見出し画像

112 スポーツを語る、いや騙る

自分でやったことのあるスポーツ

 スポーツについて語ることは、あまりない。
 なにしろ、自分ではほとんどスポーツをしない。年齢とか身体の問題ではない。やらないのだ。好きじゃないのだ。筋トレもしない。ラジオ体操もしない。「体を動かすのが好きだ」とはお世辞にも言えない。下手をするとじっとイスに座ったまま長時間になるので、意識的に立ち上がりストレッチをするけれど、スポーツをするわけではない。
 スポーツは、見る。正月には駅伝も見る(ときどき見る)。ラグビー。サッカー。野球。それぐらいだろうか。見ないスポーツの方が多い。以前はNFLが好きで、熱中していた。いまがまさにそのシーズンで、レギュラーシーズンが終わって今週末はワイルドカードだと「NFL倶楽部」で知る。弱体化していたスティーラーズがなんとかワイルドカードにすべり込んだ。ペイトリオッツの名監督ベリチックがチームから去るという。やはり弱体化していたパッカーズもワイルドカードで出るらしい。今後も「NFL倶楽部」で追うことになりそうだ。
 やったことのあるスポーツは、剣道、柔道、ラグビー。そして登山(というより山歩き)。水泳。私は内耳に問題があるらしく潜水はできないが、クロール、平泳ぎはできる。社会人なりたての頃は、よくプールに行って発散していた。
 中学の頃に剣道をやっていて、あの防具や所作になじめず、高校では柔道をやった。柔道は体一つな感覚もあって嫌いではないのだが、そもそも「勝ちたい」という欲求が乏しく、当然ながらまるで上達しない。同級生のうち半数ぐらいは卒業までに初段以上になっていたが、私はとうとう昇段の試験を受けにもいかなかった。

丹沢のイメージ

山を歩いていた

 横浜に住んでいた頃、丹沢へよく行った。当時、高校の体育教師は、担任のクラスを引きつれて大山を駆け上がっていた。幸い、私はそのクラスではなかったので、ハードな登山経験はない。
 40年ぐらい前の話なので、当時は丹沢湖はできたばかりで、宮ヶ瀬湖は影も形もなかった。いまは湖底に沈んでいるあたりを歩いていた。
 ヤマケイの防水地図を手に、さまざまなルートを考えて丹沢へ行った。基本は日帰りで、そのうちいまで言う「ひとりキャンプ」をするようになって一泊二日になった。毎週末、山へ行こうとしたものの、さすがにそれはできなかったけど、月に2回ぐらい行った。
 大山に登ってから、ヤビツ峠に下り、そこから塔ノ岳、丹沢山と登って、塔ノ岳に戻って大倉を下る。あるいは、塔ノ岳から鍋割山へ行くとか。またはヤビツ峠までバスで行ってから登ったり。ヤビツ峠から尾根に行かず札掛けへと林道を歩いて清川村へ抜けていくようなハイキングっぽいルートなど、さまざまな道を辿った。
 柔道は格闘技なのだから、勝つことが目標となるのに、勝つ気がまるでなかったのと同様、登山は山頂に到達することが目標となるはずだが、まるで頂上へ行く気がないので、通常の登山ルートから平気で外れた。
 こうして高校時代はあっという間に終わり、大学生になると、丹沢は遠のく。バイトでおカネをためて、八ヶ岳へ行くようになる。そこでも、当たり前のように山頂を目指すのではなく、自分なりのルートを辿る。
 大学の友人と尾瀬へ行ったことはあった。尾瀬はひとりでも何回か行っている。残雪にすっぽり埋まったときは焦ったけれど。ひとりは危険である。
 そして北海道の大雪山に行き、それをもって「登山終了」を自分で決める。
 基本はひとりでやっていたので、もし山頂を目指すような登山なら、単独行は限界が来るだろうし、誰かと登山をする気はまったくなかった。
 こうして私の薄いスポーツ体験は終わるのである。
 あ、社会人になってから、何度かスキーへ行った。大学時代、体育の単位が一発で取れるスキー合宿に参加してスキー部の選手たちから基礎を学んだので、ボーゲンぐらいはできる(学ばなくてもできそうだけど)。だが、ぜんぶレンタルで用具は買っていない。そこまで夢中にはならなかった。
 社会人になってからボーリングもやった。それほど得意ではない。あやうくマイボールを買いそうになったが、買わなくてよかった。
 そういえばゴルフの誘いがあって、道具を格安で揃えたことはあったし庭で少し練習したこともあったが、結局、やらなかった。打ちっぱなしにも行かなかった。その原因は、ゴルフへの偏見である。
 私のゴルフへの偏見は、高校時代に友人からの誘いで2シーズンほどキャディーをやったからであり、貴重な体験をさせてもらったものの、立派な偏見が身についてしまった。それをここで書くわけにはいかないのだが、ともかくゴルフをする人は××だ、的なやつが20項目ぐらいあるので、とうていムリである。
 結局、スポーツを語る資格はないので、騙るのみだ。
 
 
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?