果てのない郷土料理本探索

 1月20日に東京ドームで、開かれていたふるさと祭りに行ってきました。目的は、出店していた知り合いの激励と北海道、青森、秋田辺りで作られている“いずし”の購入です。いずしと言うのは、塩漬けした魚をお米と麹で漬けたナレズシの一種です。

 私は、このナレズシに憧れがあり滋賀の漁協で毎年開催されている鮒寿司講習会にお米5升炊いて往復車で12時間かけて日帰りで参加したことがあります。前の日のお米を炊くところ(5合炊きの炊飯器で10回炊きました。)から考えると30時間起きっぱなしで参加してきました。

 この鮒寿司もそうですが、有名だったり、ハレの日のご馳走みたいな郷土料理は今でもあちこちで作られています。講習会みたいなものもあるでしょう。山形の芋煮、山梨のほうとう、紀州のめはりずし、博多のがめ煮、京都の鯖寿司…聞いたことありますよね?

 でも、実際には昔作られてた郷土料理はもっと膨大です。今と比べて流通も発達しておらず、電気的な冷蔵技術もなく、季節ごとに食材が限られた時代では料理を工夫して、飽きがこないように美味しく料理をしたり、また、保存がきくように加工するしかなかったのです。今みたいに年中新鮮なものが手に入り、また、便利なものがあふれているなかで、なかなか手間をかけられず、なくなってしまった郷土料理、家庭の味はたくさんあるに違いありません。私はそのこと自体を殊更残念に思ったり、否定する気は全くありません。本当に今は便利に忙しくなり、生活環境も変わりました。仕方がないのです。

 ですが、そういった郷土料理の工夫や知恵は、料理好きな自分からみると宝の山のようです。それで、片っ端から郷土料理の本を集めている次第です。昭和50年代から昭和60年代にかけてが一番多く、全国のあちこちで郷土料理の本や冊子が同じ時期に作られていたことがわかります。きっと、このままではなくなってしまう危機感を感じた人達が自分たちの味を残すために想いを込めて書かれたのだと思います。それは、地域の婦人会、生活改善グループ、新聞社、教育委員会、料理教室や学校、個人、行政、など本当に様々です。

 しかし、それらの本を偶然古本屋で見付けて買えることなどあまりありません。発行部数は本当に少ないのです。自分は日本の古本屋と言うサイトで検索条件を工夫し、なんとかヒットしないかと探す毎日でした。「郷土料理」と言う文言はタイトルに入っていないことが多いのです。「×××の味」言うタイトルが多いです。でも、“味”では検索件数が膨大になりすぎます。そこで、いろんな組み合わせで試して探すのです。 

 最近は、あまり自分の持っていない郷土料理の本を前述のサイトでみなくなりました。ですが、つい最近気付きました。メルカリで売られることが多くなっているようです。昭和50年代に40前後の人が本を書いてたとするなら今は80歳。きっと物を整理するのにお子さんやお孫さんがメルカリで売っているのでしょう。

 メルカリだろうが、なんだろうが、捨てずに誰かにもらってもらおうとしているのは、もう感謝です。おそらく本が出てくるのは今が最期のタイミングだと思っています。これからは、探す対象にメルカリを加えて郷土料理の本を探し回る日々になりそうです。

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