106 スター・トレック
元旦からメンタル弱め
緊急地震速報が入るだけで、気持ちが削られるような気がする。
元旦の能登半島地震、その後の余震。昨日も早朝(5時半頃)、犬に起こされてテレビをつけたらいきなりの緊急地震速報で、思わずチャンネルを変えてしまった。ニュースでは地震と救出活動、支援の話が中心なので、大切なことだとは思うけれど直視できないでいる。
そのせいもあって、テレビ番組を楽しむ余裕がない。
確かに「マツコ&有吉 かりそめ天国」は相変わらずおもしろかった。だからほかのバラエティも楽しめるかと思ったのだが、「家、ついて行ってイイですか?」は人間観察、家観察として楽しめたものの、心の底からふわっとなるようなテレビ体験はここまでなかった。
すべてが灰色とまではいかないけれど、好きなお笑い芸人たちが登場しても、楽しめないでいる。
幸い、高校サッカーがあって、それだけで十分に楽しめたので、もういいや、という気にもなる。
今日は、高校女子サッカーの決勝、そして高校ラグビー決勝があるので、それでなんとか持ち直したい。
好きじゃなかったスター・トレック
まったく観ないわけではないのだが、映画版の「スター・トレックもの」がいまいち楽しめなかった。古いテレビシリーズを子どもの頃には見ていたのだが、熱狂的なファンになることはなく、あの丸い円盤と美容の機械みたいなエンジン部分からなるエンタープライズ号も、あまり好きではなかった。
ところが、WOWOWで2009年の映画『スター・トレック』をなぜか録画しておいた。どうしていまさら、と思うけれど。
J・J・エイブラムス監督で、スター・トレックの主要登場人物たちがチームとなるまでを描いている。一時、よく観ていたテレビドラマ『HEROES/ヒーローズ』で印象的な悪役を演じていたザカリー・クイントがスポックを演じていて、今回も印象的だった。
ストーリーの善し悪しは微妙ながらも、テンポが抜群によくて飽きずに観ていられたのも大きい。迫力あるシーンと、青春もの、あるいは若き軍人ものとしてもトンデモなエピソードをうまくはめ込んでいて楽しめた。
そして、どうしてこれまで『スター・トレック』が好きじゃなかったのかが、自分でもわかった。
転送とワープのドラマ
今回の作品では、さらにタイムトラベルが組み合わさっていて、スポックは老スポック(レナード・ニモイが演じている!)も登場するし、この映画での悪役は未来から来た連中だ。
簡単に言えば、桃太郎にやられたあとの鬼の子孫たちがタイムトラベルをして、桃太郎が生まれたばかりの時代へやってきて復讐しようとするような話である(違っていたらごめんなさい)。
このタイムトラベルは、サービス精神としては多いに評価できるけど、私の好みからは大きく逸脱している。私は、タイムトラベル、タイムスリップ、タイムリープといった「時間を操る」話が嫌いなのである。
そして「スター・トレック」は、今回もそうだったが、「転送」と「ワープ」の物語である。ある意味で「ズル」をしている。そこで転送するのかよ、そこでワープするのかよ、とどうしてもなる。というか、この2つの武器を誰もが喜ぶ場面で活用することこそ、「スター・トレック」のストーリーの醍醐味となっている。それが好きじゃない原因だ。
だって、そういう力があるなら、ほかのところでも使えたんじゃないの? そこで使うのは製作者の意図でしかなくない? 必然性というよりも、おもしろくするためや辻褄合わせのために使ってない? などなど。フェアじゃない感に、私が審判だったら大量のイエローカードを出してしまいそうなのである。
確かに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズはすべてリアルタイムで劇場で観たけれど、まあ、「ズルい」の連発である。ただしこれはコメディだったので、その「ズル」を含めて笑い飛ばすことができてしまうから、まあ、「そこまで目くじらを立てなくても」となる。
しかし、「スター・トレック」は人間や宇宙人たちのシリアスなストーリーを軸としていて、それだけに、転送とワープはどうしたって気になってしょうがないのである。
この結果、私は時間軸を意図的に制作側(著者や脚本家や監督たち)によって、いくらでも歪められてしまう類のストーリーを、あまり好きになれずにいた。「だって、好きなようにできるじゃん!」である。
ドラマのよさは、不可逆的であることに支えられているんじゃないか、と頭の固い私は思うのである。悲しみや怒りは、戻ることのできない時間軸の上で起こるから成立するはずで、なんでもできる世界では「やり直せばいいじゃん」になってしまう。バカリズム脚本のドラマ『ブラッシュアップライフ』はまさにそれで、何度でも同じ人生をやり直せてしまうことから起こるちょっと苦みを利かせた楽しいドラマだったけれど、私の嫌いなタイムトラベルものとは違う視点だったからよかったのかもしれない。
ともかく、なぜかメンタル弱めの私にとって、『スター・トレック』が救いになったことだけは確かなので、今後は、目くじらを立てないように生きて行こうと思った。
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