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姫路に行ったら外せない!こだわりの和菓子屋【3選】

日本全国の“地域の宝”を発掘する連載コーナー「地元にエール これ、いいね!」。地元の人々に長年愛されている食や、伝統的な技術を駆使して作られる美しい工芸品、現地に行かないと体験できないお祭りなど、心から「これ、いいね!」と思える魅力的なモノやコトを、それぞれの物語と共にご紹介します。(ひととき 2019年3月号より)

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築100年を超える邸宅を改修した「井上茶寮」では、香り高いお茶とともに独創的な和菓子がいただける

 江戸時代後期、藩主酒井家が菓子作りを奨励した姫路では、古くから和菓子文化が根付いている。老舗菓子店がしのぎを削るこの街で、新たな潮流が生まれている。

 香ばしい釡炒り茶とともに供された羊羹に、思わず目を見張った。フランスの焼き菓子カヌレの形をしている。「井上茶寮」のオリジナル、カヌレ羊羹だ。

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種類豊富な井上茶寮のカヌレ羊羹1個200円~(持ち帰り可)

「黒はマダガスカル産のカカオ、白は地元の吟醸酒の酒粕を練り込んでいます」と若き店主、井上祖人さん。フランスで料理と菓子作りを学んだ経歴をもつ。洋の顔をした羊羹は、素材にこだわり、控えめな甘さですっきりとした後味。

 明治時代に建てられた邸宅を改修した店内は、隅々まで店主の感性が行き届き、古いけれど新しい心地よい空間。日常を忘れゆったりと過ごすひとときは格別だ。

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「井上茶寮」の井上祖人さん

 市内に三店舗をもつ「甘音屋(あまねや)」で目に飛び込んできたのは、彩りも華やかな小さな球体。レモンやフランボワーズなど意外性のある餡を詰めた「笑美玉(えみだま)」は、最中らしからぬ洗練されたルックスで秘書が選ぶ手土産としても人気だという。洋菓子に押されがちな最中や羊羹をもっと身近にという願いから生まれた、美しいだけでなく驚きのある和菓子を、誰かに贈りたくなる。

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甘音屋の笑美玉1個140円、12個入り2,009円

姫路城に近い「重次郎(じゅうじろう)」では、自家栽培の米や小豆を使った菓子を提供。小ぶりで愛らしいおはぎは、ひと口で餅米やごまの粒々感、小豆のみずみずしさを実感できる。有機野菜をたっぷり練り込んだ優しい色合いの煎餅や、軽い食感が楽しい現代版ポン菓子も、素材の風味がしっかり生きている。

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重次郎の野菜煎餅SA(上)5枚270円とポンせんTAWARA3枚216円

 城下町姫路で出会った個性際立つ和菓子の数々。作り手たちの菓子を愛するまっすぐな思いが、新しい世界を拓いていた。

宮下由美=文 佐々木実佳=写真

※価格はすべて税込

ご当地◉Information
●姫路市のプロフィール
兵庫県の南西部、播磨地方に位置する姫路市は、世界遺産姫路城や書寫山圓教寺〈しょしゃざんえんぎょうじ〉、三大荒神輿の一つ灘のけんか祭りなどで知られる。市街地は姫路城の城下町が原型。江戸時代、職人を京都や江戸に派遣し技術を習得させた伝統は現在も受け継がれ、さまざまな和菓子が作られている。全国有数の酒どころでもあり、歴史ある酒蔵が多い

●姫路市へのアクセス
山陽新幹線姫路駅下車

●問い合わせ先
井上茶寮 ☎079-254-0075
https://www.inouesaryo.jp/
甘音屋(本店)☎079-239-1220 (姫路駅北店)☎079-284-0130
https://www.kamada-amaneya.com/
重次郎 ☎079-287-6882
https://www.facebook.com/jyujiro.blf/

出典:「ひととき」2019年3月号
※この記事の内容は雑誌発売時のもので、価格など現在とは異なる場合があります。詳細はお出かけの際、現地にお確かめください。


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