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『ホーキング、宇宙を語る』 – 日めくり文庫本【1月】

【1月8日】

 一九六五年から七〇年にかけて、ロジャー・ペンローズと私が行った研究によれば、一般相対論にしたがうかぎり、ブラックホールの中には無限大の密度と無限大の時空湾曲率をもつ特異点が存在するはずである。この特異点は時間のはじまりにおけるビッグバンにかなり似ている。ただし、崩壊する物体と宇宙飛行士にとっては時間の終わりであるが。この特異点では、科学法則も、未来を予測するわれわれの方法も破綻するだろう。しかし、特異点で予測可能性が損なわれても、ブラックホールの外部に残っている観測者にはなんの影響も及ばない。光だろうとどんな信号だろうと、特異点からこの外部観測者のもとへはとどかないからである。

「6 ブラックホール」より

——スティーヴン・W・ホーキング『ホーキング、宇宙を語る──ビッグバンからブラックホールまで』(ハヤカワ文庫NF,1995年)131ページ


スティーヴン・ホーキングの業績の一つである、ロジャー・ペンローズとの研究から導き出した「特異点定理」の理論についての一節。本書より20年近く前に、すでに証明していたということに改めて驚きます。

/三郎左

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