【ココロコラム】「いいこと日記」を書くことでプラスの習慣を身につける

ブログやnote、各種SNSを手軽に利用できるようになり、日記をつけている方がけっこう増えたと思います。日記にしてもブログにしても、書いていて楽しめているのなら、それは何の問題もありません。

ところが、現実はそれに反して、日記を書いているうちに、どんどんマイナス思考になり、気分が沈んでくることが、よくあるように思えます。私自身、以前10年前ぐらいの日記を発見して、あまりに暗いことを書いているのに唖然としました。

これは、日記の特徴ともいえます。日記はブログ形式で他人に見せているとしても、基本的には自分一人で秘めている思いを書くものです。すると、ついつい内面への洞察ばかりになってきます。人間は自分の悪い面を打ち明けて、ありのままを許してほしい願望がありますから、いつのまにか自分の否定的な面を書くことが増えてきてしまいます。

すると、自分にまつわる悪いことばかりが意識に中心に上がってきてしまいます。その結果、ただの日記のはずが「悪いこと日記」になってしまう。これは、精神的にかなり悪影響を及ぼします。アメリカの心理学者の論文でも、長年日記を書いている人はうつ病になる傾向が高いというデータが出ています。

これは、日記を書いていると、しだいに書くことがなくなってきて、コンプレックスや過去のトラウマにまで踏み込んで書いてしまうことが増え、それが精神状態に悪く作用していると考えられます。

つまり、日記というのは、意識して自分にとってよかったことやいい思い出、好きなものなどを書く、「いいこと日記」形式にしないと、自分の精神状態をかえって悪化させてしまう可能性があります。本物の心理テストでサービスとして提供している「いいこと日記」を利用するのもよし、紙に書いても、自分のブログに書くのでもいいでしょうが、とにかく内容を肯定的なものにする必要があります。

失敗を日記で反省する必要はありません。失敗やいやな思い出は心の中で処理すればいいのです。記録して、思い返しやすい状態にしたいのは、成功やよい体験のほうです。小さな「いいこと」を読み返してココロのエネルギーを補充していきたいものです。

私は以前から「いいこと日記」を継続してつけています。私自身の実感として、日常生活での「いいこと」への感度が上がったように思えますし、何より運がよくなったとでもいうか、実際いいことが起こる可能性が上がったように思えます。まだつけてみたことがない方には、ぜひお勧めしたいと思います。また、すでに紙やブログの別の媒体で日記を書いている人は、よかったことだけを書くようにしましょう。ひと月で、自分の中の何かが変わると思います。

すでに「いいこと日記」を続けている方には、別の活用法をお知らせしましょう。自分についての「いいこと日記」は引き続きコツコツ書いていって、その他に、友人や恋人や、自分の周りの人の「いいところ」を一日ひとつずつ書いていく「他人のいいところリスト」をつけてみましょう。自分と比べることなく、他人の長所を淡々と文字にしてみる。一行ぐらいでかまわないと思います。

一か月も続けると、周りの人に自然と感謝の念がわいてきたり、あるいは、褒め言葉が自然に出てくるようになります。周囲の人にプラスの言葉を投げかけるアクションを起こしやすくなります。すると、自分にもよい言葉が返ってきやすくなりますし、ピンチのときに他人が援助してくれる【ソーシャル・サポート】を受けやすくなります。人間関係が大いに好転するはずです。

(精神科医・西村鋭介)

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