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「聖徳太子」と「最澄」のメモリアルイヤー 二人の実像と足跡がわかる2冊

2021年は聖徳太子が没後1400年、最澄が没後1200年という節目の年でした。2人が生きた時代は離れており、両者に接点はないように思われますが、じつは最澄は中国の天台山から帰国した後、四天王寺の太子殿を参詣したことが知られています。

日本で天台宗を広めることになった最澄ですが、自分が慧思えし*や聖徳太子の系譜に連なって「法華経」の正しい教えを継ぐ者であることを自任し、太子を深く敬慕していたのです。

*慧思:中国、南北朝末期の高僧で、天台宗の事実上の開祖

ここでは2人が生きた時代や生き様、足跡を知ることができる書籍をご紹介いたします。

聖徳太子に秘められた古寺・伝説の謎
正史に隠れた実像と信仰を探る

瀧音能之 編

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太子といえば、冠位十二階や憲法十七条を制定し、天皇の摂政として、遣隋使を派遣して大陸の文化や制度を積極的に取り入れたことで知られる古代史のカリスマ。また、日本に仏教を広め、法隆寺や四天王寺などを建立した人物としても有名です。

2021年は太子ゆかりの地で御遠忌の行事や法要などを実施、奈良国立博物館と東京国立博物館では特別展も開催されました。世界がコロナ禍に見舞われたなか、「和の精神」を重んじた古代史のカリスマ・聖徳太子への注目が集まりました。

本書は駒澤大学教授で古代史の第一人者・瀧音能之氏が、正史があえて描かなかった部分に迫りながら、太子の実像と信仰を謎解き風に解説するものです。本書を読んで、太子の足跡を訪ね、コロナの収束を願うのも有意義なことではないでしょうか。

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つづいて、没後1200年を迎えた伝教大師・最澄を深く知ることができる決定版の一冊をご紹介します。

最澄に秘められた古寺の謎
伝教大師と辿る比叡山と天台宗

山折哲雄 編

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桓武天皇が都を京都に移したころ、最澄は留学僧として中国に渡り、最新の仏教知識と文物をもたらしました。また、帰国後は修行道場として比叡山を根拠地と定め、同時代の空海とともに仏教の2大開祖として尊敬されています。

空海の真言宗とよく比較されますが、特筆すべきは後世への影響度。はるかのちの時代(鎌倉時代)になって、法然、親鸞、道元、日蓮など個性的な仏教者はみな比叡山での修行を経験したとのこと。その意味で比叡山は「日本仏教の母山」とも呼ばれています。

コロナ禍に見舞われる現在でも法灯を守り続ける比叡山ですが、いまふたたび、最澄の足跡と彼が開いた天台宗に注目が集まっています。本書ではまず最澄の生涯をたどり、あわせて比叡山や最澄ゆかりの古社寺を紹介。さらに、最澄の著作や彼の後継となった天台の高僧たちの系譜をたどることで、日本仏教の母胎となった最澄と天台仏教の魅力を再発見します。

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ここまで、ともにメモリアルイヤーで注目の集まった聖徳太子と最澄に関する書籍をご紹介してまいりましたが、ご興味をお持ちいただけたでしょうか。

さらに、仏像イラストレーター・田中ひろみさんによるこちらの展覧会ルポもあわせてお読みいただくと、「聖徳太子」と「最澄」に対する理解がより深まります。

◉千四百年御聖忌記念特別展
 「聖徳太子 日出づる処の天子」
 2021年11月17日~2022年1月10日(※開催中)
 サントリー美術館

◉特別展「最澄と天台宗のすべて」
 2021年10月12日〜11月21日(※開催終了)
 東京国立博物館

古代日本史に名を刻む2人のカリスマの偉業にいま一度目を向けながら、この一年を振り返ってみてはいかがでしょうか。

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