システムに自律性を埋め込むには?
金融政策と財政はディシプリン(自律)がなければなりません。特に将来世代が票を持てない民主主義社会において。
この記事の「自律」という言葉に反応しました。金融政策と財政の自律性については専門外なのでここでは論じません(あしからず)。ここでは、そもそも「自律」とはなんなのか?をあらためて考えたいと思います。
他からの支配や助力を受けず、自分の行動を自分の立てた規律に従って正しく規制すること。 「学問の-性」
自律(じりつ)の意味や定義 Weblio辞書
https://www.weblio.jp/content/%E8%87%AA%E5%BE%8B
自律性はシステムが有する性質。自分の中に持っている規律によって判断し、行動する度合い。
では具体的にどのような仕組みが自律性を生み出すのだろう?と考えてみます。澁澤さんの記事によれば、現在の金融政策や財政においては自律性が十分に働いていないという認識のようです。まだ存在しないものをイメージするのはちょっと大変なので、よそから借りてくるという思考法を取ってみます。つまり、他で自律性があるものはなにか?ということです。
■■■ 他で自律性があるもの:生命体
真っ先に浮かぶのは、生命体です。研究が進んでいる人間の体で考えると分かりやすいかもしれません。ここから特徴・パターンを抽出してみます。
▼特徴1:変化が常態である
生命体は、時間の流れと共に絶えず変化をしています。世界の変化に適用するために固定的ではなく流動的な作りになっています。たしかに、命ないものも絶えず変わりゆく世界の中で変化があります。生命体はその中でも、自分の中のルールに基づいて、世界の変化に反応して素早く変化していく点が特徴的です。
▼特徴2:複数の系統がある
呼吸器系、消化器系、神経系など複数の系が互いに関係しあいながら、全体を構成します。絶えず変化しつつ全体のバランスを保つ仕組みを持ちます。
▼特徴3:サイクルがある
他に見えてくるパターンは「サイクル」です。状態遷移して絶えず変遷しつつも、一定の周期で元の状態に戻ります。
仕組みの自律性に必要な要素は、以下であると考えました。
- 周期がある(時間間隔がほぼ同じ)
- 複数の状態があり遷移していきまた元の状態に戻る
- 外の系とのIn/Outがある(Inを認識してOutする方法がある)
複数の系があるならば、それぞれにおいて定義し、かつ相互作用を考慮する必要があります。結果として再帰的な構成になります。
サイクルを金融政策と財政に当てはめると…って門外漢なので正直分からないのですが、枠だけ書いてみます。
1. 複数の状態を定義する: 金融政策と財政の例であれば、企業、家計、政府、海外の要素の定義。そしてそれらを流れるお金の量・スピードの定量化と考えます。
2. 周期を決める:1年おき、3年おき。あるいはマイクロに10分おきとかまで縮めてみる。
3-1. KPIとしての指標値を設定し関係者の標準言語にする(値で会話する)
3-2. 他国とのやりとりを持つ:既存をキープしつつ、さらなる工夫点を探す
■まとめ:自律性のあるものの特徴
1. 変化が常態
2. 複数の系統がある
3. サイクルがある
システムに自律性を組み込む要素を洗い出すところまで、思考を進めることができました。具体的にこれらの要素が存在するかを確認することで自律性を埋め込むためのヒントが得られるはずです。
お金の話で言えば、サイクルの回り方が以前と変わったことを踏まえて、別のサイクル回転を考えることになります。お金を流す動力が変質しているため、長寿化して先行き不安を抱える人の心理を踏まえながら、新しい動力の開発が必要と考えます。お金以外の流通物を検討することも価値があると考えます。
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