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著者イベントに登壇(2024年4月16日)

こんにちは。「本屋フォッグ」店主のイイムラです。
一連のnoteはこちらから。
現在は東京・高円寺の「本の長屋」というシェア型書店で、本棚の区画を借りて本を売っていて、週に2回くらい店番にも入っています。
最近は、「本の長屋」の管理にも少しずつ関わり始めています。ぜひいらしてください。

今回の記事の内容:初めての著者登壇イベントの振り返り

本屋でのイベントにまさかの”登壇”

ノンフィクションライター・井上理津子さんの著書『絶滅危惧個人商店』文庫化を記念して、イベントが行われた。
出版元は筑摩書房(つまり、ちくま文庫)で、刊行日は2月8日。

登壇したのは著者の井上さん、会場である「本の長屋」代表・狩野さん、そして僕だ。僕は、駆け出しの本屋代表であり、司会進行のような役割。

イベント(開催済)の広告

刊行日から2か月後のイベント

このイベントの特徴は、

  • 文庫の刊行直後ではなく、2か月後の開催であること

  • トークの中心が本の内容だけでなく、「本の新たな売り方」に及ぶこと

イベントの発案は井上さんと狩野さんだが、あえて2か月後に開催するのは本の販売の「セカンドブースト」の狙いがあったからだそうだ。
本が刊行されると、出版社や著者がサイトやSNSで告知し、新聞に公告が載ったり、大きな書店で平積みになったりして、読者の目に触れやすい期間がしばらく続く。とはいえ、話題の本は次々に入れ替わるし、SNSのタイムラインはものすごい勢いで流れていく。
問題はその後。
第一の波が過ぎたあと、小さな書店にできる売り方、第二の波の作り方について模索したのが、今回のイベント。

本屋が「2度目の読み方」を作れるか

このイベントの主軸になったのは、『絶滅危惧個人商店』に書いてある内容だけではなく「書かれ方」だった。
個人商店店主の懐に入る井上さんの取材術、お店と確かな関係を築いたことを感じさせる文章。
取り上げられている個人商店はもちろん面白いけど、こんな取材をできる人、それを本にできる人こそ、ある意味「絶滅危惧」なんじゃないか? 打ち合わせ段階で3人でそんな話になった。

僕は、1度目は個人商店の本として、2度目は井上さんの取材術の本として読めるような2度おいしい本として売り出せないかと提案した。
「絶滅危惧取材術」と書いた帯を付けて、僕が注目してほしいと思った箇所のリストを帯の裏面に載せる。
イベント当日のお客さんから、帯よりももっと良いアイデアが出て、それについて盛り上がる場面もあった。対面イベントの良さを痛感した。

狩野さんからは、本書にさらにもう1店(あるいは複数店)の記事をおまけで付けて売るという、なんとも贅沢な提案。著者の井上さんも快諾。取材先の街にみんな(お客さんも)で行きましょう!と言って終わった。イベント中にイベントが生まれた。

このイベントで生まれた「売り方」で実際に売られる。気になる方は高円寺・本の長屋まで。

イベントを終えて

成り行きこそがイベントの良さ

今回、僕以外の登壇者のお二人がどんどん話題を投下し、話が広がっていくことが分かっていたので、ある程度、流れに身を任せることにした。
想定される質問リストは用意していったものの、ガチガチに司会進行してしまうより、成り行きを面白がる。僕自身が「この場を使って聞いてしまおう」と思ったことをそのまま言葉にしたりもした。気難しい人が登壇者だったら、そんなことはできなかったろうと思う。

聞き手として

著者を呼んでイベントをするというのは、書店の生存戦略として、あるいは本の販促として定番ではあるけど、やってみて改めて分かったことがある。
話の聞き手として書店の店主が登壇する場合、聞き手はひとりの読者として楽しんだ方がいいということ。
もちろん本のテーマに対する造詣と、プロフェッショナルなインタビュー力があるなら別の話だろうが、僕の場合には成り行きに身を任せた方が上手くいきそうだなと思った。

次のイベントがあるとしたら

と、ここまで肯定的に振り返ることができているのは、当日のお客さんの反応が良かったことと、なにより著者の井上さんからイベント進行に対して「よかった」と言っていただいて安心できたからだ。
それ抜きで考えると「自分が登壇してよかったのかなあ」と思わないでもないが、楽しかったのでよいことにする。
次に著者を迎えたイベントがあるとしても、同じようなスタンスで、著者や他の登壇者の力と成り行きに身を任せてやってみたい。

ちなみに。
「春の長屋フェス」と称して、ゴールデンウィーク終わりまでイベントが続きます。すでに満席になっているものもありますが、まだ申込受付中なので、奮ってご参加ください。


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