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#54 One Smile Foundation・辻早紀「スバラシキこの世界」(2022.4.15&22)

起業家の方の中にはなかなかトンデモない方が少なくありません。このOne Smile Foundationの辻早紀さんもその筆頭。

実は私、清水、この取材で以前辻さんに会ってるんですが、その際のインパクトがすごくて……。

だってみてくださいよ、このルックス。ジミヘンかはたまたサイババか。

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濃いっちゅうか、ファンキーっちゅうか、スタートアップから想起する線の細さが微塵もありません。だって辻さん、本業ミュージシャンですからね。

18歳まで滋賀で育ち、「ヤマハ音楽院」に入学するため上京。3ヶ月で学校をやめて、個人で行動開始。アコースティックユニットで活動していたが限界を感じて……って、CDまで出してるんです。お、正装!

ひとりになってどういう音楽をやっていこうか考えた時、オーケストラをしっかり勉強してみようと思って一から音楽を勉強し直したんです。そしたら編曲力が付いて、人に楽曲提供したりすることが増えていきました

そんな経緯を経て企業のイメージソングなどを手掛けていたところ、だんだん話が壮大になってきます。

僕の仕事は全部音楽からはじまってるんです。宇宙関連も音楽の仕事で。今は民間の宇宙ビジネスが盛んで、その一環で「宇宙葬」のテーマ曲を作ってくれっていう依頼が来たんです。それをきっかけに宇宙ビジネスに関わってる人に話を聞き、「これは面白そうだな」と。それで自分自身でも宇宙と音楽を掛け合わせたプロジェクトをスタートさせて、国際会議で論文を発表したんです。それは「人工衛星や5Gといった通信技術を使えば地球という惑星自体をコンサートホールに見立てて大演奏会ができるんじゃないか?」というもの。これまでのコンサートホールの概念は建物レベルだけど、そのイメージを拡張したら惑星全体がホールになると見立てたんです。で、地球全体でやってる音楽を統率するために宇宙から指揮をとる、みたいな。まあ、僕が宇宙に行きたいだけなんですけど(笑)

いや、もう言ってることがわからない!……頭の中が完全にアースでウィンドでファイアー状態です。で、実際国連や国際会議でスピーチしたとか。ファイアー!

みなさん国連とか国際会議ってもののハードルを勝手に上げてるところがあると思うんですけど、究極的に言えば、現地まで行く旅費と参加費さえ払えば誰でも出入りできるんです。もちろん事前に審査はありますけど、そこは僕の持ち前のいいかげさんさというか対応力で(笑)、「学術的に素晴らしいことなんだ!」「人類の発展に関与することなんだ!」って訴えて。あとは現地でお酒を飲んでみんなと仲良くなるっていう戦法ですよ(笑)

とにかく1に行動、2に行動、3、4がなくてあとは成り行きとハッタリ。その結果――。

めちゃくちゃウケて「すごいアイデアだから絶対成功させた方がいいよ!」ってみんな応援してくれて。日本だと「そんなのできるはずないじゃん」って足を引っ張られるムードが強いけど、海外は楽しいものに対する反応力がすごくて、それは僕の気質に合ってて。良くも悪くも、その水の中で上手に泳ぎはじめたんです(笑)

うん、まあ、狭い島国では収まりきらない人ですよね。で、そのグローバル・スペース・オーケストラ構想はさらに話が膨らんで……。

プロジェクトの目的を聞かれたとき、つい「世界平和だ!」って言っちゃったんです。僕、ノリで生きてる人間のくせに、責任感が強いところがありまして(笑)。言ってしまえば、音楽による世界平和の実現って、これまでムリだったわけじゃないですか? いろいろやってみたものの今も戦争は起こってるわけで。自分も音楽の力は信じてますけど、それとは別に実生活に紐づいた平和活動を行わないとただの売名行為になると思ったんです。それで音楽とは別軸で、テクノロジーを使って、これまでにないアプローチで何かできる平和活動を探しはじめたんです。それがOne Smile Foundationという取り組みにつながっていくんです

ノリとはずみではじまる世界平和。そういうの好きだなぁ、僕は。そこからやっと今の事業の話に流れていきます。

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辻さんが手掛けている事業の名は「One Smile Foundation」。それはテクノロジーを使ってワールドピースの手助けをする事業のこと。

コピーとしては「笑顔が寄付に変わる」って言ってて。そう言うと「笑顔を作ると1円寄付されるんでしょ?」って解釈になるけど、僕としては笑顔を作らなくてもいいんです。普通にすごしてていいんです。日常のなにげない幸せが笑顔になれない方々を支援するとなると、普通に暮らしてる人たちも自分の幸せに対する意識が高まるし、幸せがおすそわけできると共助のネットワークが構築されていく……単純によくないですか?

この事業は、辻さんらが開発した「1 Smile」アプリを使用すると、カメラが画像認識によって笑顔の発生状況を計測し、「1笑顔=1円」でプールされているお金が再配分されるという仕組み。

このアイデアのはじまりは「監視カメラや防犯カメラに笑顔認証機能が備わっていればいいのにね」っていうだけ。監視カメラってほとんどの人は悪いことしてないのに、すべての人を疑って、監視して、犯罪抑止してるわけじゃないですか? どうせならもっとポジティブな要素を入れたらみんなが気持ちよく使えるんじゃないの?って思ったんです

このあたりの発想がすでにワールドピース。しかし辻さんがスゴイのは、それを本気で突き詰めていくところ。

これまでの国際協力って世界の危機を煽って、同情心を引っ張り出して支援に結びつける構造だったと思うんです。それって「みんなで不幸を共有してるんじゃないか?」という想いがあって。もっとポジティブなものを共有して社会支援ができればって思ったんです。世界中のみんなが自分の幸せを追求して、それを続けていった先に社会がよくなるっていう仕組みがインフラになれば一番じゃない?っていう

辻さんがこのことを思いついたのが2019年。頭の中は壮大なのに実際はめっちゃ生活臭が漂っているところが、実に信用できるのです(笑)。

ショッピングモールで子供にジュースを飲ませながら、家族連れがたくさんいる風景をナナメな目線で見て「みんな呑気でいいなぁ。世界には大変な人がたくさんいるのに……」って思ったんです。そのとき「ここにある笑顔が世界平和につながらないかな?」って思ったら一気にイメージが降りてきて。それをポロッと奥さんに言ったら「それできるね~」って返してくれて。それでそういう話を続けてたら「大きな声で言っちゃダメ~!」って叫び出したんです(笑)。笑顔が周囲に伝わる経験って、みんな少なからず体験してるじゃないですか。そこにデジタルを介在させると、誰も否定できないんじゃないかと思ったんです

奥さんナイスアシスト! そして2022年、広島で実証実験スタート。保育所では1日7000回笑顔が検知されたり、ショッピングモールと組んでイベントを行ったり。今や「広島発、新たな平和活動」として脚光を浴びてます。もしや辻さん、令和のジョン・レノンとして時代を変えちゃうかも!?

貧困にも絶対的貧困と相対的貧困があって、絶対的貧困は1日300円以下で暮らしてる人たちのこと。そういう問題は早く解決しないといけないのでチャチャッと世界に出て、世界にDXを展開をして解決したいんです。最終的にはOne Smile Foundationがあらゆる街に実装されて、「こういう社会インフラは当たり前だよね」って世の中になってほしいです。蛇口をひねれば水が出るのと同じくらい当たり前で、「もう世の中に困ってる人いないんじゃないの?」っていう世界を実現したいです。いける気しかないです!

辻さんの話聞いてたらこっちもいける気がしてきた!!! 広島での法人化も検討中ってことで、この人、まだまだ面白くなっていきそうですよ。

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2022.4.11 on-line

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