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イレギュラーを基準に考えない

先日、お客様から相談されたことがあります。

「食器を洗った後の水切りカゴが小さくて。普段はそれで充分なんだけど、たまに大皿を使ったときや鍋を何個も洗ったときに困るんです。だから、もっと大きな水切りカゴを数個並べて置けるような広いスペースを増設したいんだけど」

増設すること自体は可能なお宅でした。
だがしかし!
「普段はこの小さなカゴひとつで十分」なお家。このお家がイレギュラーな事態のためにカゴを増やした未来のことを、もう少し想像力を逞しくして考えていきたいと思います。

■「広ければいい」というわけではない

先日も似たような記事を書いたのですが、広い部屋に移り住めば片付くと思っている人は多いようです。
今回の件もそれに似ていて、「広い水切りスペースがあれば水回りが片付く」とお考えの様子でした。

これ、片付けの上では少し危ないなぁと思います。

と言うのも、「普段は小さなカゴで十分」だとご本人たちも認識していらっしゃるのです。ほんのたまに、それでは収納しきれないものが出てくるのを何とかしたい、と言う相談。
もしそこに大きなスペースを増設するとどうなるか。

例えば7日間の内、水切りスペースが足りなくなるのが1日だけだったとしたら、残る6日は小さなカゴで十分なわけです。なのに大きなカゴに変えてしまうと…

まず、
①デカい水切りカゴのせいで生活スペースが圧迫されてしまいます。

次いで、
②いつも鎮座しているバカでかい水切りカゴが目障りになるでしょう。

他にも、
③平日はスカスカな水切りカゴをみて、「なんでこんな大きなものを置いちゃったんだろう…」と後悔する。
もしくは、
④大きなかごになったから、と、そのスペースいっぱいにモノを置くようになって、余計に散らかって見える

などなどのデメリットがあります。

■基準をどこに置くのか?

日々の生活が「小」で十分なら、イレギュラーを「小」に合わせて行動したほうがうまくいく、かもしれません。

つまりこの場合だと、週に1日のイレギュラーな日のために大きな水切りカゴを置くのではなく、むしろ1日だけは我慢して、溢れた食器をさっさと拭いて棚に片づけてしまえばいい。
この視点がない人って結構いらっしゃいます。モノに合わせて動くと、どんどんと自分の自由が奪われて行くのです。

イレギュラーな事態を想定して生きていくのはとてもいいことなのですが、
イレギュラーに生活の基準を合わせてしまうと、レギュラーな日常が暮らしにくくなる要因にもなります。

■本当にスッキリさせたいのは何か、を考える

きっとお客様は短絡的に「洗い物をした後をスッキリさせたい」とお考えで、私に相談してきたのでしょう。
ですが本当にスッキリさせたいのはどこ(なに)なのか?
洗い物が渦高く積み上げられている光景は決して「スッキリ」とは言えません。
おそらくは、台所の見た目そのものをスッキリさせたかったはず。
洗い場だけでなく、台所全体を、きれいに見せたかったのではないかなと拝察するわけです。

だったらそこに必要なのは、大きな水切りカゴを置くスペースではなく、ほんのひと手間
洗い物を拭き上げて片付け、元通りに収納する、ということではないかな…。


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