『深夜特急 2 −マレー半島・シンガポール−』①

前回の記事に引き続き、私が気に入った美味しそう!な情景を
紹介していきたいと思います。

まずはタイに来た著者が見つけた、うどん屋です。
P31「匂いに従って露地を曲がると、そこにうどん屋があった。(中略)嬉しくなったのは、その作り方が日本の立ち喰いうどん屋とほとんど同じであり、だから香港の街頭のソバ屋とまったく変わらなかったことだ。
 麺の上に各種の具を乗せスープをかける。それだけのものだがいかにもおいしそうだった。(中略)私はまず、日本のキシメンに最もよく似た麺を指さし、チャーシュー、ツミレを加え、その上からスープをかける真似をすると、わかってもらえたらしく、二人とも笑いながら頷いた。
出されたものは私の望んでいた通りのものだった。スープは胡椒のよくきいた塩味で、ひとくち飲んだ時、日本のなつかしい味がした。」

生地屋を営む店の奥の台所で、著者はご飯を食べることに。
P57「(店の便所から)出てくると、老女は鶏を一羽、さまざまの部分に解体しているところだった。そして、その老女は、小さな台所で、たったひとつの中華鍋から、魔術のように次々と料理を作り出してくれた。鶏肉と冬瓜のスープ、鶏肉と青菜の炒め物、豚肉とタマネギの炒め煮、何だかわからない魚の唐揚げ……。これらが、別に大した御馳走というのでもなく、ごく自然な感じで出される。」

マレーシアに来た著者が、街の食堂に夕食を食べに出かけます。
P129「その中に一軒、中華風の麺をケチャップで味つけし、炒め煮している店があった。麺ができあがると、その上に小エビや玉子をのせて客に出す。これがたまらなくおいしそうに思え、思わず指をさして注文してしまった。できるのを待っている間、すでにできあがって大きな容器に入れられている、イカのカレー煮をもらって食べた。これが意外においしく、さらに出てきたケチャップ焼きそばの味も悪くなかった。値段はこれで一ドル、(中略)ケチャップ焼きそばの料理の名前を訊くと、ミーヤワという返事が戻ってきた。麺の種類によってミーゴワというのもあるらしい。」

いかがでしょうか。
うどん屋のチャーシューとツミレをのせてスープをかけた麺、これは
以前の記事でも書きましたが立ち食いそば屋とかうどん屋で是非とも提供してほしいメニューです。和風じゃなく、ちょっとクセのある、でもシンプルな麺なので日本人にウケそうなアジアンフードだと思います。

中華鍋から次々に色々な食べ物が出てくるシーン。
中華鍋が万能な鍋であることも、あらためて感じられます。
ここの青菜はターサイのような気がしました。

マレーシアのケチャップ焼きそば、これって日本でB級グルメとして定着しそうな気がしませんか?
スパゲッティじゃなくて中華麺、しかも炒め煮してるのがいいね。
あと、イカのカレー煮。私は勝手にスルメイカだと想像してます。
今、不漁で高くて手が出せないから、こんなおつまみのようなイカのカレー煮が手軽にたべられたらなあ。なんて羨ましく思います。

ということで、引き続き次の記事でも美味しい文を
紹介していきたいと思います。

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