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映画感想:シャッターアイランド

みなさんこんにちわ。ほにゃです。GWもいよいよ終盤いかがお過ごしでしょうか?
え? 今年のGWは自粛続きで、なんにも出来てないって?
そう!そんなときこそ家でNetflix!映画でも見て(無駄に)過ごしましょう。(※Netflixの回し者ではございません)

ということで、今日は僕が最近観た映画、シャッターアイランドの感想とおすすめポイントを書いていきたいと思います!

あらすじ

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レオナルド・ディカプリオ扮する、連邦局保安官部下と一緒に、精神病患者が隔離されている島、『シャッターアイランド』に乗り込むところから話が始まります。脱走した精神病患者、"レイチェル" の捜索のため、訪れた連邦保安官たちですが、すぐにこの島の異常さに気づきます。そう、この島は精神病を患う囚人を利用して、極秘の実験を遂行するやばい島だったのです!そして、この島で行われる、悪の所業。ロボトミーや薬物による精神コントロールの悪行を暴こうとするのですが…

この映画を観たきっかけ

みなさんはマーティン・スコセッシ監督をご存知でしょうか!?知らない人のほうが、もしかすると少ないかもしれないですね。でも僕はまったく知りませんでした!

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ただ、今まで好きだった映画を振り返ると。僕がみた数少ない中で好きな作品を挙げていくと一つの共通点が!
* ウルフ・オブ・ウォールストリート
* アビエイター
* タクシードライバー
* グッドフェローズ

そう。全てマーティン・スコセッシ監督の作品。そして、主人公はみんな精神が狂っていました…!

どうやら僕は、狂った主人公とマーティン・スコセッシ監督の作品がとんでもなく好きなのでした。

マーティン・スコセッシ監督の特徴

マーティン・スコセッシ監督の作品の共通点としては、人間のギリギリの様を描く破滅性かなと思います。主人公の社会的地位は、天から地まで。様々な立場の主人公が描かれます。ただ、共通して言えるのは、皆なにかに苦しんでいて、限界のところでパフォーマンスを発揮しているギリギリの人間たちなんです。決して、安定した貴族の生活をしている人じゃない。僕たちもそうじゃないでしょうか?様々な葛藤があり、程度の違いはあれど、ギリギリのところで暮らしている。そんな現代社会人のバイブル(?)とでも言えるような様相が描かれているのが、マーティン・スコセッシ監督の作品だと言えるとおもうんですよね。(※個人的な見解です)

シャッター・アイランドのここがスゴイ

シャッター・アイランドの凄さは、なんと言っても作品をとおして、精神病患者の思考や、異常性を追体験させてくれるところだと思います。(まるで自分が精神病患者になったような体験をさせてくれます。)

個人的なところを言うと、僕は、陰謀論や、世間の常識を疑うことが大好きな人間です。逆を言うと疑わない人の事をなんで?どうして自信をもってそれが正しいと言い切れるの?という部分に疑問をもっていました。

そんな僕が観ると、この作品の主人公は、とても興味深く、すごく共感を呼んだのでした。

※ここからは、もはやネタバレしかないので、観たことがない人はお控えください。

主人公はアメリカ連邦捜査局の保安官。彼が、疑いを持つのも無理はない全てが怪しい隔離された囚人の精神病棟。失踪した女性"レイチェル"関して、聞き込みをすすめるけども、口をつむぐ囚人たち。唯一正常な患者が書き残したメモには"run"(逃げて)の文字。そして襲ってくる謎の嵐。島から出るためのフェリーは動かない。体調不良に陥り病床に寝かされる主人公。

どうして?!どうして、真実を暴こうとしている主人公たちが、こんな目に合わないといけないの?この"シャッターアイランド"への不信感が募っていきます。

この施設は、患者の精神病につけ込んでなにか悪いことをしているに違いない!!(第二次世界大戦時代の主人公の精神的トラウマもオーバーラップして、違和感を増幅させます。)

そう確信したところで、主人公とそれを信じる私達に、この映画はとてつもない視点の転換を与えます。

ほんとにネタバレですが。

つまりは主人公が自身が精神病患者であり、悪の組織である精神病院こそが、正しいという視点の転換です。

視点の転換によって浮き彫りになる正と悪の定義

この、話を全て観たあとに僕は、単純に主人公が精神病患者であった、勧善懲悪のシンプルな話とは受け取れませんでした。

正義として観ていたものが、悪になる視点の転換は見事で、それにより本当に正しいのは何か?という哲学的な問いかけをこの作品は視聴者に投げていると思います。

本当に正しいのは、シャッターアイランドの医師の目線か?それともそれに抗う、精神病患者の主人公の目線か?

主人公が劇中の最後に残した『いい人として、生きるか?化け物として死ぬかだ』はまさにこの意味を問いかける言葉で。実は主人公の視点が"正"である世界もあり得るのではないか?という、余白を残している部分がこの作品の一番すごいところだと思いました。

誰にでも起こり得る、視点の転換

自分が正しいとしてきた、信念や生き方が、ある法律やその解釈によっては違反しているというのは誰にでも起こり得ることです。

そんな事当たり前だし、法律を破るわけないじゃん。と思っている人ほど疑ったほうがいい。当たり前が当たり前じゃなくなる瞬間があるんです。(たぶん)

この映画でいうと、それはまさに主人公が精神病患者だと自覚する瞬間。自分の信じていた世界が一気に崩れる訳ですね。

しかしそれだけではなく、この作品にはもう一つ視点の転換が隠されています。それは、主人公とは真逆の視点。ロボトミー手術を実行しようとした医師たちの視点です。医師たちは、法律の認可や社会の情勢(ノーベル医学賞受賞)に従い、異常な精神病患者に、ロボトミー手術を施そうとしているわけです。しかし、今となっては、脳の前頭葉に障害を与え、感情の起伏を人工的に抑えるこの手術は倫理的にも、医学界の常識的にも禁忌とされています。

精神病の診断を医師に委ねられ、『1つでもおかしな過去があると、それを口実に精神病扱いされる』といったインプットを得た主人公が、ロボトミー手術を恐れ、その実情に違和感を覚えることがおかしいでしょうか?

いよいよ正しいのがどちらかわからなくなってきますよね!?

こういったときに唯一頼れるであろう、法律が規定できているのは、ごく一部の"よくある"争点についてのみです。それ以外の事柄に関して。そもそも、正しいも正しくないも誰も規定できていないし、わからないのです。それは今の時代においても同じくだと思います。

冤罪事件で発生する認知バイアス

映画の世界で描かれる、善悪、視点の転換というのは、なにも極端な例をあげている訳でもありません。私達の日常にも至るところにある問題だと思います。

* ある事件で判決を受け大衆から批判されている罪人は、実は無実の罪かもしれません。
* 戦争下では、殺人が勲章の対象になり、その数によって多くの人から讃えられます。

みんな、ある程度大きなもの、偉い(であろう)人、国、政府がした意思決定を正しいものとして受け入れ、それに準じた行動を取るようにプログラムされています。しかし、その大きな、偉い人が関わった意思決定が本当に正しいのでしょうか?

日本の第二次世界大戦中しかり、そのときに常識だった考え方やそれに基づいた意思決定はあとになってみれば、大間違いなんてことは、全然ない話ではないと思います。

新型コロナで混乱する世界について思う事

新型コロナウィルスについても、世の中で様々な見方、憶測が飛び交っています。こういった状況で皆様お気づきかもしれませんが、世の中には一つの確定した見方や正しさなんてものは存在しません。文化背景、法律、信念、大衆心理によって、切り取られた個々人、一人ひとりの見方や正義が存在するだけです。

今回紹介した映画の世界でもあるような、価値観の転換がいくらでも起こる世界なわけです。昨日の常識が今日の非常識。だれもいま信じてる、明日や今日の行動が、正しいかわからない状況なわけです。

だからこそ、自ら情報を集め何が確からしいのかを判断する思考が大事じゃないのでしょうか?

シャッターアイランドを観て、『主人公がやばい精神病だったな。』というわかりやすい一方向の視点だけを切り取るのではなく、『主人公が実は正しいかもしれない。』という視点を持って、果たして自分はどちらを信じるのか?と思考する。物事を多面的に視る事の大切さを、この映画はメッセージとして残しているのではないでしょうか。

ただ、そうして自分の眼を持って判断した"正しさ"が世間や常識と乖離したとき、この映画の主人公のように精神病として扱われることがあるかもしれません。

『"いい人"として死ぬか?バケモノとして"生きる"か?』

最後に主人公が残した言葉によって、いよいよ"正しさ"がわからなくなってくるわけですね。

いい人として社会、大衆の正義を受け入れ自分を否定する(=死ぬ)のか?
バケモノとして社会、大衆の正義を疑い、揶揄されながら生きるのか?

あなたはどっちに舵を切るでしょう?

マーティン・スコセッシ監督の描く主人公を観ていて、思うのは皆どこかバケモノさが滲み出ているなぁということです。そして、僕はそんなバケモノたちが好きなのでした。(観てるぶんには)

さぁ、みなさんはどっちの人生を生きるでしょうか?

申し遅れましたが私、Kノ介はアメリカ連邦政府の保安官をしております。
これから、とある怪しい島について、独自の調査を開始します。失踪した精神病患者、そして政府の不正を暴かねば!!

それでは、また来週。

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