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ルートヴィヒ美術館展の追憶.

20世紀を旅した気分になった本展示会.

今までポロックに作品には惹かれなかったけれど, 僕の中ではポロックらしくない白黒の作品が持つ引力に陶酔した. 光と影, 見つめると膨張する線にしじみ出るような人影や命のフォルムに一種の生命現象.

カディンスキーの白いストロークからは, 相変わらずなユニバース感が漂いそしてアルゴリズムのようなメカニカルな動きが見え, 聞こえてきて笑う. あの時代を生きた人達のレンズには, 生と死が行き交う憧憬感と焦燥感が混じりあっていたのだろうかと思わされる.

見えているようで見えない軌跡...

そしてマレーヴィチ. The スプレマティズムな“コンポジション38” は次元の拡がりを思い起こさせる. 実際には対象を抽象化しているにもかかわらず. 構成主義に関する僕なりの見解は変わっていない. すなわち, 「プリミティブでアプリオリな呼応」. 色即是空を宇宙にする人間の魂を改めて感じた.

新しい出会いは, オットー・ピーネの“炎”とブリンキー・パレルモの“四方位 I “, モーリス・ルイスの“夜明けの柱”, がとても印象的で染み付いたように脳裏に焼き付けていた. 

次元という概念を旅した展示会. 頭でっかちになりがちなポストモダンな横軸の拡がりではなく, 空間を開拓するアーティストの閃光を瞬いた. 気がする. 

ポロックやカディンスキーから受け取る, 残像と無限のエネルギーという空間のベクトルにもう一つ空間を繋いだような接続は, 見ているのに聞いているのに見えていない聞こえていない表現の剥き出しをアーティストを通して, それぞれのメディウムを介しているのだと改めて教えてくれるし, 世界を創造したThe クリエイターが7日で世界を“形作った” 営みをアーティスト達から感じざるを得なかった. ほんと行ってよかったな. 

ありがとうルートヴィヒ夫妻. 


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