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【読書記録】斎藤美奈子さんの『あなたの代わりに読みました』を読んだ話。

斎藤美奈子さんの『あなたの代わりに読みました 政治から文学まで、意識高めの150冊』を読んだ話をします。

この本は、300頁越えで分厚いんですけど、さくっと読めてしまいました。
タイトルどおり、政治から文学まで幅広い分野の本を取り上げられていて、普通に生活していたら絶対手に取らないだろう本を、文字通り「代わりに読んで」くださっていて、すごく実の多い読書体験をさせていただきました。

個人的には、やっぱり政治とか社会問題とかを扱った本が気になりましたが、こんな本あるんだ~、といろいろな本の存在を知れたのが、一番大きいかもしれません。
國分功一郎さんの『民主主義を直観するために』とか。
柄谷行人さんの『憲法の無意識』とか。
ちゃんへんさんの『ぼくは挑戦人』とか。(いじめに対し、校長やいじめっこにたんかを切るお母さまが、めっちゃかっこいい!)
保坂展人さんの『脱原発区長はなぜ得票率67%で再選されたのか?』とか。
ほか、たくさん。

斎藤美奈子さんは、限られた紙面の中で、150冊のポイントをきっちりまとめられているんじゃないかと思うんですね。読んだことがない本については、私もわからないので断言できませんが。
そして、「そうなの?」「ちょっと読んでみたいかも」と思わせる書き方をされているので、読みたい本リストが一挙に増えてしまう……。

小説もたくさん読んでらして、多分、中には「辛いな」と思われた作品もあったでしょうに、ポジティブにツッコミを入れながら、作品として肯定されている姿勢が、学ぶべき部分だなと思いました。

年齢を重ねてくると、小説ってなかなか読むのがしんどくてですね、おっくうになってしまうんですけど。新しい文体について行けなかったり。
でも「文学のトレンドは老後にあり」と言われると、もう一度小説に触れてみようかと思っちゃいますね。
本を読む人数は、中高年以上の方が圧倒的に多いし、今の若者も20年後には中高年になる。いつまでも学生気分ではいられないということか、文学も。

本の出版件数も多いし、できればつまらない本にあたりたくないと誰だって思う。
先入観なしに読みたいから、書評本は先に読みたくない……という意見もあるかと思いますが。
この本を読んで、世の中にどういう本があるのか知り、次に読む本を決める。そんな読書もアリかな、と思いました。

あと、こうして150冊を眺めていると、やっぱり各分野の著者の方々が「今の社会っておかしい」と思われていることがわかります。
政治と社会の腐敗と衰退。
ツッコミどころ、たくさんありますよねえ、現代は。
というか、この本の連載中より今の方が、やばい部分はたくさんある気がする。やばさを放置し続けてる分、救いがない。
ただ、実は単に我々が、社会のおかしさに気づいていなかった、それだけなのかもしれないと、読みながら思いました。

いろんな立場の人の言葉を読んで、その内容を自分ごととして咀嚼してみる。それが重要だとわかっていても、個人が網羅できる範囲は限られていて。
だからこそ、代わりに読んでくれる書評本というのは、灯台のような役割を果たしてくれるのかもしれません。

この本を読んで、自分の読書の幅ももっと広げなきゃなあ、と、そこは本当に思いました。
蛸壺にはまり込んでいたら、読書してても何も見えてないも一緒、ということになりかねませんからね。

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