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旬のおでかけ情報をはじめ、気になる新刊や新商品、見逃せない展覧会や伝統的なお祭といったご当地の話題など、さまざまなトピックをお届けします。
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記事一覧

SDGsを体験できる大阪の新スポット【スマセル サステナブルコミューン】

 大阪市住之江区にある鉄工所の跡地約200坪の敷地を活用し、廃工場をリノベーションしたショッピングモール「スマセル サステナブルコミューン」が8月にオープン。7つのショップが入り、インテリア、コスメ、フード、アート、音楽など、さまざまなカテゴリーのサステナブルな商品が並び、各ショップで楽しみながらSDGsを体験できる。購入するごとに希望するNGO団体(森林保全団体、戦地の難民支援、地震の被災地など)に100円を寄付できる仕組みもうれしい。  週末には、タレントやインフルエン

[田名網敬一 記憶の冒険]世界初となる自身の大規模回顧展(東京都港区・国立新美術館)

 再評価が進む日本人アーティスト、田名網敬一[1936〜]は、幼少期に経験した戦争の記憶、その後に触れたアメリカの大衆文化、この両者の影響が色濃く反映された色彩鮮やかな作品で知られる。  近年は自身の過去の記憶や夢を主題とした作品を数多く制作。本展では未発表の新作に加え、田名網が1970年代から断続的に記録してきた夢日記やドローイング、関連するインスタレーションを展示することで、尽きることのない創造力の源泉に迫る。その他、日本の戦後文化史と密接に結びついた作品群やファッショ

【郡上おどり】徹夜で踊り明かす岐阜の夏(~2024年9月7日)

 日本三大盆踊りに数えられ、400年以上にわたって伝承されてきた郡上おどりは、江戸時代に城主が領民たちの融和を図るため、藩内の村々で催されていた盆踊りを城下に集めたのが始まり。「盆の4日間は無礼講でよい」と奨励したことから盛んになったと伝わる。郡上おどりは「見る踊り」ではなく参加する踊りといわれるが、地元の人同士だけでなく、観光客も輪になって、共に踊りを楽しめる趣向は、こうした歴史と重なって見える。  日本一長い期間続く盆踊りとしても知られるが、今年は7月13日から9月7日

伝統×前衛─奈良の新しい食文化を発信【narawashi nagaya】

 奈良県橿原市の重要伝統的建造物群保存地区・今井町にたたずむ築約150年の長屋を生かして、奈良の新たな食文化を育む複合施設「narawashi nagaya」が6月にオープンした。  このうち、飲食スペースは3つの業態で運営する。奈良県生駒市でミシュラン一つ星を獲得したリストランテの堀田大樹シェフが監修する「dulce communico」は、奈良の果実を使ったデザートをコースで提供し、ティーペアリングも楽しめる。同スペースを、国内外の料理人が奈良の食材を用いて腕を振るうポ

[那智の扇祭り]世界遺産・熊野那智大社の日本三大火祭り(2024年7月14日)

 那智の扇祭りは、日本三大火祭りに数えられる。熊野那智大社で祀られている熊野の神々は、もともと現在の別宮の飛瀧神社付近で祀られていたと伝わり、年に一度、熊野に鎮まられる12柱の神々が本殿から里帰りする神事。御本社境内で奉納される大和舞や那智田楽も見応えがあるが、クライマックスは大松明の炎で参道を清めて扇神輿を迎える御火神事だ。  12体の扇神輿に遷御された御神体は12柱の神々を表し、その扇神輿の形象は那智の滝を表すという。大松明は、大きいもので長さ1・4メートル、重さは50

金沢21世紀美術館、全面再開へ

 能登半島地震の被害を受けて、一部を除き休館していた金沢21世紀美術館が、6月22日に全面再開した。「まちに開かれた公園のような美術館」という建築のコンセプトどおり、広場でアート作品やパフォーマンスに出合えるほか、無料の交流ゾーンも引き続き開放。観光客や地元の人々に愛される人気スポットの賑わいが戻ってくる。  2024年は開館20周年にあたり、会期を3期に分けて大規模なコレクション展も開催。第1期は6月22日~9月29日で、その後も第2期(10月12日~2025年1月19日

[志摩グリーンアドベンチャー]伊勢志摩でアクティブな夏の思い出を

 英虞湾の眺望や緑に囲まれたゴルフ場の跡地を生かした「志摩グリーンアドベンチャー」。自然を感じながら体を動かして遊べる「アトラクションフィールド」と、非日常空間で宿泊できる「グランピングフィールド」から成る。  アトラクションフィールドのコンテンツは、全20種類。日本最長を誇るジップライン、世界初の大小2棟連結タイプのタワー型アスレチック、赤外線システムを使った日本初の屋外型サバイバルゲーム、小さな子供も遊べるツリーハウス、未経験者でも楽しめるドローン体験など、じつに多彩だ

百花繚乱──20世紀初頭、パリで花開いた美(東京都港区・松岡美術館)

 20世紀初頭、パリは芸術の中心地として、世界中の芸術家たちを引きつけた。本展では、松岡美術館の収蔵品のうち、当時の多層的な文化交流から生まれた、総勢20名を超える作家たちの作品を紹介。新たな表現を模索して、その可能性を広げた力作がそろう。  新たな表現の探求の口火を切ったのは、フォーヴ(野獣)と評された作家たち。フォーヴィスムに大きな影響を与えた新印象派の画家、ポール・シニャックとアンリ=エドモン・クロッスの作品を起点として、モーリス・ド・ヴラマンクやラウル・デュフィら、

【下田温泉あじさい祭】約300万本!あじさい群生日本一の下田公園(6/1〜30まで)

 6月頃に花盛りを迎えるあじさい。下田城址が自然公園として整備されている下田公園には、野生種のガクアジサイや西洋アジサイなど100を超える品種が植えられており、訪れる人の目を楽しませてくれる。ピーク時には300万本ものあじさいが咲き乱れ、圧倒的な景色が広がる。  また、毎年この時期には「下田温泉あじさい祭」が開かれ、期間中はさまざまな売店が並び、地元のグルメが味わえるのも魅力。下田港は金目鯛の水揚げ日本一で、「あじさい茶屋」では、金目鯛の入ったお手製「キンメコロッケ」が自慢

【善徳寺 杜人舎】富山・土徳の里に誕生した“泊まれる民藝館”

 民藝運動の創始者である柳宗悦は、富山県西部・砺波平野の自然によって育まれた精神風土を「土徳」と呼び、そこに民藝思想との重なりを見いだした。今春、土徳の里の人々の信仰を集める城端別院善徳寺の敷地内に、宿泊や食事、買い物などができる施設「善徳寺杜人舎」がグランドオープン。  1階は誰でも利用できるカフェとショップ、講堂、コワーキングスペースを備える。カフェでは地域の食材を用いたメニューを民藝の器で提供。ショップには、民藝運動の巨匠の作品や、全国の民藝の器、杜人舎セレクトの物産

デ・キリコ展が10年ぶりに日本で開催

 20世紀を代表するイタリア人画家ジョルジョ・デ・キリコ[1888〜1978]の大回顧展が東京都美術館で開催される。  本展では、約70年の画業の中で生まれた作品100点以上が世界各地から集結。注目すべきは、彼の代名詞ともいえる「形而上絵画」シリーズだ。人物に代えて〝マヌカン(マネキン)〟を描いた作品は、ダリやマグリットなど多くの芸術家に衝撃を与えたという。また、伝統的な西洋絵画の表現に回帰した作品も展示。ルネサンス期に見られるような作風は、それまでのタッチとは全く異なるも

【石山寺】大河ドラマの主人公紫式部ゆかりの滋賀・大津市へ

 紫式部が『源氏物語』の着想を得たといわれる滋賀県大津市の石山寺。その境内の明王院に「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」がオープンした。映像やパネル、衣装や小道具などの展示を通して平安貴族の生活やドラマの魅力を紹介する。また、隣接する世尊院では平安時代の“恋”をテーマにした「源氏物語 恋するもののあはれ展」を開催中。『源氏物語』の和歌を現代的に解釈し、イラストや音楽で表現。平安時代の恋を彩った色や香り、花の文化に触れられるコーナーも併設している。  さらに、かつて平安貴族

【ラ・フォル・ジュルネ】フランス発祥世界最大級のクラシック音楽祭(東京国際フォーラム)

 フランス語で〝熱狂の日〟を意味する音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」が東京国際フォーラムで開催される。  17回目を迎える今年は、音楽の“起源”に立ち返る「ORIGINES─すべてはここからはじまった」をテーマに、さまざまな音楽の伝統にスポットライトを当てる。中世やルネサンス期の古楽から現代的なジャズに至るまで、それぞれの音楽のルーツを紐解く構成だ。たとえば、多くの傑作を生み出してきたソナタや四重奏曲といった楽曲形式はどのように誕生したのか。楽器はどのように生まれ、時代ととも

【名品ときたま迷品】厳選コレクションから「メイヒン」探しを楽しむ展覧会(東京都・サントリー美術館)

 サントリー美術館で少々ユニークな展覧会が開催される。  芸術的な価値の高い誰もが認める「名品」と、これまでほとんど注目されてこなかった「迷品」─同館がコレクションする「メイヒン」を一堂に集め、さまざまな角度からそれらの魅力を紹介する。  北条政子が愛用したと伝わる華麗で格調高い《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》をはじめ、計16点の国宝・重要文化財指定作品が出展される。一方、庶民の生活用品として活用された漆工や陶磁、素朴で味わい深い絵画といった、「生活の中の美」を基本理念とする同館な