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なぜ人は自分の魅力に自分で気づけないのか?

突然ですが、あなたは「自分の魅力は何ですか?」と聞かれた際、答えることができますか? この質問に対する回答の多くは「No」ではないでしょうか。

仕事やプライベートでたくさんの人と交流をする中で、「あの人は社交的で羨ましいな」「しっかり者の○○さんと比べて自分は……」「あの人のようになりたい……」といった感情を抱くことは多々あるはずです。人間は、他人の魅力を見つけ出す能力に優れていている反面、自分の魅力を見つけるスキルが乏しいと言えるかもしれません。

仕事で秀でている能力……いくつ言えますか?

ですが、一度考えてみてください。あなたは、『仕事をする中で、自分が周りよりも秀でている能力』をいくつ言えますか? おそらく、多くを挙げられる人は少ないのではないでしょうか。これはあなただけではありません。人間は誰にでも得手不得手が存在し、例えば一括りに『営業』といっても顧客対応から資料作り、請求書作成など業務は幅広く、すべてが得意という人はほとんどいないからです。つまり、誰にでも欠点があるとも言えます。自分が羨む相手は、あなたが思うほどスゴイ人間ではないのです。

なのにどうして、人の魅力にばかり目が行ってしまうのでしょうか。

なぜ自分の魅力に気づけないのか?

自分の魅力に気づけない要因はまず、日本人の特性と関係してくるのかもしれません。諸外国の人々に比べて、日本人は目立つことを嫌ったり、人に意見を合わせる、人の目を気にする……といった習性が見られます。基本的に、自分よりも他者に神経を使うタイプが多く、良い悪いに関係なく、つい他人に目が行ってしまう傾向があります。

そのため、「自分には何もないのに○○さんはすごい……」「あの人は毎日が楽しそうなのに自分はつまらない」という心理が働いてしまうことも多いのです。

しかし、そもそも「魅力という存在を過剰評価している可能性」も考えられます。

当たり前にできていること=魅力の考え方

先ほど、人間には誰にでも得手不得手があると書きました。例えば、営業先で話すことが得意/苦手、企画を出すのが得意/苦手、淡々と事務作業ができる/できないetc.これらは人それぞれでしょう。

押しの強い営業が苦手なAさんから見ると、どんな場面でも顧客を盛り上げるトークができるBさんを羨ましいと感じるかもしれません。しかし、Bさんは事務処理にいつも手間取ってしまい、反対にAさんは淡々と処理をこなせます。「Aさんはすごい」とBさんは思うはずです。

しかし、このAさんにできてBさんにはできない、BさんにできてAさんにはできないことは、特別な才能が必要なものだと思いますか? 答えは「違う」と言えるはずです。

これは、人それぞれが持つ性質の話です。もともと、人と話すことに抵抗がないどころか、常に誰かと一緒にいたい人がいるとします。一方、インドアで自分ひとりの時間を大切にするタイプの人もいます。子どもの頃から常に落ち着きがあり集中力を保てる人もいれば、通知表に「落ち着きがない」と書かれる人もいるのです。それぞれ、自分が当たり前にやっていることのはずです。

「この能力は良いけどこっちは良くない」では決してありません。あなたが普段、意識することなく当たり前のようにこなしていることこそ、自らが持っている性質であり、それが自分自身の魅力へと繋がる可能性を秘めています。当たり前だからこそ気づきにくいと言えるかもしれません。
自分の声質とは環境次第で長所にも短所にも、そして魅力としても変貌していくことも少なくないのです。

企業などで人材の活用に用いられる手法に『コンピテンシー』があります。これは、物事に対する姿勢や指向といったスタンス面や、その人が備えている能力や性格・個性、どんな仕事にも発揮できるスキル(ポータブルスキル)などを捉えるものです。

コンピテンシーの項目には『達成思考』や『情報収集』から、『対人理解』や『顧客支援思考』、はたまた『チームリーターシップ』や『柔軟性』に至るまで幅広く、それぞれ組織の社風や環境、もちろん業種や職種により、成果を上げやすい能力が変わってくるのは当然のことです。

なので、本来は他者のことなど気にせずに、自分の魅力が長所となり、存分に活かせる環境に身を置く努力をするのが一番大切と言えるでしょう。

自分の魅力に気づくにはどうすればいいだろう?

では、どうすれば自分の魅力を自分で気づくことができるのでしょう?

まず、簡単な方法として「性格診断テストを受けてみる」があります。

ビジネスの現場で活用されることもある『16personalities』は、スマホで約10分程度、複数の質問に答えていき、16個に分けられた性格タイプに分類されます。『管理者タイプ』や『起業家タイプ』、『仲介者タイプ』などなど、自分がどのタイプに属するか判明するだけでなく、タイプ別にストレスのかかる/かからない環境などを教えてくれます。

起業家タイプのようにチームを統率していく役割もあれば、みんなを引っ張る能力ではなく、チームメートの間に入ることで活躍する人もいます。まずは自分がどんな性質を持った人間であるか、押さえるのが良いでしょう。

また、『ビリギャル』で話題になった坪田信貴氏の著書に『人間は9タイプ』(KADOKAWA)という興味深いタイトルの本があります。1300人以上の様々な子どもの成績を向上させてきた氏曰く、人間の「タイプ」は9つに分けられ、タイプによってベストな指導法や接し方があり、才能の伸ばし方やモチベーションの高め方が違ってくるのだといいます。

この本では、相手を改善したいと思うあまり、「相手につい自分の疑念や不満、失望の表情をぶつけ、欠点を指摘してしまいがち」と説いています。つまり、「才能を伸ばすためにはどうするか」のアプローチを大切にする考えですね。これは、欠点よりも良いところを伸ばす指導が重要だということで、私たちビジネスパーソンにも応用できることでしょう。「他者よりも劣っていることではなく、優れたところを活かす」ということです。

この『人間は9タイプ』の性格診断もネット上で受けることができ、それぞれのタイプについての解説も用意されているので、一読してみることを推奨します。

これらの性格診断を用いて、まずは「自分がどのような特性を持っているのか?」「何が得意で何が不得意なのか?」「どういった環境に身を置くことで、自分の魅力を最大限発揮できるのか?」

自分の魅力に気づく第1ステップとして、整理してみてはいかがでしょう。

第2ステップとしておすすめしたいのが「自分と他人を比べてみること」です。

前の章で「ついつい他人に目が行ってしまう」ことについて述べましたが、ここでいう「比べる」とは、ネガティブな意味ではありません。

自分が持つ性質がなんとなくでも掴めた段階で、他人を羨むのではなく、“自分にあって他人にはないもの”を比べてみるのです。

先ほど例として挙げたAさんは、いつも顧客を盛り上げるトークをするBさんを羨んでいました。この場合、「確かにBさんは盛り上げ上手だけど、彼にはない自分の個性/魅力は一体なんなのだろう?」といった具合です。

盛り上げることが得意な同僚に憧れや嫉妬を抱いて終わりでなく、深く考察をすることで、「あ、そういえば自分はBさんよりも、顧客の話をしっかりと聞いてあげてるな」「タスクを正確かつ丁寧にこなせている」など、自分の魅力に少しずつ気づいていくことでしょう。

そして、最後は第三者の意見をもらうことです。

「ある程度、自分のことがわかってきたな……」となっても、それは自分で自分を客観視しただけに過ぎません。逆説的ですが、自分の魅力には気づかず周囲と比較してしまうということは、あなたの近くにいる人は、あなたの魅力に気がついている可能性があります。

誰かと話すということは、意外に大切なことです。どんなに些細なことでも構わないので、「周りと比べて何が優れているのか?」、客観的な意見を取り入れ、自分自身の魅力を強固にしていきましょう。

まとめ

我々が運営する『ホンネメンター』は、その人が持つキャリアの悩みなどを、同じようなキャリアを持つ先輩方に相談できるサービスを提供しています。

「これまでとは異なる業界にキャリアチェンジをしたいけど、今の自分のスキルを活かすことはできるのか?」「今の仕事に活かせるヒントが欲しい」など、その道を通ってきた先輩方と話をすることで、自分の魅力を客観視することができるかもしれません。

もし、身近に相談できる人がいないという場合は、ぜひ活用してみてください。一人でも多くの人が自分の魅力に気づき、豊かな人生を送れることを願います。


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