見出し画像

日本中世史の学びなおし

今年は日本史を学びなおす年にするんや、とあちこちで言いまくっていたんですが、2023年も1か月過ぎて、早くも暗礁に乗り上げている感があります。

『中世史講義』

で、とりあえず最初に取り組んだ日本中世史の本が、『中世史講義-院政期から戦国時代まで』。

この本は、日本中世史の各々の分野について、14人の先生方が書かれています。
1章から順番に通史的に書かれているわけではないので、最初に通史的な15章を読んでから、1章から読むのがいいのかもしれません。私は1章から順番に読んだので、結構内容に振り回された感はあります。
だからといって面白くないわけではなくて、普通に読んでも読みやすいし、ただまあ内容にどこまでついていけてるかな~という部分はありましたね。
個人的に、外交・経済・市民生活に興味があったので、それらの部分を気にしつつ読みました。

私見

で、以下は日本中世史に対する私見なんですけどね。

日本人ってホント権力闘争しかやってない!(悲報!)

院政だ幕府だなんだといったって、所詮は権力闘争じゃん。
中央の役職は家業化してるし、しかも文官の賀茂氏だの菅原氏だのって、渡来人の末裔だし。ええ? 400年以上、政治を外国人の子孫一族に任せっきりって、ちょっとのんき過ぎません?
経済政策も、結局荘園ありきの思考だし、米は秋になると自動的にやってくるとか思ってない?

経済も、権力者が特に目立った政策をしていないもんだから、自然発生的に流通網が活性化したり、貨幣や手形が流通したり、金融業がうまれたり。
産業や文化も国家的に保護しないもんだから、平安貴族→御家人のように支配階級の経済力が低所得化することに引きずられて、より低コストの劣化品が生産流通するようになるとか。さらに鎌倉幕府滅亡によって御家人もいなくなるから、庶民を顧客ターゲットにせざるを得ず、さらにコストカットせざるを得ず、なんか令和日本みたいでは??

外交もイコール朝貢外交だと思ってた節があるし、いやいやいやいや周辺アジア諸国を見よ、そして学べ! と読みながらツッコミ入れまくってました。(将軍は日本国王じゃないから外交できない、とか、子どもじゃないんだからさ~。どうしてみんなそんなに意識が内向きなのさ)

これが、島国根性ってやつですか??

『日本中世への招待』

そして次に読んだのが『日本中世への招待』。

この本は、著者も書いてますけど「中世史」じゃないんですよね。
『日本中世への招待』。歴史じゃない。
なので、わりと軽めの、いわゆる歴史バラエティー番組的なノリの本だなあと思いました。
読みやすいし、面白い部分もあったけど、だんだん著者のノリにツッコミを入れる自分がいました……。

平安時代は一夫多妻か否か

いや、だってね。
正妻とそれ以外の妻との間に階級差があったって、平安貴族は一夫一妻制じゃないでしょ? 呉座先生。
本書曰く、ムスリムのように夫人間の階級差がなく平等であるのが一夫多妻制で、階級差のある日本の平安時代などは一夫一妻制だそうです。

いや、でも、光源氏の妻が一人だとは、紫式部も思ってなかったと思いますよ?
てか、葵の上と女三宮以外、光源氏の妻じゃないんだったら、紫の上が浮かばれないし、じゃあ明石の姫君は、光源氏の妻ではない女の養女身分で中宮になったという設定はおかしいでしょう?
花散里は、光源氏の妻じゃないけど、光源氏の嫡男・夕霧の義母となったんですか? いやいや紫式部はそんなつもりで書いてないと思いますよ?
階級差があれば妻じゃないなら、いったい女たちはどういう立場だったんでしょうね。少なくとも源氏は紫の上を最愛の妻だと思ってたと書いてますけどね。

まあこの先生とは『源氏物語』に対する意見が合わないようなので、それはそれ、これはこれとして。
日本史って研究者が多いから(日本人の中国史研究者より全然多い)、いろんな史観をお持ちの先生がいらっしゃるんだなあということは、わかります。
なるほど、どの本をどのように読むかということが大事ということですね。

まとめ

上記2冊を読んで思ったこと。
日本の政治って、実は大昔から全然変わっていないんじゃなかろうかと。
異民族から侵略されたことがないから、意識が内向きだし、現状維持であれば権力者はウハウハなのだから現状維持でいこうとするし、現状維持は国際的には後退でしかないから、どんどん国力が落ちていくけれど、そんなことに気づきもしない。内向きだから。
産業や芸術を国家として守らないから、いざ外国と貿易しようとしても売り物になるような良質な商品が生まれていない。中国で景徳鎮が生まれていた時代に、日本はコストカットに走っていた。
まさしく現代にも通じる話では? 

なので、やっぱり歴史を学んで、自分たちの先祖の歩いてきた轍を教訓として、今のこの国を考えていかなきゃいけないんじゃなかろうかと思うんです。
人文学の意味は、そこにあるんですよね。
日本が生き残るために、日本史もですけどほかの外国史も学んで、国家存続の道を考え行動していくのが民主主義なので。

考えるための材料は、多角的であるに越したことはないので、もっといろいろ学んでいきたいなあと思ったのでした。

正直、日本史にツッコミ入れ続けるのはメンタル折れそうなので、ちょっと外の世界に浮気したい。お手本となるような例を見てみたい。猿真似しか能のない国民性なので。

なるほど、日本史を学び続けるって精神的強さが必要なんだなあと、あらためて知った読書体験でした。

よろしければサポートをお願いします。いただきましたサポートは、私と二人の家族の活動費用にあてさせていただきます。