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エジンバラからロンドンの旅(その2)〜花嫁の両親のいでたちはキルトと黒留袖

(承前)

今回の旅の目的は、次女の結婚披露パーティーへの出席。場所は彼女が住むスコットランドの都市エジンバラ。仕事・旅行で何度か訪れている街ですが、相当な数のツーリストが街を歩いていました。

今回の出席にあたり、次女から「キルト着る?」と聞かれました。彼女の相手はスコットランド人、彼らのフォーマルな衣装はキルト、男性が着るスカートのような服、柄は様々なデザインのタータンチェックです。

人生でこんな機会はまずないので、キルトのレンタルをお願いしました。キルトにも様々な種類がありますが、妻が日本の正装・黒留袖なので、私の方もフォーマルによせ、黒の蝶ネクタイ着用のフォーマルなジャケットにしました。キルトの柄は、日本の家紋のように、それぞれの家(クラン)のものがあるのですが、私はなんでもよいので、赤と緑のロバートソン・タータンにしました。

日本から持って行ったのは、タキシード用に持っていた白いドレスシャツと、結び目があらかじめできていない正式な黒のボウタイ。蝶ネクタイは、自分で結ぶ主義なのです。

シャツを着てキルトを巻くのですが、位置はベルトの位置よりもかなり上、左右二箇所にバックルがありますので、これで締めます。想像したよりも、生地が厚く重かった。裾が膝ギリギリの辺り、きつく締めないとずり落ちてくるので、結構キツイ感じです。

ジャケットは、黒のベスト(ウエスト・コート)の上に着用、ボタンは独特の四角いデザインです。白いハイソックスを履きますが、上部にフラッシュというタータンと同デザインの飾りを巻き、それに被せるように上部をひとつおりにします。利き手の方の靴下にはスキャンドゥ(Sgian Dubh)という短剣を挟みます。キルトが戦闘服だった頃の名残でしょうが、もちろん本物のナイフではありません。

靴は、ウィングチップの黒靴ですが、長い靴紐がついた“Ghillie Brogues“と言うもので、足首に巻きつけて結びます。最後に、腰にスポーラン(Sporran)というバッグを腰に巻きます。これも、TPOに応じて種類があり、ジャケットに合わせてフォーマルなものを用意してくれています。キルトの後ろ側には、ベルトループのようなものが付いているので、スポーランのチェーンを通して、ずり落ちないようにします。キルトにはポケットがないので、携帯電話などの小物を入れるのに、結構便利です。

こうして花嫁の父は完成しました。

隣では、妻が日本から持ち込んだ黒留袖を苦労しながら自ら着付けています。彼女は、歌舞伎や落語など、伝統芸能を観に行く際に、よく着物を着ています。曰く、黒留袖は通常の着物よりも重量がかなりあり、着付けは大変だそうです。日本での練習の成果もあり、おめでたい鶴の柄の帯がビシッと決まりました。

着物姿の妻と歩くと、なんとなく誇らしい気分になります。私だけでしょうか。

キルトを着た日本人と、外国人から見てもフォーマルに見えるであろう黒留袖のカップル、誰が見ても花嫁の両親と分かる。。。はずだと思います。

前置きが長くなりました、これで両親ともに完成しましたので、パーティーに向かいましょう

続く


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