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誕生まで⑧|これからの道のり


手術を担当する医療チームとの一回目の面談。

改めてエコーで胎児の心臓を確認しつつ、妻の体調や普段の生活などもヒアリングしていただき本題へ。


今回は、新生児科の医師から、現状と今後の道のりについての説明。
(後に聞いたが、この時の医師は大学病院全体でも “重鎮” の方らしい...)

絵も描きながら解説して下さった(上が正常、下が現在)

今回の説明を要約すると…

【前提】
まず「完全大血管転位症」『指定難病』であり、重症かつ高度な医療が必要。

症状として「大動脈と肺動脈が逆に形成されている状態」であり、誕生後に何もしなければ生存出来ない

上記の症状のみの場合は「ⅰ型」
さらに 心室中隔欠損 がある場合は「ⅱ型」
心室中隔欠損に 肺動脈狭窄 を伴う場合は「ⅲ型」

となり、息子はこの内「ⅰ型」との見解だった。
(先述の通り、後にⅱ型の診断になるが...)

「ⅰ型」は基本的に
「根治手術」(病気を完全に治すことを期待して行う手術のこと)
であるが、生後まもなく行わなければならない上、新生児という小さな身体ということもあり、手術自体が非常に難易度の高い大手術となる。


【妊娠中】
幸い、胎内では問題なく成長ができる為、妊娠中の特別処置などは不要。

いま大事なのは、お腹の中にいる間に、可能な限り大きく育つための栄養管理だったり、母体すなわち妻のストレスが極力ないように気を付けること。(個人差はあれど、成長速度に関しては「胎内 > 胎外」で、”約7倍”ほど差があるとのこと)


【出産後(手術前)】
誕生後、すぐに「NICU」へ移動し、心エコーやCT等の検査を実施。
(現時点では、母体のエコーによって間接的に胎児を見ているため、直接エコーを実施し、最新の状況を確認する)

この時「ⅰ型」及び「ⅱ型」に懸念されるのは、血液中の酸素の不足が原因で、皮膚が青っぽく変色する「チアノーゼ」
この症状が重度の場合は「バルーン心房中隔裂開術(BAS)」を行う。
※BASは行う可能性が高いと思うとのこと

その後、容態が安定するまで、様々な薬の投与を行い、症状によって調節していきながら手術に向けて身体をを整えていく、そして 生後の7日~14日 に、本題の大手術である「大動脈スイッチ手術(ジャテーン手術)」を行う。


【手術後】
術後は、経過によって前後するが、3~6か月の間入院 し、最終検査に問題がなければ晴れて退院となる。(最近では、大体1-2か月で退院するケースが増えているとのこと)


【退院後】
経過によるが、幼少期は定期的な検査は必要。
ただ「ⅰ型」に関しては、比較的健常児に近い状態で日常生活を送れるケースがほとんど。

ということだった。
(所々、端折っているところもあるが大体こんな感じ)


また、今後は妊婦健診と並行して、「小児循環器科」「心臓外科」「麻酔科」などとも定期的に面談をしていくことも案内された。


「難病」ということもあり、病状としては当然重い。


しかしながら、一つ一つわかる領域が増えていくことで、私たちの不安も以前より解消されていったのは間違いない。


そして、私たちの心理的負担を一番軽くしたのが、

「完全大血管転位症=治る病気」

と、医療現場的には認知されているということ。


もちろん、「100%」ということではないし、そもそもが重度の「難病」。
合併症や感染症などの懸念されるリスクは、計り知れないほど多い。


しかし、“手の施しようがない原因不明の病ではない” というのは救いだった。


さらに、この大学病院がいくつもの症例と実績があり、全てにおいて対応できる環境が整っているのも安心材料だった。


実際、説明して下さった新生児科の医師だけでなく、ここで関わった全ての方々が、きちっと病気に対しても、そして患者である私たちに対しても、本当に真摯に向き合って下さる方々だった。

“良縁” に恵まれたと心から思ったし、最終的に息子は旅立ってしまったけれど、私たちはここでのご縁に全く後悔はない。


そして、一回目の面談は終了。
その後、併せて定期の妊婦健診も行うべく主治医の元へ移動。


しかし、そこで主治医から、新たな懸念点を告げられる。


つづく

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