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#35 LIMITS公式インストラクター・ktym「バトるアート」(2021.4.2&9)

今年もあと2ヶ月! 溜まりに溜まった議事録を片付けるぞ~、の気分で書いております。もう放送から半年経過か~~。

今回の会議相手は「LIMITS(リミッツ)」公式インストラクターのktym(ケイティワイエム)さん。そもそもLIMITSって何なんでしょう?

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この「競技型デジタルアート」について、改めてktymさんの口から説明してもらいました。

ルール面からお話しますと、20分という制限時間の中で2人のアーティストが、ルーレットで直前に決めたテーマを元にデジタルアートを制作するんです。会場には大きなプロジェクターがあって、観客はそのアートが作られる様子が見られます(今はYouTubeでも見れます)。完成作品を見るのもそうですが、アートの制作過程を見るのがLIMITSの醍醐味で。制作のすべてを見てもらえるのがアーティストにとってビリビリくるところなんです

これまでひとりで黙々と作業するものだったアートの分野を外に開き、対戦型にすることでエンターテイメントにした斬新さ。勝ち負けについては審査員とオーディエンスがスマホで投票。テーマに合っているか、人の心をつかんだか……作品のデキはもちろん、制作過程のパフォーマンスも評価されるというから面白い。

さて、ktymさんはそのLIMITSの世界初の「公式インストラクター」というポジション。現在LIMITSの普及活動や指導・解説を行っています。

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私はもともと引きこもって絵を描いてるタイプで、人前でしゃべることも苦手だったけど、舞台を経験したことで今は講演会をしたり、人に絵を教えたり。友達からも「よくしゃべるようになったね」って言われました(笑)

最初はLIMITSのプレイヤー。ふとしたことからLIMITSに出会い、その魅力に引き込まれたといいます。

私は以前は「半分デザイナー、半分イラストレーター」みたいな仕事をやってて。あるとき大阪のアートイベントに行ったらLIMITSが出店してて、飛び込み参加者を募集してたんです。一緒にいた友人に「やってみたら」って背中を押されて参加したら、その試合で勝っちゃって。運営の方に「これからも試合に出てみたら?」って勧められ、その後日本大会に出るようになったんです。最初の試合はペンを握る手が震えましたね

LIMITSの舞台は、デスクで絵を描いていたこれまでとは何もかも違ったと言います。

LIMITSは20分という制限時間があるんですけど、制約があるからこそ生まれる表現もあるんです。追い詰められた状態で描くので想像以上ものが出たりするし。だから試合が終わった後は頭がすごく疲れます。LIMITSをやることで普段の仕事に活かせた部分も多くて。ラフを描くにしても、LIMITSのおかげで早くなったり。時間配分にも役立ってますね
LIMITSって沼なんです。私、最初はテンポよく勝ってて、初めて負けたときに悔しくて「この感情は何だ!?」って思って。「またあの舞台に立ちたい」って思ったし、「私を見て!」っていう気持ちが湧いてきて……。「またあの極限の20分を体験したい!」っていうアドレナリンが出たんでしょう

そこで質問。LIMITSで勝つには何が必要なんですか?

まず、慣れは必要ですね。ゆっくり描くのに慣れてる方は20分間という制限時間をすごく怖がられたりして。私も最初は「20分ではたいした絵は描けない」と思ったけど、ツールの使い方を覚えたり、自分の表現したいものを20分でどう表現するか分析することで慣れていったんです。あとパフォーマンスとしては、最初は「よくわからない絵だな……」と思われるものを描いて、最後の1分間で上下ひっくり返したら実はドクロの絵だった、とか。最初は冬の絵だったのが、最後には季節が変わって春の絵になった、とかそういう観客を驚かせる工夫が大事です

LIMITSは2017~8年大会から世界大会も開催し、賞金は500万円。確かにドローイングを面白がる感覚はワールドワイド。大阪発祥のこのスポーツ(イベント?)がワールドスタンダードになる日も近いかも。

LIMITSの理念は「アーティストの舞台を用意したい」ということに加えて、「もっと多くの人にアートを身近に感じてほしい」。「この作品のここが好き」ってみんなが具体的に言えるような世の中にしていきたいです

バトルという要素を足すことで、アートを日常的に楽しめるものにする。時代とともにアートの枠組みもどんどん変わっていく、それがまたアートって感じがしますよね。

もしあなたが何かに悩んでるんだったら、一歩踏み出してほしいです。私も踏み出したことで人生変わったし、今の自分を知れたのは大きくて。しゃべりが仕事になるなんて考えてもなかったですから。だから「一回やってみようぜ! 躊躇するのももったいないよ」って言いたいです

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2021.3.22 on-line


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