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これ、わたしの祖母の日常。

はじめに

人がまばらな昼過ぎの電車の中、わたしは膝の上にノートパソコンを広げて文章を作っている。いまさっき、祖母と叔母に手を振り、実家に帰宅しているところだ。
わたしはここ1年の間で変わった。変わったのか、それともひと昔前の自分に戻ったのかわからないけれど。

わたしは小さいころ、茨城県の田舎に住む祖父母の家によく遊びに行っていた。芋掘りをしたり、ザリガニ釣りをしたり。あとはわたしが大好きだったチューチューアイス(折ってシェアするあのアイス)を祖母がいつも冷凍庫に常備していてくれた。祖父母が飼っている、犬と猫に会えるのもうれしかった。

それが中学生に上がり、高校生、大学生と、全く祖父母の家に行かなくなってしまった。友人との予定が詰まっていたし、田舎に行ったって何もすることがないと思っていたからである。

母に促され、顔を見せに行ったとしても2・3日程度の滞在。祖父母の家に行くと、携帯をいじっているか、ショッピングモールに車で連れて行ってもらい、何時間もかけて自分のための買い物をした。最初のうちはわたしに付いて回っていた祖父母も、疲れ果てて車の中で待っているようになった。

畑で採れた野菜や果物を実家に送ってもらっても、母に言われてやっとお礼の電話をかけていた。手間暇かけて作られた、無農薬の食べものということも知らずに、うちには毎旬おいしいものが届くと当たり前に思っていた。
ほんの1年前のわたしを羅列すると、『魔女の宅急便』を思い出す。この映画に、魚模様のパイを焼くおばあさんが出てくる。おばあさんは孫のために丹精込めてパイを焼き、孫に届けるのだが、孫は「いらないっていってるのに」と。わたしも、こんな孫いやだなと思う代表例のひとりだったと思う。

わたしは大学を卒業し、ひょんなことからニュージーランドにワーキングホリデーに行くことになった。そこに約1年滞在し、いろんな価値観を持つ友人たちができた。そのお陰でわたしの中のトゲトゲしていたところが大分取れて、少し人に優しくできるようになった。
ニュージーランドから帰国する数ヶ月前、祖父が亡くなった。農業の素晴らしさを知り、帰国したら祖父母の畑を手伝おうと思っていた矢先だった。

質素で丁寧。これが祖父母の暮らしだ。そのさまをここに書き記していきたい。


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