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Movie|シン・ウルトラマン

◆映画の感想 vol.3
 シン・ウルトラマン
 🇯🇵2022/112min
 22.05.15劇場鑑賞(2D)

観てきました!
ネット評価では賛否あったからどうだろう…?
と心配しながら見たのですが、私は【賛】派!好きでした。
ネタバレない状態かつ、劇場で観れてよかった(^^)

「『シン・ゴジラ』よりいい?」と聞かれると…
個人的に、映画として総合的にはゴジラのほうが良いのかなと思います。ただ、ウルトラマンの方が「生きる活力」が湧いてくるというか…。自分の人生において、もっと「誠実でいよう」と思える後味があったんですよね。生へのモチベーションが高まる作品だったなと感じていて。

そして何よりやっぱり特撮面白い!
と思ったので、日が空きましたがアツいうちに感想を書きます。

※ネタバレ注意!!!
 以下の記述には作品の内容に関する記述が多く含まれます。
 鑑賞前の閲覧はお勧めしません、ご注意ください。

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●圧倒的な冒頭からの構成

オープニングから釘付けになりました。
あのマーブルのやつから始まって、
音楽が!!!あの、ウルトラQの!
と思った途端、、、
一気にその世界観に引き込んできます。

冒頭でこれまでのvs禍威獣のダイジェストが、1号〜6号まで。テンポが速くて映像釘付けになってたら5号〜文字を見逃してしまって (あ、パンフ買おう。)と開始数分で思わされました。苦笑

冷静に考えて人間だけの力で6体も禍威獣倒すのヤバい。凄すぎる。自衛隊や禍特対 有能すぎでしょ…。

ここから本編は
前半が 7号ネロンガ・8号ガボラのvs禍威獣編、
後半が ザラブ・メフィラスのvs外星人編、
そしてラストへ…!という編成です。

めちゃくちゃタイト展開で、すごいテンポ。ですが、
「なんでそうなったの?!」と詰まるポイントなく観れました。
メフィラスがとても有能で、彼の台詞・会話の中でかなり状況把握が出来たんですよね!(配役もよかった。私の中では本作で一番ハマってました!)
科学的な根拠は理解できなくても、何でそうなったかの枠組みは捉えられる、みたいな。

ウルトラマンの不思議(色とか、登場の仕方とか)も後から回収されて、なかなかスマートだなと思いました。

●禍特対としての強み

メインキャストの禍特対の皆さま素敵でした。
それぞれキャラがあり、特性があるけど
基本めちゃくちゃ人間力が高いです。
みんな、ただ頭がいいだけじゃない。
理性的でいて人間の邪悪な部分があまりないのです。

例えば、新しく浅見(長澤まさみ)が配属したとき、マウント取ったり嫌味言ったりする人はいないし、神永の単独行動を黙認していて、彼ががウルトラマンだ!ってなったときも、一貫して彼への信頼がある。
何を優先すべきか?となったとき、瞬時に判断できる『軸』をみんな持ってます。

禍特対の関係性がどう築かれていたかあまり描かれてない、という意見もあって、そこは確かに。と思いました。エリートの集まりだからもっと喧嘩したり意見噛み合わなかったりしそうなのに…。人間同士の色々よりも、「外星人と地球人」に焦点を絞りたかったのかなと想像しました。

その点、人間らしいダメなところを政治家とか一般人が担ってる感じでしたね。政治家なんか外星人の言いなりというか、意のままで面白いくらいでした。ちょっと自分の頭で考えなさいよ!と言いたくなる。笑

個人的に滝を演じた有岡くんにビックリしました。
今、ドラマ「インビジブル」を見ているのもあって、この人こんなに演技出来るのか…!と。
役どころもよかったです。滝は、唯一挫けちゃうメンバーであり、葛藤と復活を追える魅力的な人物でした。専門用語を発言したとき違和感がないよう資料を読み込んで自分に落とし込んだことや、英語のシーンを特訓したことなどパンフレットに書かれてました。

そして西島秀俊演じる指示厨(笑)の班長!
(この人リーダーだから仕方ないけど本当に指示しかせんやん!自分の意見ないのか!)とかなり序盤からずっと思っちゃってました。
でも、前文に書いた「何を優先すべきか?となったとき 瞬時に判断できる『軸』をみんな持ってる」という部分において、この班長は突出してるものがあるのだと思います。

終盤のvsゼットン戦では神永が死亡するリスクのある作戦を秒で却下。
もうそれしか方法がないので実行しますが、あそこで即答できるとは。そういうところも含めて、ウルトラマンには人間が「理解したい存在」になっていたのかもしれません。

●”初期”に拘ったウルトラマン

何故カラータイマーが無いのか?とか
ゾーフィなの?ゾフィーなの?みたいなところは
パンフレットとかインタビュー記事を読んで知ることができました。

成田亨氏の初期デザインを採用したとのことで、「宇宙人なのにピコピコが付いてたらロボットみたいでおかしい。」という理由は腑に落ちました。
今まで当たり前のようにピコンピコンしてたから、何も疑ってなかった!!!

3分ルールも、カラータイマーも、結局人間都合で出来た産物ですから、そういうのを削ぎ落としてより初期に近づけています。「原作へのリスペクトがない」みたいなレビューを見たんですが、これをリスペクトと言わずしてなんというのか…!

ゾーフィが出てきたときも、ゾフィーじゃなかったっけ?と思ったのですが、Twitterがすぐに解決してくれた。笑
初期の児童誌の誤植「ゾーフィ」を採用している!

ゾーフィとゾフィーは別で、
今回はゾーフィしか出てきてない…らしい。


これは、庵野氏自身がずっとこれを信じてたかららしいです。かなりマニアック…!!!
作り手も、とことん〈好き〉に真っ直ぐだったことでしょう…!製作陣は、この映画が公開することで色んな夢が叶っただろうなぁ(^ ^)

●主題歌『M八七』より

活動10周年を迎えた米津玄師さんの主題歌。
これも素敵でした…!
映画を見る前からYouTubeでフル聴いてたのですが、エンディングで聴くと歌詞の一つひとつが沁みてきて。

タイトルはM八七。
ウルトラマンってM78星雲じゃなかったっけ?という疑問も、すぐにYouTubeで教えてもらいました。笑
ウルトラマンでの設定はM78ですが、実在するのはM87。
これも、もともと87だったのが台本の誤植で78になり、そのまま今まで突っ走ってきている…と。

君が望むなら それは強く応えてくれるのだ
今は全てに恐れるな
痛みを知る ただ一人であれ
M八七:歌詞

歌詞から考えたことはたくさんあって、冒頭の一節もかなり好みなのですが、やはり最後のこの文言はグッときました。
ウルトラマンが外星人と人間のはざまで生きた
唯一の存在であることを象徴しているように思えて、
その体験を〈痛みを知る〉と表現するのか。と。

そして、終盤の ”微かに笑え あの星のように”というフレーズ。
デザイナー成田氏の
『本当に強い人間はね、戦うとき かすかに笑うと思うんですよ』
っていう言葉を彷彿とさせてきて勝手にグッとなる。

●そんなに人間が好きになったのか、

私は、この台詞が本当に好きで
もう胸が痛いくらい熱くなるんですよね。
大学時代、芸術学の講義で、ウルトラマン題材の授業があって、初期の最終回を見たことがあったんです。
それもあって、
↓ポスターが公開されたときは
 (うわぁ…これは観なきゃな。)と思ったのでした。

見たとき、痺れました。

人間なんて、宇宙規模でみたら
心身共にちっっっさい生命体にすぎません。

(メフィラス星人が、人間達がこぞってネットで好き勝手やってるの見て、「こんなに愚かな生命体だとは予測できていなかった」みたいなことを言うシーンが個人的にツボでした。今、私たちの生活の主軸になってる媒体を一蹴する感じ。いいなぁ、と。)

そんな不完全で未熟な人間を
『そんなに』好きになったというウルトラマン。

きっかけは、人間・神永の身を挺して子どもを守る、という外星人からは不可解な生産性のない行動だったわけですが。

きっと私たちの行動は、いつも不可解。

ウルトラマンは人間を「理解したい」と思って神永と融合するタブーを犯しちゃってるのですが、犯罪だよ、罰則だよ、とかそういう概念の元では生きてないんですよね、光の巨人たちは。

最終作戦前、絶対に勝てないと分かってるゼットンに立ち向かったのも、神永の精神を理解したいという気持ちがあったのだろうと思います。
ウルトラマンは、融合することで精神が人間に「寄っていく」ではなくて、あくまで客観的に捉えながらも「人間を理解していく」スタンスなのが良かったです。浅見からの、

「あなたは外星人なの、それとも人間なの。」

という問いに、間髪入れず

「両方だ。狭間でしか見えないものがある。」

と答えたのは印象的でした。
浅見と出会ったばかりなのに、「バディ」で「信頼が大事」と言われたことを真摯に受け止めて、無条件に浅見を信用しているところもあったように思います。
あまり深堀はしていない二人の関係性も、対話ではなく、主に起こった事象によって変化していくのも面白かったです。

そんな諸々を踏まえて、ウルトラマンは「人間の不可解」を紐解き、体感します。
普通なら、メフィラス星人みたいに地球人って低脳で愚かで寿命も短いから利用しちゃえ!って思いますよね…。宇宙規模で客観的にみたらそれが正解なんでしょう。

でも、ウルトラマンは私たちに「希望」を見出してくれてる。
すごく愛の人じゃないか…!

一方で人間はウルトラマンに散々勝手に期待して、ニセモノにもまんまと引っ掛かっちゃうし。見てた私でも「そんなに好きになってくれたの?!」って。笑。いやいや、畏れ多いよ。人間、もっと悪い奴いっぱいいるよ。とか思うくらいでした。

そして私なんかは単純思考なので、「ウルトラマンに恥じないように誠実に生きるぞ!」みたいな謎のモチベーションが発動してしまうのですよ。

あくまでウルトラマンは〈人間に興味をもった外星人〉、という位置付けだったので、完全ヒーローとか怪獣バトルを見たい人には低評価だったかもしれません。

あと、やはりカット割は独特でした。
(椅子の隙間越しの誰か、とか、
 TVリモコン越しの誰か、とか。)

蛇足エピソードで、

鑑賞後、パンフレットを買うのに並んでたとき、5歳くらいの男の子が600円のミニフィギュアをお父さんに買ってもらっていました。「ウルトラマンかっこいい!」「おれ、これすごいだいじにしよっと。」って言ってたのがめちゃくちゃ可愛かったです。

話は大人向けかなーと思ったけど、ウルトラマンのカッコよさはやっぱり年齢関係なく伝わるものなんですね。

私は7つ下に弟がいて、昔『ウルトラ大怪獣バトル』っていうのを観てたのがすごく記憶にあるんです。ゴモラをかわいいと思っていた記憶。笑

当時 可愛い、と思ってたのか!笑


この映画きっかけに色んなことを思い出しました。
色んな人にとってそういう作品になったのではないでしょうか。
そうだといいな、と思います(^^。 おしまい。

(読んでいただきありがとうございました!!)

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