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グリーンランドにまつわるお話@デンマーク

日本に長年暮らしていると、どうしても日本視点、アジア視点になりますね。一方でヨーロッパで暮らすと、アジアは遠く感じられて入ってくるニュースも少なくなります。私が在籍したフォルケホイスコーレにはテレビがなかったので、デンマークやヨーロッパのニュースは新聞で(ただしデンマーク 語なので写真のみ見る)、日本やアジアのニュースはWebから取り入れていました。使っていたブラウザがデンマーク語バージョンだったので私は結果として日本やアジアのニュースはほとんど見ない生活を4ヶ月ほどしていました。

企業で新規事業や新サービスを作るときには、消費者のニーズや同業他社の動向を見定めることが大事です。日常生活でも相手の気持ちになって考えることが求められます。それがいかに難しくて、普段できていないのかがわかったエピソードがあります。

デンマークに留学する前は、グリーンランドがどこにあるかやデンマーク領であることは意識していませんでした。デンマークの国土や人口を調べると「フェロー諸島及びグリーンランド(自治領の項参照)を除く」とあって、グリーンランドという文字をなんとなく目にするくらいです。

私が在籍した学校にはグリーンランド出身の学生さんが数人おられて、初めてその存在を意識しました。グリーンランドではグリーンランド語が公用語、しかしデンマーク語も必要なので語学を学ぶために割と途切れなくこの学校に学生さんがこられているそうです。

断片的ではありますが、下記のようなことを知りました。
-コペンハーゲンからでも飛行機代が20万円位すること(国内なのに!)
-地理的にはどちらかというとカナダに近いこと
-元々はデンマークの植民地であり、今は自治領という扱いであること
-世界最大の島であること
-国土の80%以上が氷と万年雪で覆われていること
-温暖化の影響か、かなりのスピードで氷が溶けていること
-油田などの地下資源があり最近注目を浴びていること
-アジアっぽい顔立ちの先住民族が暮らす島であること(親近感あり)

近年では、アメリカの前大統領(ドナルド・トランプ氏)が在任中にグリーンランドの購入について「戦略的に興味深い」と発言し、デンマークの首相が「グリーンランドは売り物ではない」と応じたことが話題にもなっていました。このやりとりの結果、トランプ氏はデンマーク訪問を取りやめたのですが デンマーク人は「よく言った」という風潮でした。

グリーンランドはデンマークの領土、と思い込んでいたら、グリーンランドは高度な自治を持ちパスポートも独自にあるそうです。グリーンランド人女子がデンマークから実家に帰るときに見送りに行ったら、空港でパスポートを見せているのを見て驚きました。

厳しい自然環境から産業が育たないとか、これは私の感覚ですが若年層の飲酒や喫煙率が高いようです。このような要因もあってか平均寿命がデンマーク本国より10歳も短いなどの課題があります。またグリーンランドの歳入の50%はデンマークからの包括的補助金だという調査もあります。

元植民地→自治領と変化し、現在のグリーンランドは多くの社会課題だけでなく豊富な地下資源を持つ という意味でデンマークとグリーンランドの関係性は、非常に微妙なバランスで成り立っています。財政的にデンマークに頼っているが、今後は地下資源で裕福になる可能性もあるので今後の両国の関係性は注目だと思います。

デンマークで暮らさなければ、グリーンランドのことをこんなに知ることはなかったと思います。
雄大な自然の中や、生業としての狩をしている姿など、あまりにも美しい写真をたくさん見せてもらいました。できれば夏に、いつか訪れてみたいなと思っています。まだ行ってないので手持ち写真がなく、下記のサイトで写真をお楽しみいただければと思います。

日本にも、本土と沖縄の関係性や、先住民族への政策など複雑な課題がありますよね。でも私はわざわざ外国人にそれを説明することはない。この種の国内事情はその国で暮らしてみて初めて触れることができるものなのかもしれません。

いくら努力しても日常生活において視点を変えるのは簡単ではありません。しかし旅行と違って長く滞在できる留学では、自然と視点を変えられます。大人になって思考が凝り固まった時こそ、留学のメリットを享受できるかもしれません。


#デンマーク #フォルケホイスコーレ #グリーンランド #留学 #海外で暮らす #視点を変える

1. そんな!いいんですか!? 嬉しいです!! フォルケホイスコーレ作りのための勉強に使わせていただきます♪