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うちのパパって・・・誰? ~ AI翻訳 vs 翻訳者 ~

AI翻訳の目覚ましい発展に伴い、日々翻訳者の仕事が減っていると感じる今日この頃ですが、翻訳者の仕事は今後無くなってしまうのでしょうか。

ふと、以前同僚のペルー人から「日本人はなぜ『husband』をいろいろな言い方するの?」と質問されたことを思い出しました。

確かに私も上司と話すときは「夫」、友達とは「旦那」、子供やママ友とは「パパ」、人の夫をさすときは「ご主人」と無意識に使い分けています。

辞書で調べると…

・夫:自分の配偶者である男性。
・旦那:妻が夫を、商家の奉公人が主人を、商人や役者・芸人がひいきしてくれる客を呼ぶときに用いる敬称。
・パパ:父親。 また、子供などの父親を呼ぶ言葉。
・主人:家のぬし。
あるじ。 他人を従属または隷属させている者。

とありました。同僚のペルー人には本来の意味を説明しつつ、どれを使っても意味が通じると伝えると、「日本語って難しいねー」で会話は終わりました。

今回、妻が「夫」を指す文をいくつかAI翻訳してみました。

・「夫は今日残業なの」→「My husband has to work overtime today.」
・「旦那は今日残業です」→「My husband has to work overtime today.」
・「主人は今日残業なの」→「My husband has to work overtime today.」

上記は正しくAI翻訳されました。
ですが、「旦那様」「うちのパパ」という表現だと、妻が夫のことを話している文でも「あなたの夫」や「私のお父さん」と訳されてしまう場合があります。

・「旦那様は今日残業です」→「Your husband has to work overtime today.」
・「うちのパパは今日残業なのよ」→「My daddy has to work overtime today.」

「旦那様」については、話し手が従者とその主人である場合、英語では「master」や「boss」になるでしょう。
このように、文脈を理解して翻訳することが重要です。
そのため、機械翻訳で生成された訳文を人間が修正する作業(ポストエディット)が必要不可欠であり、ここが翻訳者の腕の見せ所となります。

現時点では、AI翻訳だけでは正しい翻訳は難しいでしょう。
ゆくゆくはAI翻訳でもこういった状況を踏まえた翻訳ができるようになると思いますが、しばらくはAI翻訳と共存しながら「ポストエディット」という形で翻訳者の価値を見出していく必要があるのではと感じています。


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