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アラン・ドロンの訃報〜「地下室のメロディー」名優二人が仕掛ける“最後の大仕事“

8月18日、フランスの男優アラン・ドロンが亡くなりました、88歳でした。

男前の代名詞、大スターで日本でも人気が高く、CMにも登場、紳士服「ダーバン」で僕には意味不明のフランス語が流れていました。「笑点」における、三遊亭小遊三のキャッチフレーズが「大月のアラン・ドロン」(笑)

アラン・ドロンにあまり興味が持てませんでした。一つには、映画を見始めた1970年代半ばにおいては、やや“過去の人“になっていたからかもしれません。榊原郁恵が、“アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた“という曲を歌いましたが、僕にとっては当時“パシーノ“とされたアル・パチーノ>アラン・ドロン。「ゴッドファーザー」(1972年)、「〜 PART II」(1974年)、「狼たちの午後」(1975年)と快進撃でした。

アル・パチーノやロバート・デ・ニーロに比べると、典型的な二枚目のアラン・ドランは、当時の僕にとって“男性の敵“的な、いけすかない存在だったのです。

80年代に入り、古い映画もそれなりに観てきた僕ですが、アラン・ドロンについては「太陽がいっぱい」(1960年)くらいで、驚くほど観ていないのでした。

今回の訃報を受けて、ちょっと観てみようと思い立ちました。New York Timesがドロンの代表作10本を紹介していて、その中から選んだのが、「地下室のメロディー」(1963年、U-NEXTで配信)です。

監督はアンリ・ヴェルヌイユ、主演は公開時27歳のアラン・ドロンと58歳のジャン・ギャバン。新旧スターの共演です。

刑期を終えて帰宅したシャルル(ジャン・ギャバン)ですが、彼を待っていた奥さまの提案など聞く耳を持たず、“最後の大仕事“に向かおうと考えます。

相棒として白羽の矢が立ったのが、刑務所で一緒だった若者フランソワ(アラン・ドロン)。二人は、南仏カンヌを舞台にした“最後の大仕事“に取りかかります。

ジャン・ギャバンの貫禄が凄い。そして、どこからどう見ても、金持ちの老紳士。一方のアラン・ドロン、やっぱり格好良いですね。素直に惚れ惚れします。甘さと危うさが同居する魅力、女性もそりゃ引っかかりますよね。今、彼のような男優はいないように思います。

「地下室のメロディー(原題:Melodie en soups-sol)」と題するだけあって、音楽がドラマを盛り上げます。白黒の映像は、古さを全く感じさせない瑞々しさ、鏡の使い方が絶妙です。

さて、ジャン・ギャバンとアラン・ドロンの“大仕事“とは、そして結末は。それは観てのお楽しみ。

最高の“オチ“が用意されています。


いつものように、今さらですが、アラン・ドロンの映画、もうちょっと観た方が良いですね。ご冥福をお祈りつつ



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