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朝顔模様の寝巻の女(母談)(日常の中の不思議ファイル 14)

父と母のなれそめは満員電車の中でした。
人混みの中で押されている小柄な母を見て
たぶん父は一目惚れだったのでしょう。

私たち姉妹は父から

「お母さんはな、天使のようだったんだぞ。」

と耳にタコができるほど聞かされて育ちました。
母のことを「美人さん」と呼ぶこともしょっちゅう。

電車の中で父と母は隣り合って座り、少し会話がありました。
当時、父は大学生、母は3歳年下です。

その時はそれきりだったのですが、
母が年頃になって縁談が舞い込むようになり
何人かの方とお付き合いをしたものの
母はなぜか父のことがひっかかって
みんな断ってしまっていました。

それを母が友人に話したところ
その当時は個人情報など言われてない時代です、
一緒に父の卒業した大学に行ってくれ、
卒業生の名簿から父の連絡先を知ることができました。

思い切って手紙を書いたところ、
父が入院していることが分かり、
母は東京から宇都宮までお見舞いに来ました。

あとで母に聞いたところ、
母の周りの男性たちは教養を感じられる人がいず、
物足りなく思っていたところ(母は親類中に有名な秀才)


父に出会って今までの男性とは違うと思ったようです。
手紙で父はよくフランス文学について語っていたとかww


母は何度かお見舞いに来ているうちに
遅くなって帰りの電車に乗れないことがありました。

それは困った、ということで、
病院の空いている女性用の病室を使って
泊ってよいということになったそうです。

夜中に母がふと目が覚めると、
朝顔模様の寝巻を着た女性が入口からのぞいていました。

母は病室を間違えたのかなと思ってまた寝てしまい、
翌日父にこんなことがあったと話した記憶があると言います。

何年も経ってから、
あの病室は女性の患者が亡くなった部屋だと父から教えられました。
その患者は、いつも朝顔模様の寝巻を着ていたのだとか。

母が怖がるから言わなかった、と言われたそうです。

父も、母がお見舞いに来なくなるのが怖かったのかなーと思います。

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