見出し画像

仕事にやりがいは必要なのか?

この記事を読んでいる人の中にも、「転職をしたい」と考えている人がいるかもしれません。

転職を検討しているユーザーからよく聞く言葉があります。それは、「今の仕事にやりがいを持てない」といったものです。

しかしそもそも、仕事にやりがいは必要なのでしょうか?

“やりがい”って何なのだろう?

まず、『やりがい』とは一体何なのか。辞書を引くと「事に当たる際の充足感や手応え、張り合い」とあります。仕事の場合、自らが持っている能力等を最大限に活かせる環境であったり、成長を感じられる場に身を置くことで、やりがいを感じやすくなると考えます。

例えば接客業に就いているAさんがいるとします。Aさんは元々、人と接することが好きだったことから、接客を仕事に選びました。いざ仕事を始めると、担当したお客さんから「ありがとう」と言ってもらえることにやりがいを感じ、「お客さんのためにもっと精進しなくては」と、日々努力をしています。

新卒で不動産企業に入社したBさんは、企業に応募をした段階である目標がありました。それは、「20代で役職を得る」です。そのため、実際にそういった謳い文句で求人を出している実力主義を採用する会社に就職します。

彼はまず、同期入社の中で営業成績No.1を目指します。20代で役職を得る目標に向かい、毎日懸命に働いているのです。実際、努力の甲斐もあり成績は上昇。もちろん、うまくいかない時もありますが、その過程も目標への通過点です。目指す地点が明確な彼は、営業成績を上げる努力をすること自体にやりがいを覚えるわけです。

このような人々にとって、やりがいは仕事への活力、つまりはエンジンになります。よって、仕事をする上で欠かせないものだと言えるでしょう。

無理にやりがいを見つけなくていいワケ

画像1

しかし、これらはビジネスパーソンには当てはまらない人も多いのではないかと思います。
まず、好きなことがあったり、明確な目標を持って企業に入社する人はどれくらいいるのか?

例えば、以下のような考えで就職活動をした経験のある人もいるのではないでしょうか?
「周りは内定を取っているのに自分はゼロ……どこでもいいから内定を取らなくちゃ」
「とりあえず安泰な大手から受けてみる」

もちろん、既に社会人経験のある人たちだって同じです。

「なんとなく不満があるから転職したい」
「会社に未来があるのかな……」

などなど。

そして、どこかの企業に入社します。入った当初は業務に新鮮味があり、刺激に満ちた日々を送っていたかもしれません。ですがそのうち、仕事に慣れていきます。数年も同じ環境で同じ同僚たちと働いていると、当然マンネリを感じます。

でも、これは“よくあること”のはずです。このような社会人生活を送り、年を重ねていく方も多いのではないでしょうか?

しかし近年は、どういうわけか「仕事にやりがいを持たないといけない」という思考に囚われる人が多いような気がします。

「人生は一度きりだから好きなことをしよう」
「やりたくない仕事に貴重な時間を割くのはもったいない」

ネットニュースで流れてくる成功者の仕事論。ビジネス書の“仕事=人生”のように呼びかけてくる言葉の数々。こういった情報を目にする機会が増えたことで、「やりがいを持って仕事に打ち込む必要がある」と考える人が増加したのではないでしょうか。

以前にIndeedが実施した『世界仕事満足度調査』で、日本人の仕事満足度は世界35ヵ国中で最下位でした。調査名のまんまですが、つまり「日本人は仕事に満足していない。仕事を苦痛と感じている」ということです。

もう一つ、ビジネス特化型ソーシャルネットワークサービスのリンクトイン(LinkedIn) が発表した「仕事で実現したい機会に対する意識調査(Opportunity Index 2020)」によると、「良い生活にとって重要な要素」は世界/日本同様に、『健康』と答えた人がもっとも多かったです。

画像2

(※参照:LinkedIn社「仕事で実現したい機会に対する意識調査(Opportunity Index 2020)」より)

しかし、世界の2位が『経済的自立』なのに対し、日本は『精神的な豊かさ』が次点にきています。日本人は精神的豊かさというお金以外の所を仕事に求めているのが分かったのです。
また、「人生で成功するためには、何が重要だと思いますか?」の問いに対しては、世界/日本共通で「一生懸命働くこと」がトップになりました。そして、「変化を喜んで許容すること」「ふさわしい人々とのつながりやネットワーク」が続きます。しかし、日本は『幸運』が2位に入っています。

画像3

(※参照:LinkedIn社「仕事で実現したい機会に対する意識調査(Opportunity Index 2020)」より)

運頼みというわけです。
外部ではなく内部(社内)を意識する日本型雇用の弱点ともいえる部分が表れる結果となっていますし、このマインドでは、やりがいを持とうと思っても持つのが難しいはずです。
世界の「変化を喜んで許容すること」「ふさわしい人々とのつながりやネットワーク」はその逆とも言えます。人生の成功を叶えるには、良いも悪いも変化を受け入れ、人との繋がりやコミュニケーションを大切にする考えと聞いてどう思いますか?
変化を許容し、自分の人生(キャリア)に必要な第三者と積極的に関わる。誰が考えても、こちらのスタンスの方がやりがいを得る環境が整っているのではないでしょうか? つまり、一般的な日本人の考え方とやりがいとは、そもそも結びつきづらいのではないかと考えます。

もちろん、あなたに何か好きなこと(やりがい)があり、それでお金を稼ぎ、生活ができるならとても幸せだと思います。しかし、そこには才能の壁が立ちはだかります。運の力も左右する世界です。

そもそも、「好きなことが分からない」「別に好きなことなんかないよ」といった人も大勢いると思うのです。それはいけないことでもなんでもありません。

にもかかわらず、外部からの情報に焦るあまり、まずは好きなことを探す行動を取る人もいます。すんなりと見つかればいいのですが、そう簡単にいくわけもなく、それがやがて「自分は好きでもない仕事をやっていていいのか」のような悩みに変化します。「自分はこのままでいいのだろうか」と自問自答の日々を繰り返すのは健全とは言えませんよね。

では、どうすればいいのか?

まず、「自分にはやりがいなんて必要ない。貰える給料のために仕事をする」と割り切れる人は何の問題もありません。もちろん、割り切りすぎて業務を疎かにし、リストラの対象になってしまうようなことは避けなければなりませんが、マインド自体は現状維持で大丈夫でしょう。

問題は、「やりがいを見つけたいけど、どうすればいいのか分からない」ケースです。こういった人たちにおススメしたいのは、“自分だけの、等身大のやりがいを見つけること”です。

どんな小さなことだってやりがいになる!

当然のことかもしれませんが、やりがいがあった方が仕事へのモチベーションが上がることは確実です。仕事が楽しくなれば、日々の生活がより充実することも自明ですね。そこで、“あなただけの等身大のやりがい”を持ってもらいたいのです。

あくまで、“あなただけの”です。成功者が語る雲を掴むようなものでも、身近にいる、世間から受けが良いやりがいを持ち、毎日楽しく働いている人のでもありません。

そして、やりがいに決まりは存在しません。他人からすれば小さなことでも。人に堂々と誇れなくてもいいのです!

例えば、日々の業務の中で、なるべく昨日と同じやり方をしないなど、自分でルールを課すなんてのもありですね。毎日同じような時間を過ごすことを変えるだけでもマンネリは薄れますし、この過程の中に、やりがいに繋がる何かが潜んでいる可能性もあるでしょう。
あとは、「自分がやっている仕事が、誰の役に立っているのか?」と熟考してみるのもアリです。なぜなら、どんな仕事だって必ず誰かの役に立っているからです。一度、この部分を掘り下げてみてはどうでしょう。自分が誰に、どのように役立っているのか? これが掴めると、それだけで仕事に対する意義が見出されますよね。結果、やりがいへと繋がってくれるのではないかと考えます。
仕事以外だと趣味です。休日の時間を有意義にしてくれる趣味は、あなたの人生に彩を与えてくれます。その時間をより充実させるために日々の仕事に打ち込む。
「自分には趣味もないから」と落ち込むことはないです。また、「やりがいのために何か趣味を探す!」と考え、流行りのソロキャンプを始めたり……みたいなことはあまりおススメしません。それは、先述したやりがい探しに通ずるものがあるからです。どうしても趣味を見つけたい際は、肩肘張らず、「なんとなく、気晴らしでなんかやるか~」の精神で臨みたいところです。それくらいの余裕を持つことで、案外新たな趣味が見つかるかもしれません。

まとめ

結局、何が言いたいのかといいますと、“なんでもいい”ということです。あなたがやりがいだと感じればそれは紛れもなくやりがいであり、世間で語られるやりがいと統一性を持たせることは不要です。そもそも、やりがいとお金を分けることだってナンセンスですよね。

「自分のやりがいは給料だ」。本人がそう思って仕事に打ち込めるならば、それを否定する権利は誰も持っていません。

「給料を貯めておいしいお酒を飲みながらおいしい物を食べる。そのために自分は仕事をするのだ!」

お金をやりがいにしたっていいのです。重要なのは、世間一般のものさしに合わせないこと。情報を得ることは確かに大切です。しかし、それに支配されるのはNGです。
どうしても外部からの情報に左右されてしまうなら、まずはマインド面から変える努力をするのもありです。前出した「人生で成功するためには」の調査にあったよう、“内ではなく外に目を向ける”。自分に必要な人との繋がりはとても大切です。大衆に広がる情報に右往左往してしまうなら、積極的に第三者と関わりを持つのです。自分では考えられないような思考や行動力を持った人などと触れ合うことで、地に足のついた“個”の獲得に近づくかもしれません。
すべての情報はあくまでヒントであり、結局大事なのは“自分を持ち、自分で考え、自分で決定すること”だと言えるでしょう。

ホンネメンターとは?

私たちは、キャリアに悩む人々が等身大のメンターを獲得できるよう願い、『ホンネメンター』というサービスを提供しています。本サービスは、様々な経歴を持つメンターをご自身で選択し、実際にキャリアについての相談が可能になります。そのキャリアの悩みを既に解決した先輩と話が聞けるというわけです。

本章では「無理にやりがいを見つけることはない」と書きました。とはいえ、「今の会社で仕事をしていても楽しくないけど、今の職種のまま楽しみながら働きたいな」など、少し具体的な悩みもあるかと思います。既に好きな仕事があり、好きな仕事を楽しみながら行うことがやりがいに繋がるケースですね。こういった人はぜひ、第三者に話を聞いてもらうことを推奨します。

「自分ひとりで解決できずに苦しむくらいならば、誰かに相談をしてみる方法もあるんだよ」ということを、多くの人に知ってもらえたら嬉しい限りです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?