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[本のおはなしvol.7 ] 「のりもの絵本①」

木曜午後のおはなしと子守唄の時間「本のおはなし」第7回!
今回は松尾由佳選書で「のりもの絵本」をいくつかご紹介。熱量たっぷりにお送りしました(反省)

1歳9ヶ月の息子は電車に車、そして飛行機と「のりもの」大好き。特に電車は…すでに完全なる小鉄(鉄道好きな子どものこと)です。
「のりもの」好きへの最初の一歩は「バス」でした。保育園への行き帰り、バスが走る大きな道路を通ります。1歳を過ぎた頃からバスを見つけると指差してニコニコ。続いて消防車などのサイレン系自動車、コンクリートミキサー車やダンプカーなど工事車両、ゴミ収集車やクロネコヤマトの宅配車など街で働く車に大興奮。そして1、2ヶ月後には電車に夢中に。

息子と日々たくさんの絵本を読んでいますが、息子に選書を任せるとほぼほぼ「のりもの絵本」。気がついたら私自身も随分「のりもの」に詳しく、そして「のりもの」好きになっています…!「のりもの絵本」の紹介は1冊・1回では語り尽くせない! ということで「のりもの絵本①」としました。たくさんの「のりもの絵本」の中から今回は岡本雄司作の絵本を4冊ご紹介。

まずは『でんしゃにのったよ』

息子の保育園はなんと蔵書3000冊もの絵本図書室があります。そこでもたくさんの「のりもの絵本」を借りていますが、ある日息子が棚から選んできたのがこちら。その後すっかりはまって毎週のように借りようとするので、購入!
版画で描かれた電車、そして風景はとても優しくてリアル!息子だけでなく私もとても気に入って毎日のように読み続けています。
電車好きの男の子が(この子が息子に見えてしまう不思議!)お母さんと東京のいとこの家に遊びに行く旅の絵本。実際に走っている静岡の大井川鐵道→東海道線→東海道新幹線と乗り継いでいきます。途中車窓から見える景色も、とてもリアルだけれど写真とは違う魅力がいっぱい。働く車や、人々、猫…息子と発見しては指差しながら楽しんでいます。どのページの電車にも、主人公の男の子がきちんと描かれているのもかわいい。表紙左側で本を読んでいる男性が実は一緒に東京駅までたどり着いているのも面白い。

すっかり『でんしゃにのったよ』の虜になった私たち親子、作者の岡本雄司さんの他の作品を調べてみると…

次に出会ったのはこちらの『いろんなでんしゃはっしゃしまーす』
タイトル通り、いろんな電車が発車します。こちらも車両の細かいところまできちんと描かれ、しかし生々しさはなく、とてもリアルなのにチャーミング。
文章は少なめで、「ごじょうしゃくださーい」と「はっしゃしまーす」がリズム良く繰り返されていきます。

出てくる駅も電車も「本物」なので、実際に見に行くことができます。東京近郊の北千束駅、西武新宿駅、品川駅、江ノ電鎌倉高校前駅、大井町駅などなど。きっと主人公は北千束近辺住みだなぁ、大井町線と大井町駅が別で出てくるもんなぁなんて考えてみたり。また、絵本の中には電車名は出てきませんが、付録として「このほんにとうじょうするでんしゃ」の冊子がついてくるので照らし合わせながらも楽しめます。(アリス館の書籍紹介ページでは、この冊子をもとにしたぬりえもダウンロードできますよ!)

ちなみに、息子は新幹線「こまち」が発車した東京駅のシーン、なんと「はやぶさ」がちゃんと連結されているのが小さく小さく描かれているのを発見して(こまちは通常東北新幹線区間でははやぶさと連結して走ります)「がっしゃん!(息子語で連結の意味)」と大喜び。よくこれに気がついたな…と、息子の鉄道愛に少々困惑しております。

3、4冊目は月刊「年少版こどものとも」「かがくのとも」から『くるまにのって』『れっしゃがとおります』

『くるまにのって』(リンクは福音館書店の書籍紹介ページ)

主人公のしょうちゃんがお父さんお母さんと一緒に車に乗って住宅地から街を抜け、山道を越え、港からなんと海を渡って島のおばあちゃんの家に行くまでの旅の絵本。旅の途中の風景を楽しみながら、たくさんの乗り物に出会えます。息子と一緒に、郵便車はどこ?あ!宅配車見つけた!とたくさん指差しながら楽しんでいます。そして、ページをめくると気がつきます…なんと道路が次のページに繋がっている!
付録の「絵本のたのしみ」に作者の言葉がありました。

乗り物のおもちゃを主人公にして自由に走らせることと、精巧に作られた風景の中を鉄道模型が行き交うのを見るのは、一見違うことのように思います。しかし、大好きな乗り物たちが「自分の視野に収まる小さな世界」に存在しているということが、それぞれに共通する大きな魅力なんだと思います。(月刊「こどものとも年少版」2014年5月号折り込みふろく・絵本のたのしみ より)

なるほど…そういうことかもしれないなぁ。この絵本が出版されたころ、2歳半の息子さんは電車大好きだったそう。

『れっしゃが とおります』(リンクは福音館書店の書籍紹介ページ)

こちらは千葉・房総を走るローカル線、小湊鉄道が舞台。
五井駅から終点・上総中野までの電車の旅を俯瞰で描きます。他の絵本と違い、こちらは主人公は設定されず、ゆっくりと進んで行く小湊鉄道の沿線の、人々の様々な暮らしが交差していく様子を想像しながら楽しむ、ほとんど文字もない絵本です。
初めから終わりまでずっと電車を追って写真を撮っているバイク乗り、待ち合わせて車に乗った人たちが沿線観光していたり、引っ越しトラックが新居にたどり着いてお隣さんにご挨拶していたり、列車のすぐそばで人々の生活が進んで行く、ページをめくっては「あれ?」また戻って「あ!」読むたびに発見がいっぱい!
そしてこちらも「くるまにのって」の道路と同じ様に線路が次のページに続いている芸の細かさ…!

のりものは未知の世界だという扇谷さんをキョトンとさせてしまったであろう「のりもの絵本①」懲りずに②もまたやりたいと思っています!

のりものに合わせた子守唄、「線路は続くよどこまでも」や「汽車ぽっぽ」、「はたらくくるま」などなど童謡たくさんあるからなぁ、「線路は続くよ〜」で来るだろうなぁと予想していたのですが…

扇谷さんの子守唄の時間、今日のセレクトは…?

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アメリカのポピュラーソングでスタンダードナンバーにもなっている「センチメンタルジャーニー 」(Sentimental Journey:作曲 Les Brown/Ben Homer 作詞:Bud Green ) を選びました。この「感傷旅行」鉄道の旅なのです。

Sentimental Journey
(Les Brown, Ben Homer, Bud Green)

Gonna take a sentimental journey
Gonna set my heart at ease
Gonna make a sentimental journey
To renew old memories
感傷旅行に出かけるの、
心を楽にするために。
感傷旅行に行って来る
古い思い出を一新するの。

Got my bags, got my reservations
Spent each dime I could afford
Like a child in wild anticipation
Long to hear that “All aboard!”
鞄を持って、予約も取った
出来る限りの小銭をはたいて。
子供みたいにどきどきしながら
「出発進行!」って聞くのを待ち望んでる。

Seven That’s the time we leave at seven
I’ll be waitin’ there for heaven
Countin’ every mile of railroad track
That takes me back
7時、そう7時に出発するの。
天にも昇る気持ちで 私を連れ帰る 線路の距離を数えてる。

Never thought my heart could be so yearning
Why did I decide to roam
Gotta take that sentimental journey
Sentimental journey home
Sentimental journey
こんなに想いが募るなんて思いもしなかった
なんで彷徨ったりしたんだろう。
さあ感傷旅行の旅路に就こう、
それは我が家への旅路
我が家への旅路へと。


失恋して後の感傷旅行ではなくて、放浪した後に家へと帰るという感傷旅行。ちょうどこの曲のリリースと第二次世界大戦の欧州戦線における終戦とが一致し、多くの退役軍人の間で非公式に帰省のテーマ曲とされたというエピソードも。
そんなことを知って改めてこの曲を聴いてみると、今までのイメージとはまた違って聴こえてくる様な気もします。

次回は扇谷一穂選書で「どうぶつしんぶん」!
ふたりとも子どもの頃から大好きなどうぶつしんぶんのおはなし…盛り上がること間違いなしです。


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