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映画監督ウィリアム・フリードキンの訃報〜「フレンチ・コネクション」と「エクソシスト」

良いことではないのだが、書くネタが無いなぁと思っていると、訃報が入ってくる。

映画監督ウィリアム・フリードキンが87歳でお亡くなりになった。

死亡記事で、代表作として掲げられているのは、「フレンチ・コネクション」「エクソシスト」(1973年)で、全ての記事に共通している。New York Times紙も同様で、フリードキンは両作のヒットで有名となったが、<後年も成功作があったが、初期の喝采を取り戻すことはなかった>と見出しに書かれていた。

この2本しか観ていないと思い、作品リストをながめた。タイトルだけでも記憶に残っているのが、フランス映画をリメイクした「恐怖の報酬」「ブリンクス」、ゲイの世界を描いた「クルージング」くらいで、あとはピンとこなかった。

そのくらい、前述の二作が衝撃だったのである。

「エクソシスト」の日本公開は1974年で、中学1年の私は友人と公開早々に観に行った。もしかしたら、友人と一緒に行った初めての映画かもしれない。前年の1973年、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」が大ヒット、小学六年だった私の周りでは、友達同士で観に行っていた同級生もいたが、我が家では許可が降りなかった。おかげで、ブルース・リーを最初に映画館で観たのは、1975年公開の「ドラゴンへの道」だった。

「エクソシスト」はアメリカで大ヒットしたこともあり、公開前から大いに話題になっていた。凍えるような寒さの中、ニューヨークの劇場には長蛇の行列ができ、ダフ屋まで出現した。マイク・オールドフィールドのアルバム「チューブラー・ベルズ」の曲がテーマ曲となり、私はそのレコードまで買って公開に備えた。

そうして観た「エクソシスト」は、確かに凄い迫力で、主演のリンダ・ブレアの体が飛んだり、頭が回転したりと衝撃の映像があり、それに対峙する神父の演技も印象に残っている。ただ、怖いという感じはあまりなかった。それは、日本における怪談は大抵が“恨み“から来るものであり、「エクソシスト」の中の悪魔という存在には、西洋人とは違い、あまり身近なものとは思っていなかったせいもあるだろう。

アカデミー賞作品賞・監督賞・主演男優賞など、五部門で受賞した「フレンチ・コネクション」は、「エクソシスト」から随分時を経ってからビデオで観た。これは傑作だった。

“ポパイ“ことドイル刑事を演じるジーン・ハックマンが魅力的。ニューヨークの地下鉄で、犯人を追うシーンの緊迫感が、記憶に残っている。そして、相棒がロイ・シャイダー。この2人が麻薬密輸事件を追う。ロイ・シャイダーはこの映画をキッカケとして有名になり、1975年「ジョーズ」で主演を務める。

低予算で作られたおかげか、ロケのリアリティが素晴らしく、ちょっとヨーロッパ映画的な魅力もある。タイトルの通り、フランスと結びついているようだ。

もしかしたらと思い、検索したら、3年前に「フレンチ・コネクション」を見返したことを書いていた。


NYT紙によると、フリードキンは12年ぶりに新作を完成。今月末から始まる、ベネチア映画祭で上演される予定だった。

本人の登場はかなわなくなったが、彼の業績を讃え、冥福を祈る拍手が鳴り響くことだろう



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