【就活生/転職活動者向け】「この会社で仕事してみたいと」思ったら読む! リアルな仕事体験記 Vol.10 サントリー〜後篇〜

復活早々、投稿が間延びしてしまいました。笑
サントリー後篇いきます!

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■サントリーの仕事

【お酒の営業ってどんなことするの?】
「サントリーならCMもバンバン流れてるし、たいして営業なんてしなくてもめちゃくちゃ売れるんでしょ?」とお考えの方もいるかもしれませんが、そんなことは全くございません!冒頭のビール業界の説明でもあった通り、日本のビール業界は4社がしのぎを削っている世界です。気を緩めればすぐさま食われてしまう、そんな業界なのです!
じゃあどんな営業をしてるのか?お酒の営業には、大きく分けて2つあります。まず1つめが『家庭用営業』、2つめが『業務用営業』というものです。

・家庭用営業=スーパーマーケット、コンビニ、酒量販店などの一般消費者が購入する小売店への営業
・業務用営業=飲食店や飲食店にお酒を配達してくれる飲食店向け専門の酒販店への営業

 もちろん扱うものはどちらも「お酒」ですが、この2つの営業では内容が全く異なります。
 
【家庭用営業】
家庭用営業の主な仕事は、小売店での自社シェアの拡大や自社商品の売り上げアップです。そのために、ほぼ毎週発売される新商品(実はお酒というものは、期間限定品などの新商品が発売するスパンがとても短いのです。)を採用してもらうための提案であったり、小売店の一番の販売促進ツールである特売チラシに掲載してもらう交渉だったり、酒売り場でどうしたらよりお客様に自社商品を手に取って頂けるのか、というコンサルティング業務などを行っています。商品が入っている冷蔵庫の陳列商品の並び順や、どの商品を置くかなどを、家庭用営業が小売店と一緒に打ち合わせしながら決めるのです。
こういう風に説明するとかっこ良く聞こえますが、地道な仕事もたくさんあります。お店の店頭で、より目立つ場所に商品を並べさせてもらえるように、現場のパートさんたちに混ざってビールケースを並べたり、お店の裏から商品を出してきて、在庫が少なくなった商品の補充をするなどといったことも仕事の一環です!

私個人的には、店頭での仕事が一番重要だと考えています。商品の提案や採用をするのは小売店の本部ですが、実際にお客様が商品を買う場所は店頭です。結局本部に良い提案をしても、店頭でお客様が商品を買ってくれない限りは売上につながりません。そして店頭の一番のキーマンはお酒売り場の担当者であり、担当者はパートのおばちゃんということも多々あります。私はパートのおばちゃんたちとお店の休憩室で一緒にお昼を食べたり、雑談をしている中で、何が売れているのか、パートさんとしてはどういう売り場にしたいのかなど、なるべく本音を教えてもらえるようにコミュニケーションを図っています。こういったことの積み上げが、店頭において目立つ場所に置いてもらえたり、他社よりも多く発注を出してもらえるということに繋がるのです。夏場などはクーラーの効いていないお店の裏で、パートさんたちと一緒に額に汗かきながらビールケースを積み上げたりします。たまにお店で見かけることもあるかと思いますが、メーカーの名前が入ったジャンパーを着ている、一見そのお店の社員風の人が、実は私たち家庭用営業の一人なのです。

【業務用営業】
業務用営業は、数多くある飲食店の中で繁盛しているお店のメインビールを自社のものにする、ということが1番の目標です。皆さん、居酒屋などに行ってメニューを見ると、基本的には生ビールは1種類だということにお気づきでしょうか?(もちろん最近では色んな種類の外国産生ビールなどを扱っているのを売りにしているお店もありますが、それは例外として)
実は飲食店で使われているビールサーバーは、ビール会社が自社のビールを扱ってもらう代わりに設置しているもので、2つ以上のビール会社がサーバーを提供しているお店というのはあまりないのです。そのため、業務用営業は他社のビールが設置されている店には、自社へと切り替えできないかどうか機会を伺い、現在自社のビールを扱って頂いている店には他社の営業が入り込んでこないようにブロックをするということを行っています。じゃあ具体的に何をするのかといいますと、会社から営業1人1人に割り当てられた業務店調査費用(我々は業調費と呼びます、もちろん上限があります。)というものを使用して、実際にターゲットの店や現在の得意先で飲食を行います。

「え、会社のお金でタダでお酒飲めるの!?それなら俺もやりたい!」と思ったあなた、会社はそんなに優しくありません!この仕事は、お酒の鮮度調査(泡もち、グラスの清潔度)や料理の種類、メニューの種類、来店客の様子などを細かにチェックするということが目的です。そして何より、この作業は基本的に一人で行わなきゃいけません。お店がお客様で賑わう中、カウンターで1人酒を飲みながら、あらゆる項目をチェックする。そしてその店が狙っている繁盛店であれば、店長と仲良くなるようにコミュニケーションもとらなければいけない。さらに1晩で3〜4軒のお店を回る必要があり、帰宅する頃には終電の時間に。。。これを、週4〜5日続けなければいけない。業務用営業の担当になり、入社時から体重が増えてないという人には会ったことがありません。笑 また、業務用営業は夜は飲食店まわりをしますが、朝はちゃんと会社に出社し、夕方までは飲食店に配達している酒屋への営業などもしています。本当に体力の必要な仕事です。
 
一方、大変な仕事ですが営業の花形とも言われています。なぜなら、長年扱っているビールの銘柄を変えるということは、長年築いたビール会社とお店の関係を崩してでも、次に使ってもらえるビール会社の営業自身を気に入ったということがとても多いからです!苦労してビールを変えてもらったお店が繁盛する、それはまさに自分のお店が繁盛するかのように嬉しいことなのです。

■入社1〜3年目で経験できること

【1年目−入社後の研修について】
入社後の研修は大抵どの会社でも実施していると思いますが、それはサントリーも同じです。入社してすぐに、新人研修という名の合宿が始まります。これはサントリーが所有する研修センターにて、2週間の泊まり込みの研修となります。この研修において、基本的な会社の歴史やお酒の知識などを叩き込まれます。
この研修、まずは30人1クラスぐらいに分かれた後、そのクラスの中でさらに5人1組くらいの班に分けられます。そしてこの5人で2週間の間、数々のタスクをこなしていくことになるのです。感覚としては、中学、高校時代のクラスと班のような感じです。研修の最初こそ学校生活の延長のような雰囲気になり、楽しいです。
しかし、そんな雰囲気もどんどん降りかかってくる課題の山に直面し、学生気分のまま入社してしまった新入社員たちも意識改革をさせられます。研修時は、「こんなキツいことを社会人はしているのか、俺はこの先やっていけるのか。。。でもこれを乗り切ればこれより大変なことはない!頑張ろう!」と自分自身を鼓舞して乗り切っていました。が、実際今行っている業務に比べたら、研修の日々は楽しい時間だったなと感じます。笑
正直に申し上げて、研修での学びが実際の業務に直接結びついているかというと、そうじゃない部分も多いですが、なによりまず学生意識から脱却することと、サントリー社員としての意識を持つといった点において、必要不可欠な研修であったと感じています。この新人研修が終わり、最終日に新入社員全員の前で異動が発表となります。そして1人1人が自分の配属地へと旅立っていくのです。

【ビール工場研修】
配属後何ヶ月かすると、ビール工場研修が始まります。これは新入社員全員で受けるものではなく、15名のグループほどで順番に研修のタイミングが回ってきます。ちなみにこのビール工場研修を受けるのは、工場勤務以外の社員(営業部門、本社勤務のスタッフ等)のみです。(サントリーでは工場勤務の社員の採用というものは入社試験が異なる)
ではこの工場研修で実際に製品を一緒に作るのかというと、そうではありません。この工場研修では、今まで座学にて学んできたビールの作り方を、実地研修において実際に原料に触れたり、香りを嗅いだりしながら、五感を使って学ぶというものです。作り立てのビールを飲めたのは最高でしたが、中身の劣化が始まって味が悪くなったビールの味を確かめたりするなど、シビア(だけど貴重な)な経験もしました。ビール工場というと生産しか行っていないような印象を持つかと思いますが、賞味期限が近くなって返品されたものや劣化してしまったビールの廃棄なども、同じ工場の敷地内で行っています。毎日ビールを継続的に生産していると同時に廃棄も発生してしまっている。そんな厳しい現状も目の当たりにし、どうしたら無駄をなくせるかということも、新入社員たちはこの研修で学ぶのです。

【森を育てる活動】
森を育てる!?何を言ってるんだと思った方もいらっしゃるかと思います。でも言葉の通りなんです。実はサントリーでは日本全国で森を育てる活動を行っています。というのも、「ウイスキーやビール、ワイン、清涼飲料や健康食品など、お客様に水と自然の恵みをお届けする企業として、地球にとって貴重な水を守り、水を育む環境を守りたい。」と会社のコーポレートメッセージになっているほど、サントリーは水を育む森と密接に関係しているのです。サントリーグループは、商品の製造段階で多くの良質な地下水を使用しています。その地下水の持続可能性を保全するために、森林所有者と数十年にわたる長期間の契約を結び、水を育む森づくりを2003年から行っています。サントリー社員がトラックやブルドーザーに乗り込んで、土を掘り返して土壌を整備する、、、なんてことはしませんが、サントリー社員は全員、全国17カ所の森いずれかにおいて森林の間伐作業を行います。いつもはスーツにネクタイでビシッときめている社員たちが、この日はヘルメット、作業着姿で泥まみれになりながら必死に土木作業を行います。もちろん新入社員も駆り出されます。この活動は仕事の一環なので研修ではありません。自分たちが売るものは自分たちが育てた森から生まれている、ということを実感しながら、皆気持ちのいい汗を流します。

■海外経験

【グローバル展開をしているサントリー、はたして実際のところは】
2014年に米国ウイスキー大手のビーム社を買収し、蒸留酒では世界3位となったサントリー。現在は世界中にグループ会社が約250社、総従業員数約35,000人。そして、従業員数の6割にあたる約20,000人は海外地域の従業員となっています。これほどまでに世界に拡大しているサントリーであれば、やはり外国の従業員とか外国経験豊富な社員とか、海外出張とか多いはず!と思っている方はたくさんいらっしゃるでしょう。実際、私も就活の軸は『海外での可能性』でしたし、サントリーにその可能性を感じて入社を決めました。

では実際のところはどうかというと、私自身はこの3年間、全く英語だったり海外と接するような仕事の機会はありませんでした。そして上記に挙げたような外国人従業員だとか、外国経験豊富な社員、海外出張はどうなのかというと、現在少しずつ日本本社での外国人従業員の数は増えており、英語が話せる新入社員の数も増えているようです。海外出張については、完全に所属部署と個人の業務内容によって行ける行けないが決まります。私が所属する国内向け営業の部署だと、ほぼそういった機会はありません。また海外グループ会社での仕事内容においても、海外のグループ会社には現地で雇われた社員が働いているため、日本の社員がわざわざ海外に出向いて営業をしたりすることはまずありません。4年目以降より公募にて1年間海外での仕事を経験出来る研修もあります。しかしながら、選考を通過できる社員はほんの一握りのため、まだまだ全ての社員に海外での仕事のチャンスがあるとは言えないというのが現状だと思います。結論、働き方はまだまだドメスティックな会社だといえるでしょう。

★こんな人に向いてる★

みんなでワイワイガヤガヤしながら、その中で自分の考えをしっかり持てる人。そして、それを周りの人にもちゃんと伝えられる人。そして何より、なんといってもお酒が好きな人!本当にチャレンジできる楽しい会社です。よろしくお願いいたします!

・自分で考え、強い意志を持って行動出来る人
・お酒が好きな人
・状況に応じて臨機応変に対応出来る人
・困難な状況にも耐え、最後まで熱意を持ち続けることができる人

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はい、いかがでしたでしょうか。
飲食店がコロナの影響で多大な影響を被っている中、サントリーがどのような打開策に打って出るのか、色々とドラスティックな活動も活発な会社なので、その辺りのことも楽しみですね。

それでは、また次回。
どういう企業や業界が知りたいとかあれば、教えてください。

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