人形“が販売されています。

ステージを降りたベビー・ジェーン、自らの稼ぎを鼻にかけ、わがままな態度で、アイスクリームをねだります。その脇には、対照的な髪型・髪色の姉ブランチ(13歳)が立たずみ、「私はいらないわ」とアイスを欲しがりません。脚光を浴びる妹に対し、複雑な思いを抱いています。その態度に、父親が「ひねくれた子だ」と叱りつけます。1917年における、二人の女優の実年齢に合わせた設定になっています。

時は流れ1935年、姉ブランチは押しも押されぬ大スターになり、高級車に乗り、大邸宅を購入しようとしています。ただし、少女時代に妹の稼ぎで食べていた恩義からか、妹のバーター出演なしには映画会社と契約しないポリシー。人気少女だった妹ジェーンは大根女優でアル中、映画関係者は対応に苦慮しています。

そんな中、二人の姉妹を襲ったのが、自家用車による事故!

スクリーンには、タイトルと出演者・製作者のクレジットが流れます。素晴らしい“つかみ“です。監督は、ロバート・アルドリッチ、私が観た記憶がある作品はバート・レイノルズ主演のアメリカン・フットボールを題材にした映画「ロンゲスト・ヤード」(1974年)です。

事故から時は流れ、画面には“YESTERDAY“と映されます。これは、映画が公開された1962年という時点を表しているのでしょう。つまり、ブランチを演じるジョーン・クロフォードと、ジェーン役のベティ・デイビスは、実年齢と役の歳が一致、二人の大女優が還暦を目前にした難しい年代での出演でもあります。

そして、ここからが二人の大女優の出番となります。事故の影響で車椅子生活になっているブランチ、同居するジェーン。隣人や家政婦が、ドラマにアクセントをつけます。

互いに嫉妬心を感じてきた姉妹、ブランチの身体的な問題から、主導権はジェーンが持っているように見えます。そして、そのジェーンの精神状態は。。。。

子供時代の栄光にすがりつく妹ジェーンは、かつての大女優ブランチに、今も嫉妬しています。それは、徐々にエスカレートし。。。。

怖いです。こんな怖い映画は久方ぶりに観ました。その源泉は、ベティ・デイビスにあると思います。鬼気迫る芝居とは、このことでしょう。

鑑賞後、少し調べると、ベティ・デイビスとジョーン・クローフォードの現実世界における関係は、かなり微妙なものがあったようです。なにせ、そのことを大事にした「フュード/確執 ベティvsジェーン」というドラマまで作られたようですから。(これ観たいのですが、配信されていないようです)

現実とのシンクロを聞くと、ますますゾッとします。

ミステリー的な仕掛けも含め、リストに入れておいて良かったーという映画でした




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