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応援される本屋(2024年6月14日)

久しぶりの更新です。バタバタしておりました。
公立中学校の講師としての仕事を週2回、2カ月限定で始めてみたら、noteを書くはずの時間が、授業プリントを作る時間に吸い取られていきました。
元素周期表って、本棚みたいで見ていて飽きないですよね。

さて、僕は高円寺のシェア型書店「本の長屋」の中で「本屋フォッグ」という書店をやっているイイムラと申します。
「フォッグ」は、先日亡くなった小説家ポール・オースターの小説『ムーン・パレス』の主人公の名前から取りました。
フォッグは、伯父さんが遺した大量の本を読んでは古本屋に売って、読んでは売って……という行為を通して生きることを続けようとします。僕は今、その状態です(この後のあらすじを知っている人に心配されそう)


本屋はサポーターの応援で成り立っている

最近、ある独立系書店を初めて訪ねました。店舗もオンラインも順調に売り上げていて、コンセプトもユニークなので参考にしたかったんです。訪ねたら本を買ってしまい、積読本が増えることを知りながら……。

その店主と話したら「オンラインは難しいけど、絶対やった方がいい」とおっしゃった上で「Amazonでも本が買える時代にわざわざこの店で買ってくれる人は、ある程度、数冊まとめて買ってくれる」と言っていました。
つまり、本屋を支えたいサポーターが全国にいて、その人たちが売り上げを支えてくれているのだと。

確かに、その店主の方は「本屋さん」と聞いてイメージされるような姿とはかけ離れた雰囲気を持っている魅力的な方で、お店も独特。開店までの経緯を書いたZINEを読むと、応援したくなる人の気持ちも分かります。

「スーパー贔屓の店」

書店に限らず、通い詰める常連になって、何かとそこのお店で買い物をしてしまうようなお店を「贔屓の店」ということがありますが、さっきの書店のように、今の個人経営書店は「あの店が生き残りますように」という願いを込めて推される店でなければならないのでしょうか。
贔屓どころではなくて、スーパー贔屓の店(だせー)

そうなのかもしれないけど、何かが引っかかる。ファンを付けることだけが、目指すべき正解ではないような。学校の教員も、生徒に人気の先生になればいいわけではないように。

お店ではなく理念を応援してもらおう

最近、高円寺本の街商店会の活動に関わることになって、色々と思うことがありました。
本の街商店会は、お店だけではなく、理念に共感する個人も入会することができるのが特徴。理念を掲げてから、人がじわじわと集まってくるのを目の当たりにしています。
商店会の理念とは、以下の通り。

  • 本を通して、言葉をたいせつにする街

  • 本を通して、いさかいをなくす術を考える街

  • 本を通して、相手のこころを思いやる心を育む街

商店会の活動に参加していると、わざわざこの理念に触れて「いいですね」と話したりしています。

これなのかもしれない。
今すぐにお金を出さなくても「いつか関わりたいと思ってるよ」「何かあったら言えよな」という人がたくさんいればいいのかも。本当にたくさん。

目の前の生活や仕事のことで手一杯だけど、戦争や虐殺や差別や貧困が次々と流れ込んでくる世の中で、明るい未来になってほしい! したい!と考えている人の祈りの窓口になれたらいいのかもしれません。

商店会の理念も、「いさかいをなくす街」ではなくて「いさかいをなくす術を考える街」、「相手のこころを思いやる街」ではなく「思いやる心を育む街」。
「何かもこれから、一緒にやろうよ」という呼びかけに人が集まる。

というわけで、近いうちに、今の時点での本屋の理念(目指す世界)を公開します。期待しすぎず、お待ちください。


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