香道の歴史を知り馥郁たる名香を楽しむ
世界に誇る日本文化のひとつである香道。500年余りの歴史を有する志野流香道の展覧会が、東京・芝の増上寺で開催される。
志野流香道は、室町時代、東山文化の隆盛を導いた足利義政に同朋衆(将軍の側で芸能を扱った者)として仕えた志野宗信を流祖とし、徳川家の庇護を得て江戸時代に成熟、連綿とその伝統をつないできた。
今展では、香道で使われる組香を示した「源氏香図本」や、香炉の名品、徳川家も愛した名香コレクションなど、香道にまつわる貴重な資料を多数展示。会期中は聞香体験会や、歴代の徳川将軍への献香式も行われる。
かぐわしい香りには、感覚を研ぎ澄まし、孤独を癒すなど十徳があるといわれる。忙しい現代人にとって、香りを通じて静かに自然を感じる時間は貴重なものになるだろう。奥深い香道の世界に触れる、またとない機会である。
出典:ひととき2022年5月号
※この記事の内容は雑誌発売時のもので、現在とは異なる場合があります。詳細はお出かけの際、現地にお確かめください。
▼連載バックナンバーを見る
よろしければサポートをお願いします。今後のコンテンツ作りに使わせていただきます。