「捨てて後悔した」という記憶を引き摺る人
「捨てられない」と仰る人の中には、過去に「捨てた直後にその物が必要になった経験」があるとか、「捨てた後で酷く後悔した」という方が多いようです。
過去の失敗で痛い目を見た。二度と同じ二の轍は踏みたくない。
そう思うのもごもっとも。
では、我々整理収納アドバイザーはこういう経験をしないのか? というと、もちろんのことながらしょっちゅうあります。
最近も、そのような事例が我が身に起きました。
旅慣れた友人に教えてもらったライフハックなのですが。
我が家では、古い下着類はとっておき、長期の出張がある場合に持ち運び、出張先で捨ててきたりします。洗濯することもできない出張先で、汚れたぱんつを持ち歩くのも嫌だな…という場合に、「元々捨てる予定だったもの」を持っていくのはとても合理的! とほくそ笑んでいたりします。
で、主人の古びた下着が5枚ほどあったのです。
しかし世の中はコロナ。長期の出張はおろか、1泊の出張すらほとんど存在しなくなりました。2年間寝かせておいた古いぱんつ(笑)の出番もなさそうね…と、まさに今年の3月、一斉処分をしたのです。
ところが!
withコロナ時代に突入し、その翌月の4月からいきなり長期出張がガンガン舞い込むことになりました。
しかもその期間、出張先はずっと雨の予報。近所にコインランドリーもないような場所で、汚れたパンツを保管するのも嫌、かといって手洗いしても絶対に乾かない状況。
「あぁぁ~…あのぱんつ、捨てなきゃよかったね」と主人と笑い合い、下着を多めに購入してくる羽目になりました。
■予知できない未来を嘆いても仕方ない
もちろん、このケースはとてもライトなものです。もともと捨てる予定だった下着ですし、そんなにも痛手ではない。
けど、「ほんの1ヶ月前に捨てたばかり」というのはあまりにもナイスタイミングすぎて、それゆえにちょっとショックも受けました。
でもですよ。
まさかこんなに早く出張が復活するとは思わなかったし、予知できない未来のことを嘆いたり反省しても意味はないんです。
それよりも、3月の時点で古びたパンツを一斉処分して「あー、スッキリしたね!」と思えたことを尊ぶべき。
そんなことを考えていた矢先に拝読したのがこちらのnote。
「なにかあったらどうするんだ症候群」、とはまさに日本人全員がかかっていそうな症状です。
その重度の患者さんが、モノを捨てられずに意味のない粗品や使いもしないゴミと暮らし、自らの首を絞めています。
なるようにしかならないはずの人生を、自分の力でコントロールし予測できると思い込むのはむしろ自惚れかもしれません。
この症候群から抜け出るには、未来は予測できず物事はコントロールできないという前提を腑に落ちるまで受け入れることです。そして国民全員が「やってみよう、やってみよう、やってみなけりゃわからない」を合言葉にすることだと思います。「わからない」を恐いから面白いに書き換える必要があります。
引用させていただきましたが、整理収納アドバイザーとして偉そうに仕事をしていく中で、おそらく人より「捨てる」ことに関する失敗も、数多くしてきました。
そのおかげで「捨ててしまった直後に後悔することもあるけど、なんとかなるよね、ということも経験してきた」というのは強みかな、と思うのです。
そう言えば先日、面白いツイートを拝見しました。
「DIY」とはご存じ「Do it yourself(自分でやってみる)」という意味ですが、これを、「どうなってもいいからやってみよう」の略、と捉えると、人生楽しくなるよ、みたいな内容です。
今の日本にかけているのはこの精神。
なにごとも、自分でやる。そうなると責任も自分で負わなきゃいけませんが、「どうなってもいいから、とりあえず行動してみようよ!」と。
こうして何度も失敗することは、自分の人生を豊かにしてくれます。
DIY、なかなかいい言葉ですね(笑)
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