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芒種

水路から水が引かれ、里山の棚田が水田と化していきます。

苗の植えられる前の水田は一面海原となり水の鏡となります。僕の脳裏には田ごしらえを終えた農夫の安堵の顔が映ってくるのですが、水面にうつす夕日、朝日、自然の風景は彩り豊かに水田を染めていきます。
四季折々のページがありますが、この人と自然の織り成すグラデーションは心和む一枚のような気がします。

夜には蛍がまい、家に戻ると部屋に舞い込んだ蛍の灯を子どもたちは眺めていました。時にこれからの季節、川は時に化け物とかし人々を恐怖に陥れますが、水のある里山暮らしは豊かな時間を提供してくれます。産卵期の蛙の鳴き声で今晩も満ち溢れて、いよいよ梅雨、米つくりの季節を感じさせてくれます。

先日新聞を読んでいたら、隣の家のため水の蛙の鳴き声がうるさくて精神的苦痛をうけたと東京で民事裁判があり、手伝ってくれる弁護士もいるのだなと思いながら、どうやら訴えは却下されたという記事が載っていました。


同じ景色や出来事を体験しても、その人の心の在り方によってプラスにでもマイナスにでもなりゆくのだろうと思います。まして、民主主義と自由を求め、その蛙があなたの家に入りゆく虫を捕食してくれている生態系のメカニズムの恩恵の一面をみずして。

今週はいよいよ田植えがはじまります。
例年になく早い梅雨いりとなり、各地で早速強い雨がふりはじめました。どうか災い少なく夏を迎えられますように。

山口敦史

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