わたしが「かわいい」服を着ない理由

私はスカートやワンピースなど「かわいい」服も好きですが、ストリート系のものやシンプルなものなど、「かっこいい」服もよく好んで着ています。

昔はお花柄やレース、ドットばかり選んでいた記憶があります。でも、今はどちらかといえば「かっこいい」服の方が多くなりました。

これがなぜなのか、今まで考えたこともありませんでした。留学して好みが変わったくらいに思っていたのですが、昨日授業で見たTEDの動画と、今日アメリカの友人と交わしたある会話で、実はそうではないことに気がついてしまいました。

まず、TEDの動画ではチママンダ・アディチエという女性が、彼女の国でのジェンダーギャップについて話していました。気になる方はこの動画をぜひ見てください。

http://www.ted-ja.com/2016/03/we-should-all-be-feminists-chimamanda-ngozi-adichie-at-tedxeuston.html

彼女のスピーチの中で私の印象に残ったのは、彼女が先生として働いた時の話です。

自分は女性だから、女性らしく見られ過ぎないために(甘く見られないために)、服装にものすごく注意しなければいけなかった。男性ならスーツを着て男性らしくしすぎることで悪いことはないのに。

この時は、印象に残った程度で、自分の服装について考えるまでには至りませんでした。

そして今日の朝、あるアメリカの友人とアメリカの選挙や人種差別、ジェンダーギャップについて会話していた時に、再び気になった言葉がありました。

友人も私も日本に大きなジェンダーギャップがあることで意見は一致していて、その問題について議論していました。その時彼女はこう言いました。

「でも私は日本にいた時に女性として扱われたとは感じなかった。良い意味でね!私が大きいからか、身長が高いからか、髪がピンクだったからか、外国人だったからか知らないけど!」

これを聞いて私はある2つのことを思い出しました。

まず一つ目は、昔と今の自分の服装の違いと、服装が変わってから私に起こった変化のこと。

昔は知らない男性から嫌がらせを受けた経験がありました。「おしとやか」で「かわいい」服装を好んでいた頃のことです。

でも、思い返してみれば、留学してから「派手」で「かっこいい」ファッションを好むようになってから、同じような出来事は一切起こりませんでした。

そういえば、以前高校で聞いた、長期休暇を安全に過ごすための警察官による講義でも、「派手で露出の多い女性は実はほとんど狙われない。おとなしそうな人や制服の学生が狙われやすい。」という話を聞いたことがあります。

服装の変化で、私はいつの間にかそういった被害に遭うことを避けていたのです。

そして二つ目に思い出したことは、私が髪をピンクに染めていた時のことです。その時はなぜか考えてもみませんでしたが、髪がピンクだと、外を歩くときいつもより堂々と胸をはって歩けると感じたことがありました。恐れるものが何もない自由な感覚です。

私の友人が言った「髪がピンクだったから」という言葉は、まるでジョークのようですが、実際は的を得ていると思いました。

服装に関しても、振り返ってみれば、派手な服装をしている時の方が自信を持って堂々と、自由に町を歩けると感じます。

髪をピンクに染めることや派手な格好を好むことは、私が自分の身を守るために、無意識に選んでいたことなのだと気がつきました。

いわゆる「女子アナ風」の服装は嫌いではありません。でも、できるだけ着たくはないのです。か弱くて何もできない女の子と軽視されてしまうような気がして、甘く見られてしまいそうな気がして、悪い意味で女性として見られてしまう不安があるからです。

これに気がついた時に、昨日動画で見たエピソードが、突然自分にとって近いものに思えました。昨日はなんとなく気になっただけだった言葉が、自分にも当てはまっていたことに気がつきました。

私が「かわいい」服を着ないのは、「かわいい」服が嫌いだからではありません。むしろすごく好きです。「かわいい」服を着ることで、女性として見られてしまうことに私は抵抗を感じます。

私がいつの間にか「かっこいい」服を好むようになった原因は、思わぬところに存在していました。動画で彼女も言っているように、多くの男性が(時に女性も)ジェンダーギャップなんて昔の話で、今はそんなものは解決したと言います。

でも、私はこの経験で確信しました。この国にも間違いなく、ジェンダーギャップは深く深く根をはっています。



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