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教室の天井から突然(日常の中の不思議ファイル 2)

教室の天井から かたまりのように水が降ってきた話。

中学生の頃の話。
3年生は7クラスあって、3年2組の教室は建物の端でした。
柳の木の緑が風に揺れる、春から夏の初めの頃だったと思います。

授業中、突然天井から、ズリ~ッズリ~ッと何か重いものが這いずっているような音が聞こえてきました。

それは教室の後ろの方から移動して、教室の真ん中あたりまで来て音が止まりました。

それは結構大きな音で静かな教室に響き渡り、私たちは驚いてザワザワとなり、先生も不思議そうに一時授業が中断されました。ですがそれから音がしなくなったので、授業が再開されました。

それからは2~3日に一度くらいの頻度で、突然天井から、あのズーリズーリという音が聞こえて来ました。

そのたびにクラスはザワザワとどよめき、男の子たちは浮浪者が天井裏に入り込んでいるんだ!などと騒いでいました。

中には掃除の時間に箒の柄で天井を突いたりする子もいました。

浮浪者だとしたらなんだか薄気味悪いなぁと思いながら、しばらく経ったころです、

いきなり天井から水が落ちてきました。それは降ってくるという生やさしいものではなく、バケツなみなみ一杯分くらいの水がいきなり落ちてきた、という感じで、バシャ―っという音とともに床に広がる水。全員があっけにとられました。

そして今度はみんなが一斉に上を見上げると、天井の羽目板の隙間が濡れていて、そこから落ちてきたのが分かりました。

近くの席の子が雑巾を持ってきて掃除をしたり、すっかり授業が中断されてしまいました。

それからすぐに同じことが起こりました。
連続していたのか、2,3日あいていたのかは今となっては思い出せませんが、天井からのバッシャ~ン!は、それから2回くらいあったと思います。

その間も、例のズリッズリッという音は聞こえてきましたし、
私たちはいつか自分の机の上に落ちてくるのではないかと戦々恐々としていました。

あの頃の私たちの話題はそればかりでした。
男の子は天井裏に棲む住人のオシッコじゃないかと言ったりしましたが、落ちてきた水は無色無臭だということでした。

そして、とうとう誰かの机の上に水が…。
例によっていきなり落ちてくる水。
その子は慌てて席を離れるも、教科書とノートの上で激しく水が跳ね返っています。その一瞬の間、呆然と見ているしかありませんでした。

みんな、次は自分の番かもしれないと思うと本当に恐怖でした。

そして連休が入りました。

休み明けに学校に行くと、担任が有無を言わさない強い口調で、「これからは水が降ってくることは無いから、みんな落ち着いて勉強するように。」と宣言しました。それ以降、天井をひきずる音も、天井から落ちてくる水も無くなりました。

中学生はいろいろありますから(笑)それきり忘れていましたが、

大人になって思い出してみて、あれは不思議だったなぁと思います。
第一、天井の板の隙間はとても狭くて、あんなに勢いよく水がザバーっとは落ちないだろうと思います。


そして、あの天井を移動していく音。
先生の言葉。なぜあんなことを言ったのか?


今となってはもう確かめようもありません。

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