見出し画像

レトロ好きにはたまらない!昔の掃除機はこんなデザインだった|懐かしの昭和家電百科(3)

いま、全国の博物館で昭和の生活を回顧する企画展が開催されるなど、“昭和レトロ”のブームが再燃しています。とくに当時の家電は「シンプルで可愛らしい」と若者にも大人気。そこで今回は、5月20日に刊行されたばかりの町田忍の懐かしの昭和家電百科より、掃除機にまつわるお話を一部抜粋してお届けします。ぜひ、ご覧ください!

『町田忍の懐かしの昭和家電百科』(ウェッジ刊)

単に筒と袋とモーターからなる掃除機だが筒にホースが付き、袋は布製から紙製へと進化し、またボディも金属製からプラスティックになってシリンダー型やポット型、コンパクトな肩掛け型など機能や形もバラエティに富んできた。

世界初の電気式真空掃除機は、一説によると1901年、イギリス人のヒューバート・C・ブースにより発明されたという。以来120年ほど、当然その機能やデザインも変化してきた。

初期型は金属棒の先に吸い込み口部分があり、その上にゴミが溜まる袋が付いていた。日本にも同様な形の電気掃除機が昭和6年(1931)に当時の芝浦マツダ工業(現東芝)から発売されたが、高額のため一般庶民には普及せず、全国で660台しか売れなかったという(『東京芝浦電気株式会社85年史』)。

芝浦マツダ工業(現東芝)から発売された初期の掃除機
(大阪朝日・昭和13年1月13日)


流線型の松下電器MC-1000C。
グッドデザイン賞を受賞
(昭和40年・パナソニックホールディングス提供)

その後、戦争で生産は中止となった。戦後、昭和30年代(1955~)に入り、筒型の本体にホースのついたデザインのもの(シリンダー型)が普及し、このころの掃除機の定番スタイルとなった。

掃除機にはほかに、お釜のような本体の「ポット型」、北米では、メーカー名がそのまま掃除機の代名詞となっている「アップライト型」掃除機の「フーバー」がメジャーだ。

日立製作所のポット型とシリンダー型のカタログ。
「キングマウス」はレバー切り替えで畳・絨毯・床に対応
(昭和30年代)

大きい、重い、電源コードでコンセントとつながっている、という掃除機の既成概念を打ち破る機種も開発されている。20年ほど前より、コンパクトでコードのない、充電式の「ハンディ型」が出てきた。小型ながら性能は従来の床置き型に劣らない高性能機種が人気だ。

日立の家庭用掃除機1号機「ヒッターバック」H-H型。
当時、大ヒットした(昭和31年・昭和ハウス提供)
H-H型の後継機、H-H2型の広告。
現在でも通用しそうな、デザインや使い勝手の良さが魅力的
(昭和32年6月9日)
三菱電機の小型「スパック」。
肩にかけて掃除でき、 部屋にかけておくこともできる
(昭和41年8月11日)
三洋電機の「太郎」。
Z気流によりカセット内にゴミを固めて集塵し、
ポンと捨てられるのがウリ(昭和43年6月23日)
日立製作所のポット型「ポットプレス250」。
ちり落とし装置で目詰まりがなく、
ゴミもドーナツ型に固めて捨てられる
(昭和43年12月16日)

今ではロボット型も登場。留守の間に勝手に掃除をして、充電場所まで戻ってくるという便利な掃除機もある。

文=町田 忍

▼本書のお求めはこちら

【目次】
◉テレビ
放送開始、街頭テレビ、スポーツ中継、家具調テレビ、ボタンとリモコン、懐かしのテレビ番組など
◉白物家電
洗濯機の原理、進歩する洗濯機、掃除機のルーツ、掃除機戦国時代、冷蔵庫の多機能化、冷蔵庫と氷など
◉キッチン家電
電気炊飯器とジャー、電気で焼く、なんでも家電!、キッチンを変えた家電など

町田 忍(まちだ・しのぶ)
昭和25年(1950)東京生まれ。和光大学人文学部芸術学科卒業。学生時代にヨーロッパを一人旅。その後、警視庁警察官を経て、江戸から戦後にかけての庶民文化・風俗を研究し、庶民文化研究所を設立。執筆活動のほか、コメンテーター、コラムニスト、テレビ・映画・ラジオ出演、ドラマの時代考証など多方面で活躍。主な著書に『納豆大全』(小学館)、『蚊遣り豚の謎』(新潮社)、『町田忍の昭和遺産100』(天夢人)、『町田忍の銭湯パラダイス』(山と渓谷社)、『町田忍の手描き看板百景』(東海教育研究所)など多数。

※新聞広告は、特記がないものはすべて朝日新聞に掲載されたものです

よろしければサポートをお願いします。今後のコンテンツ作りに使わせていただきます。