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人生100年時代、「早めの片付け」の必要性

ちょっと前まで「人生80年」だったのが、すでに「人生100年」時代に突入していますよね。医学の進歩すごいんですけども、こうなると考えないといけないのが、「80歳からさらに20年、どうやって生きていくのか」ということ。

一般的な人々の人生設計って、何となく、
「30歳で家を建てる→30年間でローンを払い終え、60歳で定年退職。余生を満喫し、80歳まで生きて死ぬ」というのがモデルケースだったような。
もしくは、
「60歳になる頃には子どもが30歳を迎え、子どもが新しく建てた家に同居して最期を看取ってもらう…」みたいな感じでしょうか。

これが、核家族化していった今。
60歳を過ぎてもなお働かないとダメになっていて、楽しい余生はなかなか訪れない。年金を貰えるようになってようやく退職するも、人生100年ということは、さらに30年以上も生きなければならない。夫婦は共に老いていき、老々介護の日々。30歳で建てた家は劣化し、80歳を迎える頃にはすでに築50年。
80歳の段階で、もう一度、住まいを建て替えるor引っ越しする必要性がある…。現に今日も、「60歳からの住宅ローン」なんていうテレビCMを見かけました。

■いま、80歳ご夫婦宅の片付けに取り掛かっています

いま(というかここ数ケ月)偶然にも、80代というご高齢夫婦のおうちの片付けに2軒も取り掛かっているのですが、これがもう、すごい。大変。

食器棚には「友人家族らを迎えた際におもてなしするための食器」が山積み。もちろんそれらの友人がお泊りするかもしれないので、客間には昔の重たい布団が数セットも。
家を出て行った子供たち(もう50歳代)の部屋には、置き土産のような古い教科書とかあれこれがぎゅうぎゅう。子供達は都会に引っ越していて、先方にはこれらの荷物を持っていくスペースがなく、かといって捨てる暇もなかったので、全部実家に置き去りです。

この2組のご高齢夫婦は、これまた偶然にも奥様の方にご病気があり、ご主人様が介護をなさっているという状況。今までは奥様が家事全般をなさっていたご家庭で、奥様が倒れられたため、すべての家事が滞ります。家のあちこちは埃や汚れでひどい状況。ですが、ご主人様には「定期的に掃除をしないといけない」という感覚もないようで…。
いずれもご主人様がお優しい方なのがせめてもの救いですが、慣れない家事に慣れない介護、散らかりまくった部屋。ゴミ屋敷形成の原因の一端を垣間見ている気分です。
奥様の方は2組とも、介助がなければ洋服の着脱やトイレも厳しい状態。幸運にも寝たきりなどではないのですが、だからこそ余計に奥様の方も家の中の惨状が気になる様子。

お若い頃に建てたと思しき一軒家はもう築50年で、いろんなところにガタが来ています。そこに奥様の介護とご主人ご自身の体力的な限界などが重なり、なんとか自宅で快適に過ごすためにと、急にリフォームや引っ越しを計画。…したはいいけど、片付かない。片付けられるはずがない、という状況。

■山ほど出てくる「不要品」に、片づけを諦める人が多い

やはり、夫婦が80年分溜め込んだモノの山は、一筋縄ではいかないんですね。
もう着れない洋服、使わないおもちゃ、読みもしない雑誌類、勤めていた会社の備品、過去の旅行のパンフレット、などなど…

また、昔の常識は「重くてデカいほど立派で素晴らしい」ですので、箪笥も布団もコート類も、何もかも嵩張る。80代のご老人には運び出すのも難しい。いやいやそれ以前に、体力のないご老人には、「何が要るのか要らないのか」を判断する力さえなく…。

片方の奥様は、現役時代(約30年前)に着ていたスーツを「全部新居に持っていく」と仰います。まず時代感も合わないし、今の体型にも会いません。何より、介助の必要なお体では着られない服装。やんわりそのこともお伝えしたのですが、ご本人は「身体が良くなったら着るつもりよ」とのこと。正直、年齢を考えると「身体が良くなる」ということ自体が難しいのですが…

これらのご夫婦は、幸運にもご夫婦の仲もよく、さらに言うなら金銭的にさほど不自由がない(すくなくとも80歳の時点で新居に引っ越すとかリフォームを予定し、そのために片付け屋を呼べる財力がある)点で相当恵まれているとは思います。
それでも、80歳というご高齢で、まさかこんな力仕事を連日する羽目になるとはお思いにならなかったのでは…と拝察するのです。

■「人生100年時代」には、身体の動く60歳までに片付けしなければヤバい

これがせめて、50~60歳代の時の話だったら、もう少しスムースに進んだと思うのですが。
80歳代で、お互い体が動かなくなってから、慌てて片付けようとすると本当にお金と体力が必要ですね。

というか、今まさに、我が義実家でも同じ状況。奇しくも義実家もリフォームを検討しており、来年には実行します。
つらつら述べてきたのと同様、高齢の義親は持病もあり、もう思うようには体も動かせません。重い箪笥の開け閉めもできないくらいの体力。お風呂は昔ながらの深いタイプで入浴もできないらしい。部屋中に段差があり、歩くのが億劫なのか、最近はずっと今に引きこもっているようです。かといって老人ホームに入居するほどではないため、家の中を快適にしなければならない。おかげで80歳目前でいきなりリフォームです。

今までは全く気にならなかったけど、「リフォームするぞ!」という視点で義実家を良く見渡してみると「どうしてこんなに箪笥がたくさんあるんだろう(開けているのを見たことがない)」「天井付近に棚を増設してまで不要品を詰め込んでいる…だと…」「家の外にあるのは、もしかして全部ゴミでは…?」「旦那兄弟全員分の教科書を全部屋根裏に保管してあるらしいぞ!?」などということが分かってきます。

なにより家自体が築50年。ガタが来ていて、もう安全に住める家ではありません。
あと10年くらい早くに、先を見越して片付け、リフォームをしておくべきだったと悔やまれます。

お客様の片付け2軒が今月には片をつけられると思うので、それが終わり次第、自分の義実家に着手です。しばらく休めそうにないな…でも来月には次のご予約がすでに入ってるし…(;´д`)トホホ

■親と一緒に片付けられるのは今が最後のチャンス

我々夫婦がいま40代。義父が何でも溜め込んでおく体質だったので、屋根裏・床下・家の周辺にまでありとあらゆる不要品を保管してくれています。これを片づけろと言われると、我々も(体力的にも時間的にも)かなり厳しいです。

でも、いま見て見ぬふりをすると、さらにきつくなるのが目に見えています。なので、「あと10年後にこんな片付けをしろと言われなくて幸いだったと思おう」と言い聞かせて、主人(とその兄弟)と頑張っています。正直、あのゴミの多さには、片付け屋の私でも眩暈がしそうです。いやいや、頑張ろう。これが最後のチャンスだと思うし。

もし「親の家、なんとかしなきゃな…」と悩んでる方がいらっしゃったら、なるべく早めに親御さんとお話してみてください。あとに回すと自分の首を絞めます…。本職の片付け屋の私でさえ、頭を抱える案件です。

そのときは、感情的にならずに、ゆっくりお話ししてみてくださいね。


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