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「感情の哲学入門講座」が哲学入門書として最適なので読んでほしい

こんにちは、佐藤@読書好きプログラマーです!
「無駄な知識など存在しない」をモットーに年間100冊ほど雑多に本を読んでいて、感想とかをここで吐き出しています。

最近、以下の本を読みました。

この本は「感情とはなにか?」というすごくざっくりした質問をもとに多方面から感情を分析した本になります。
人は誰しも感情を持っていて、感情はとても身近な存在だと思います。この身近な存在を題材に筆者が哲学的な思考法を説明していて非常にわかりやすいです。まさに哲学的思考の講義を受けている気分になります。


例えば、「感情とは体の反応ではないか?」という仮定をしてみます。
人は怒ると体が震え頭に血が上ってカーっとしたように感じますし、悲しくなると涙が出そうになり血の気が引きます。このような体の反応こそが感情であり、体が反応するからこそ感情がでるという考え方です。

これを確かめるために顔の表情を変えて同じ作業をすると幸福度はどうなるのかを試した実験があります。実験結果は、笑顔の表情をしたまま作業すると幸福度が増え、怒った表情をしたまま作業すると幸福度が下がりました。
こうなると体の反応こそが感情であると言えそうですが、本当にそうでしょうか?

体の反応こそが感情ということは逆に言えば体が反応しなければ感情ではないということになります。つまり、無表情で全く体が反応しなければ感情は存在しないということになります。しかし実際はそんなことはなく、表情に出さずに極力体の反応を抑えたとしても感情は生まれます。
例えば、客から理不尽な要求を受けて謝罪している状況を思い浮かべてください。身体的には謝罪し反省している表情を作っているにも関わらず、内心は理不尽さの怒りを抱くこともあると思います。
つまり、感情は体の反応のみで作られているわけではないが、体の反応によって多少増減するという事がわかると思います。


このように「感情は体の反応である」という仮説をもとにして、仮説を立証するためにはなにを試せばよいかを考え、仮説に対する抜け道がないのかを考えていく方法こそ哲学的思考のお手本だと思います。
哲学的思想というと難しそうに聞こえますが、そもそも哲学とは答えを求める作業です。なにか疑問を持ち、その疑問に対して議論し、より洗練された答えを求めれば、どれだけ単純な疑問でもそれは哲学となりえます。

哲学的な問いというと「生きる意味とは?」や「正義とは?」のようなとても大きく世界に影響する問いがすぐに浮かびますよね。しかし、僕らの生活にしか影響しない小さな問いでも十分哲学的に扱うことが出来ます。
僕らの生活には様々な小さな問題に満ち溢れていて、それをちゃんと解決するためには哲学的な考え方は効果的です。

問いを重ね本質を見抜くことで問題を解決する思考法はシンプルであり万能です。もし興味を持たれたのであれば一度この本を読んで見てください。人の感情についても学ぶことができる一石二鳥な本ですのでとてもおすすめです。



最後まで読んでいただきありがとうございました。
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