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山川出版社『詳説日本史探求』の考察⑫

山川出版社発行の『詳説日本史 日本史探求』について、従来の『詳説日本史』からどのような記述の変化があったかを、自らのメモも兼ねてこちらに記していきます。
今後の学習のヒントになりうる要素もあるかもしれませんので、ご自由に活用いただければと思います。

※比較に際して見落としなどが発生している場所もあるかもしれませんのでご了承ください。
※私が参照しているのは2018年発行の『詳説日本史』なので、以後の版で既に修正が加わっている内容もあるかもしれませんが、この点ついてもご了承ください。
※従来の山川出版社『新日本史B』などの記述が統合された箇所なども、変更点として列挙していきます。


《院政の始まり》(新しい見出し名)

■ 日本列島の大きな変化(新しい章名)
11世紀後半ごろの荘園拡大と、これに伴う国司の対抗、並びに地方における武士の伸長が大枠として述べられ、以降の章の前置きの役割を果たしています。

■ 延久の荘園整理令と荘園公領制
・後三条天皇が「藤原頼通に皇位継承を抑えられてきた」という情報が追加。
・後三条天皇の政治刷新の背景として「摂関政治の弊害を見てきた」という情報が追加。
・延久の荘園整理令において整理の審査を地方の国司にゆだねなかったことが本文内で記述。
・在庁官人や郡司らが「武士として」公領をみずからの領地のように管理した、という記述に修正。

■ 院政の開始
・冒頭部で「前九年合戦」「後三年合戦」の記述が挿入。
・白河天皇が武士の力に目を付け、彼らを登用したという文脈が追加。
・欄外記述であった「女院」の説明が削除。
・鳥羽天皇が即位する場面が追加。

《院政と平氏政権》

■ 院政期の社会
・僧兵が「下級僧侶」から「武装した僧侶」という説明に差し替え。
・興福寺僧兵を指す「奈良法師」と、東大寺僧兵を指す「山法師」の語が削除。
・奥州藤原氏の欄外記述において「北海道」が「蝦夷ヶ島」の表記に修正。

■ 平氏政権
(特に変更点なし)

■ 院政期の文化
・『後三年合戦絵巻』が本文中で紹介。
・元口絵の『青磁鳳凰耳花生』「中尊寺金色堂内陣」『伴大納言絵巻』がこの章で図版として登場。

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